2022/05/30
フィリピン政府の経済チームは、2022年5月24日、政府の2022年の成長目標を、7~9%から7~8%に引き下げました。第1四半期の国民総生産は力強い結果となりましたが、国外の状況の影響を考慮した形です。
第181回省庁横断開発予算調整会議(DBCC)のオンライン会議にて、国家経済開発局(NEDA)長官のカール・ケンドリック・チュア氏は、今年第1四半期の、国民総生産(GDP)で計る8.3%のアウトプットは持続可能だと述べています。
「フィリピン経済は、急速かつ包括的な成長に向けて、持続的な道筋をたどっています。私たちは、今年のGDP成長目標を、7~9%から7~8%に見直しましたが、これは直近6か月で浮上した外的なリスクを考慮してのことです。」と話しています。
この外的なリスクには、ロシア-ウクライナ紛争、連邦準備制度理事会の75ポイントの利上げ、世界第二の経済である中国経済の成長減速などがあります。
チュア氏は、これらの要因が力強い国内経済に打ち消される見込みだと述べています。
「(コロナ対策の)アラートレベル1に移行し、対面の授業を開始し、ワクチン接種、特に子どもとシニア向けを加速させるにつれて、経済を完全に再開できるでしょう。そして、私たちには指針として、経済の完全再開を命じる大統領令第166号があります。したがって、外的な向かい風はあるものの、国内経済は底堅いでしょう。」
チュア氏は、対面授業の再開は経済活動にとってプラスだと述べています。なぜなら、学生が人口の約40%を占めるからです。
今年の成長目標は引き下げられましたが、政府の経済チームは、2023年から2025年の6~7%の成長目標は据え置いています。
今年のマクロ経済の前提の見直しには、平均インフレも含まれます。主に石油その他商品価格がロシアーウクライナ紛争により国際市場で値上がりしたことで、平均インフレは3.7%~4.7%に上がりました。以前は、この範囲が2~4%でした。
今年4月末時点で、価格上昇率は平均して3.7%でした。4月のインフレ率は、主に食品・サービスにかかる石油価格高騰の影響で、前月の4%から4.9%に上がりました。
国内の経済活動はこのまま堅調だとみられており、DBCCは、2023年の政府の歳入予測を3.624兆ペソ(約8.80兆円)から3.633兆ペソ(約8.83兆円)に引き上げました。
2024年の歳入の前提もまた、昨年12月のDBCCの会合の際に、4.048兆ペソ(約9.84兆円)から4.063兆ペソ(約9.88兆円)に見直しされました。2025年については、4.549兆ペソ(約11.1兆円)に達すると見られています。
これに比例して、今後2年の政府支出も引き上げられ、2023年が5.086兆ペソ(約12.4兆円)(前回は5.059兆ペソ(約12.3兆円))、2024年は5.392兆ペソ(約13.1兆円)(前回は5.347兆ペソ(約13.0兆円))となりました。2025年については、5.723兆ペソに達すると予測されています。
予算行政管理省(DBM)の担当官ティナ・ローズ・マリーL.カンダ氏は、「歳入と支出プログラムの見直しを行ったことで、DBCCは、政府が財政再建戦略を進めて赤字をコロナ前のレベルにまで下げていくことで、2023年の政府赤字目標をGDPの6.1%、2024年はGDPの5.1%で据え置き、2025年についてはGDPの4.1%で予測しています。」と述べています。
ティナ氏はまた、来年の歳入予測が上方修正されたことで、2023年の予算案も5.268兆ペソ(約12.8兆円)と、今年の5.024兆ペソ(約12.2兆円)よりも高く設定されていると加えています。
(画像:Photo by Lance Lozano on Unsplash)
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