2021/01/24
コロナはフィリピン不動産投資にどう影響している?データを用いて検証
コロナはフィリピンの不動産マーケットにどんな影響を与えているのか、不動産価格指数の推移から探ります。
以下のグラフは、居住用不動産全般の価格指数およびコンドミニアムの価格指数を、エリア別にグラフ化したものです。
フィリピンの 全タイプ | フィリピンの コンド | 首都圏の 全タイプ | 首都圏の コンド | 首都圏外の 全タイプ | 首都圏外の コンド | |
2019 Q3 | 131.7 | 182.1 | 156.4 | 190.2 | 119.4 | 145.2 |
2019 Q4 | 133.3 | 174.6 | 151.2 | 179.2 | 122.9 | 150.6 |
2020 Q1 | 138 | 182.7 | 158.7 | 190.7 | 126.4 | 146.5 |
2020 Q2 | 152.8 | 201 | 190.6 | 213.2 | 134.7 | 147.5 |
2020 Q3 | 131.2 | 154.7 | 137.3 | 156.1 | 127.1 | 150.4 |
※参照:フィリピン中央銀行
首都圏以外のコンドミニアムを除き、2020年第3四半期には大きく価格を落としていることがわかります。
また、フィリピン全体のコンドミニアム価格指数は、首都圏のコンドミニアム価格指数とほぼ連動している点が特徴的です。
その一方で、首都圏以外のコンドミニアムは緩やかに価格上昇を続けてきました。フィリピン不動産は、首都であるマニラ以外のコンドミニアムは安定性が高いと言えます。
また、フィリピン全体のコンドミニアム価格は、首都圏のコンドミニアムに大きく影響されるとも言えるでしょう。
なお、全体的に2019年第2四半期から急激に価格が上昇していた様子が伺えます。
2020年第2四半期から第3四半期は特に値下がり幅が大きいですが、コロナの影響に加え、それまでの急激な値上がりに対する価格調整の圧力がかかったとも考えられます。
また、2020年第3四半期の価格指数は2019年第2四半期の価格指数とほぼ同じです。
今後一旦横ばいで推移するのか、それとも再び上昇に転じるのか、今後の値動きには要注意です。
実需の観点から見ると、フィリピンでは人口が増加を続けている背景から、住宅需要は今後も増していくものと考えられます。
また、コロナの影響で政策金利が引き下げられており、2021年初頭の時点では、住宅ローン金利も低い状況です。
実需の購買層にとっては、フィリピンも他の国と同じく買い時と言えます。
また、現地では何度か外出制限が繰り返されるなど、コロナは新築不動産の建設工事進捗に影響していることも事実です。
Colliers Internationalのレポートによると、フィリピンの住宅供給数は、当初予測値の半数程度に止まっています。不動産の供給が不安定になっている中では、価格が再び上昇することも考えられます。
2019 Q4 | 2020 Q1 | 2020 Q2 | 2020 Q3 | |
住宅供給数 | 3,020 | 1,670 | 0 | 625 |
実際の供給数推移を見ると、世界的にコロナの影響が大きかった2020年第2四半期には、フィリピンでは住宅供給が止まったと言っても過言ではない状況になりました。
第3四半期には再び供給が始まったものの、2019年末と比較すると供給数は6分の1程度にとどまっています。
つづいて、コロナがフィリピン不動産の賃貸状況に与えている影響を探ります。
Colliers Internationalのレポートによると、フィリピンの住宅マーケットにおける四半期ごとの空室率推移は以下の通りです。
2019 Q4 | 2020 Q1 | 2020 Q2 | 2020 Q3 | |
空室率 | 11.0% | 11.3% | 11.8% | 12.9% |
フィリピンの住宅マーケットでは少しずつ空室率が上がっている様子が伺えます。
フィリピンでも世界各国と同じく2020年のGDPなどは低下しており、コロナがフィリピン経済にダメージを与えているのも事実です。
上昇幅は1年間で2%弱となっており、経済全体のダメージを考えると、上昇幅はまだそれほど大きくありません。
しかし、コロナによるマイナスの影響が少しずつ広がっている点には注意を要します。
つづいて、フィリピン不動産の1㎡あたり賃料推移は以下の通りです。
2019 Q4 | 2020 Q1 | 2020 Q2 | 2020 Q3 | |
1㎡あたり賃料 | 771 PHP | 786 PHP | 770 PHP | 744 PHP |
賃料推移についても、コロナの影響が拡大し始めた2020年第2四半期以降は右肩下がりの状況です。
2020年第3四半期は第1四半期から見ると、5%賃料が下がっています。
賃料は空室率推移と連動した動きをしているとも言えるでしょう。空室の増加に従って、賃料も少しずつ値下がりしているものと考えられます。
フィリピンの不動産マーケットは、2020年第2四半期までは大きな値上がりの動きを見せていましたが、第3四半期に入って一旦勢いを落とした様子が伺えます。
2019年の第2四半期以降は、フィリピンの不動産マーケットは過熱気味とも言えるほど、大きく値上がりしていました。
直近の値動きを考えると、第3四半期の値下がりは、コロナの影響に加えて価格調整の動きがあったとも考えられます。
なお、物件価格とともに賃料も下がっており、その一方で空室率は上がっています。
一面を見ると悲観的な状況とも考えられますが、物件供給も大幅に減っている中では、今が狙い目とも言えるでしょう。
物件価格と賃料が同時に下がっている中では、利回り計算の仕組みを考慮すれば、フィリピン不動産投資の利回りが大幅に下がっているわけではありません。
また、物件が天井知らずの勢いで供給される中、空室率も上昇しているという状況であれば、供給過剰による空室が懸念されます。
しかし、実際は供給が減っているため、不動産マーケットが過熱していたところへ需給バランス改善のタイミングが来たとも考えられます。
フィリピンでは人口増加が続いている状況に変わりはありません。
アフターコロナまで見通した場合には、住宅需要が大幅に落ち込む可能性は低いと言えるでしょう。
一端を捉えれば、フィリピンの不動産マーケットは失速したと考える人もいるかもしれません。
しかし、不動産価格が落ち着いたタイミングで投資すれば、適正な価格で物件を購入できるとも考えられます。
大局的な見通しに基づいて投資のタイミングを計るとすれば、コロナでマーケットが一旦落ち着いた状況こそ物件の買い時です。
マーケットの調整局面は捉えようによっては投資の好機です。しかし、コロナの収束時期を見通せない中では、慎重に物件を選ぶことが重要になります。
また、海外渡航制限がある中では、物件現地を確認しての投資は難しいことも事実です。
制約がある中で投資を成功させるためには、いつも以上にエージェント選びが重要になります。
信頼できるエージェントに物件視察などを依頼し、報告内容に基づいて投資判断を下すことが必要です。
弊社には、フィリピン現地で不動産エージェント業に従事してきた現地スタッフが多数在籍しています。お客様に代わっての現地視察対応も可能です。フィリピン不動産投資をご検討の際にはぜひご相談ください。
フィリピンの不動産マーケットは、2020年第3四半期に入って、コロナによるマイナスの影響が表出してきたと言えます。
しかし、賃料が下がるとともに物件価格も下がっている中では、フィリピン不動産投資の利回りが大幅に低下しているわけではありません。
また、人口増加による不動産需要の向上を考えると、長期的に見ればフィリピン不動産は変わらず大きな可能性を持っています。
2019年以降の急激な値上がりを鑑みれば、一旦物件価格が落ち着いた後こそ投資の好機とも言えるでしょう。
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