[ベトナム] コロナ後サービスアパートが堅調

2020/08/04

[ベトナム] コロナ後もサービスアパートが堅調


新型コロナウィルス(Covid-19)流行の中、ベトナムへの製造ラインの移管が、活発なサービスアパート開発に見合うだけの需要を生み出しそうです。


■コロナ後の見通し明るいサービスアパート

総合不動産サービス会社サヴィルズの投資部門アソシエイト・ダイレクターのホアン・ググエット・ミン氏は、「サービスアパートは、外国直接投資の流入と、大規模な国際企業で働く駐在員と密接な相関関係があります。多くの多国籍企業がベトナムへの移転を検討しているため、このアセットクラスは良く持ちこたえていますし、ハノイにおける長期的なポテンシャルも高いでしょう。」と話しています。


サヴィルズのハノイ市場レポートによると、2020年前半期では、51プロジェクト全体の供給量は、前期比2%減の4,621戸でした。グレードBのプロジェクトとグレードcのプロジェクトがそれぞれ1件ずつ閉鎖しました。稼働率は前期比で4パーセンテージポイント、前年同期比では13パーセンテージポイント減少し、最低レベルの70%となっています。


前半期のグレードAは堅調で稼働率は69%でした。長期リースが支える形となり平均賃料も前期比-1%の月額平米あたり26ドルにとどまりました。


52軒中50軒はロックダウン後も営業を続けており、うち22%は稼働率ほぼ90%を保ち、全体としては回復力を見せています。


米中貿易戦争がらみの関税を逃れるべく、多国籍企業がサプライチェーンをベトナムに移す動きが加速しています。北部の工業団地は、宿泊施設の事業者とともに、コロナ後の外国人駐在員にけん引される需要の波を期待しています。


ハノイ市の2020年前半期の外国直接投資(FDI)は、登録ベースで12.17億ドル、前年同期の25%でした。効果的なパンデミックの封じ込めに、EU・ベトナム自由貿易協定(EVFTA)の批准も加わり、投資家のベトナムへの信頼感はますます高まっています。


2020年6月までで、日本、韓国、香港の投資による3つの工業プロジェクトが、新規登録ベースで外国直接投資(FDI)の53%を占めました。アジアの駐在員が、サービスアパートの主要なターゲットとなるテナントになるとみられています。


■今後競争が激化するCBD周辺エリア

ベトナム政府は、コロナの影響を受けた企業や従業員にタイムリーな支援をすることで、パンデミックに対応してきました。政府決議第84号/NQ-CPは、外国人専門家の入国許可または既存の就労許可の延長を認めています。さらに、政府から直接土地を賃貸している組織、世帯、および個人は、15%の割引を受けました。


ベトナムにおける外国人の入出国・経由・居住法 第51/2019/QH14号は、ベトナムから一時出国することなく、外国人にビザの目的変更を認めています。政府決議第79号/NQ-CPでは、入国目的にかかわらず、最長30日間の滞在について、80か国に電子ビザ(e-visa)の発給を認めています。ベトナムで職を探したり、e-visaで入国したりする外国人は、就労許可証を取得してから、ビザのステータス変更ができます。これらの法律の改正により、投資や観光を円滑にする一方で、入国手続きとコストを減らすことが意図されています。


2020年には、7つのプロジェクト約770戸が市場に加わる予定です。このうち73%を占める、中心業務地区の周辺エリアが、2020年に競争の激しいエリアとなるでしょう。この中心業務地区の周辺エリアは、今後の供給の71%を占めるとみられています。ザーラム県やドンアイン県といったその他の地域/地区では、大規模プロジェクトが始まっています。コロナ後のサービスアパートメント市場は、ホテルやレンタルプラットフォームも加わり、競争が激化しそうです。


(出所:Vietnam Investment Review

(トップ画像:Tony Pham on Unsplash )