[フィリピン] Covid-19流行で不動産ブームに混乱

不動産コンサルティング会社コリアーズ・インターナショナル・フィリピンは、新型コロナウィルス(Covid-19)の流行が2010年から続いたフィリピン不動産ブームに歯止めをかけるのではないかと予想しています。

[フィリピン] Covid-19流行で不動産ブームに混乱


不動産コンサルティング会社コリアーズ・インターナショナル・フィリピンは、Covid-19流行が2010年から続いたフィリピン不動産ブームに歯止めをかけるとみています。同社は、今年は大幅な賃料の下落と空室率の上昇を予想しており、2009年の世界金融危機よりも状況が悪くなるのではないかと言います。


しかし、コリアーズのシニア・リサーチ・マネジャー、ジョーイ・ボンドック氏は、1997年に勃発したアジア通貨危機ほどではなさそうだと言います。というもの、フィリピンのビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)業界が当時よりも格段に成長しているので、2021年までにはリバウンドの道筋をつけてくれるだろうというのです。


ボンドック氏は、デベロッパー各社はアジア危機を乗り越えて学習しているため、供給を調整し、価格の急落を避ける動きをしているといいます。

▼年間の不動産価格とGDP成長率(青線:平均価格、黄線:GDP成長率)(出所:Colliers)


コリアーズのマネージングダイレクター、リチャード・レイムンド氏は、「パーティが終わってしまったと言うのは少し厳しい」として、いまだ需要があることを強調、一方で長らく家主市場だったのが、借り手市場となる転換期にあると述べています。


フィリピンのオフショア・ゲーミング事業者(POGO)がなければ、過剰供給により、フィリピンの不動産市場は2016年にはすでに状況が逆転していたのではないかとレイムンド氏は言います。


「POGOからの需要があったからこそ、このアップサイクルが続いたのです。オフィス市場の需要が、レジデンシャルやリテールセグメントにもトリクルダウン効果をもたらしました。」


Covid-19流行がもたらした様々な制約により、コリアーズは、マカティシティの地価が今年の第4四半期までには、2020年第1四半期の平米あたり858,000ペソ(約180万円)から10%ほど下がると予測しています。ボニファシオ・グローバル・シティでは、第1四半期の平米あたり827,700ペソ(約175万円)から10%、ベイエリアでは第1四半期の平米あたり390,200ペソ(約82万円)から15%、オルティガスでは第1四半期の354,200(約75万円)から5%ほど下がると予測されています。


メトロマニラのオフィス賃貸料率は、今年は平均17%ほど下落するとみられています。空室率は昨年の4.4%から5.5%に上昇するでしょう。成約面積が、コリアーズの基本シナリオの前提よりも急激に下がる場合は、空室率は8.3%~9.4%まで上昇する可能性もあります。コリアーズは、新規オフィス在庫が今年23%減少するとみているので、これでイーブンになります。


コリアーズのダイレクター、ドム・フレデリック・アンダヤ氏は、今後数か月、渡航規制によりPOGOの成長は妨げられるだろうと話しています。しかし、ギャンブラーが実際にカジノに行くことを避けることが予想されるため、オンラインゲーミングの需要自体は今後も継続すると考えています。フィリピンは、規制面で協力的なので、引き続きオンラインゲーミング事業者に最も選ばれる場所となるでしょう。


レジデンシャルについては、供給が19.7%減少するでしょう。しかし、コリアーズは、POGOの低迷により、メトロマニラの空室率は、2019年の11%から今年は15.2%に上昇するだろうと予想しています。2020年第1四半期の空室率は11.3%でした。この数値は、第2四半期に入って悪化するとみられています。コンドミニアム価格は、2020年に15%下落すると予想されています。2021年から2022年にかけて、コリアーズは、レジデンシャル価格は、当初の12.4%と比べると緩やかなペースの1.7%ほどで成長すると予想しています。


マニラ首都圏のレジデンシャル賃料は、2020年については5.5%減、一方で2021年から2022年にかけては、当初の中期予想7.5%から下がって、緩やかな1.9%成長を描くと見られています。


レジデンシャル部門で最も価格調整が見られたのは、中所得層でした。これは、Covid-19の影響で失業者が増えたことによります。


リテール部門でもまた、今年は賃料が5%減となる見込みですが、2022年には1%増で回復傾向となるとみられています。ショッピングモールのオープンが重なるため、空室率は2022年に12%とピークを迎える予想です。


現在の状況下で唯一好調なのは、物流/工業倉庫部門です。人々がソーシャル・ディスタンシングを守るにあたって、E-コマース取引が増えているのです。


レイムンド氏は、最も回復が早いセクターはオフィス、続いて、レジデンシャル、リテール、最後にホテルとなるだろうと述べています。

(出所:Business Inquirer

(トップ画像:Dylan Gonzales from Pixabay )