2022/12/06
フィリピン政府の経済担当チームは、2023年の経済成長率予測を引き下げました。今年の過去最高レベルのインフレに加えて、フィリピンペソ安も考慮しました。
フィリピンの開発予算調整委員会(DBCC)は、2023年の国民総生産(GDP)の成長率を、以前の6.5~8%から、6~7%に引き下げました。
DBCCは、その声明の中で、「主要先進国の景気減速など、対外的な向かい風を考えると、経済の勢いは2023年にはやや減速して、6~7%となりそうだ」と述べています。
DBCCは、国家経済開発庁、財務省、予算管理省の長官や、フィリピン中央銀行総裁などから構成されています。
「政府の戦略とフィリピン開発計画2023~2028年を推進するにつれ、2024年から2028年にかけて、6.5~8.0%と成長は加速することが予想されています。」
これらの戦略には、農業および農業関連事業の現代化、工業の復興、サービス業の再活性化などが含まれています。
上昇するインフレ率、進むペソ安
DBCCは、今年の物価が上昇していることを受けて、食料および輸送コストの高騰が続いていることから、以前のインフレ率予測4.5~5.5%から、5.8%に見直しました。
フィリピンの消費者物価指数は、2022年10月、過去14年で最も高い7.7%を記録しました。食料、非アルコール飲料などの主要商品群の価格上昇に引っ張られました。
中央銀行は、11月のインフレ率が7.4~8.2%の域に入ってくると見ています。その後、2023年には、2.5~4.5%に落ちつき、2028年までには目標幅である2~4%に収まると予想しています。
フィリピンペソもまた、2023年には1ドル55ペソから59ペソまで価値を下げると見ています。2022年は54ペソ~55ペソ台で推移しました。
DBCCは、来年も続くペソ安の原因として、世界情勢の先行きの不透明さ、アメリカの連邦準備制度の積極的な金融政策引き締めを挙げています。
DBCCは、2024年には1ドル53ペソから57ペソで安定し、中央銀行の金融正常化と外貨の流入が見込まれることから2028年まで続くと見ています。
政府歳入の増加
一方で、政府の2022年の歳入予測は、3.5兆ペソに上方修正されました。今年1月から10月の歳入が予測よりも好調だったことを受けて、7月時点の予測3.3兆ペソからわずかに調整が入りました。
DBCCは、歳入増加について、税収の増加と政府のデジタル化の取り組みのおかげだと分析しています。
政府は、中長期の歳入予測も引き上げました。2023年には3.7兆ペソ、2028年には6.6兆ペソを予測しています。前回の予測では、それぞれ3.6兆ペソ、6.5兆ペソでした。
(出所:Business Inquirer)
(画像:UnsplashのOJ Serranoが撮影した写真)
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