[マレーシア] クアラルンプールから分散化の動き

クアラルンプール郊外へのオフィスビル分散化の動きについてのニュースをご紹介します。

[マレーシア] クアラルンプール、分散化の動き


JLLマレーシアは、クアラルンプールの西部および北西部に位置するエリアを含むべく、分散化したそれらのサブマーケットもそのオフィス市場の対象地域に含めることにしました。このエリアは大きく二つの地区から構成されており、(1)プタリン・ジャヤと(2)プチョン/スラバン・ジャヤ/シャー・アラムです。プタリン・ジャヤはクアラルンプール市の境界から西へ広がった地域で、クアラルンプールのサテライト・タウンシップとみなされています。一方で、プチョン/スラバン・ジャヤ/シャー・アラムは、プタリン・ジャヤの境界線の外側とクアラルンプールのの南西部に位置しています。


この分散型サブマーケットの特徴は、成熟した周辺地域、活気あふれる商業施設、および広域にわたる工業地帯です。このサブマーケット内の地区には、市内のオフィスビルのほとんどが、特にムティアラ・ダマンサラ、バンダール・ウタマおよび旧プタリン・ジャヤ・タウンといったエリアに集まっています。また、ヒルトン、シェラトン、ロイヤル・チュランやワンワールドといった高級ビジネスホテルが位置する場所でもあります。


プチョン/スラバン・ジャヤ/シャー・アラム地区は、マレーシア最大の物流港であるクラン港の近くにあり、バックオフィスのロケーションとして最適です。このサブマーケットのテナントには、日用消費財、製薬、製造、業務プロセスアウトソーシング(BPO)、シェアードサービスや物流セクターなどです。テナントがこのエリアに魅力を感じる理由は、都市部およびその周辺と比べて賃料が安いことです。近年、GBI*認証がありMSC**ステータスのある、グレードAのオフィスビルが分散したサブマーケットに出現、さらに何棟かが供給予定である。全体として、この地域のビルの65%が築15年以下となっており、クアラルンプール市内の半分以下と比べると比較的新しいことがわかります。


このサブマーケットはまたLRTKTMMRTといった広域トランジット・システムとの接続も良好です。これらのトランジット駅と都市各地をつなぐフィーダーバス(路線バス)サービスも、エリア内の限られた駐車スペースを補う役割を果たしています。分散型サブマーケットはまた、いくつかの高速道路とも接続しており便利です。加えて、ザ・カーブ、サンウェイ・ピラミッド、ワン・ウタマなどの商業施設へのアクセスも良好です。これは、ジェネレーションY(80年代、90年代生まれの世代)の才能のある者たちを引き付け、留めるための「住む・働く・遊ぶ」のコンセプトとも一致しています。


これらの利点があるにも関わらず、分散型サブマーケットは、トップの国内外の多国籍企業を誘致するには至っていません。というのも、これらの企業はクアラルンプール市内のサブマーケットに拠点を置くことを好むからです。クアラルンプールは、ブキット・ビンタンや、ペトロナス・ツイン・タワーのあるKLCCといった高級エリアを抱えています。また、新しく街のアイコンとなるような開発物件も目白押しです。一例をあげると、トゥン・ラザック・エクスチェンジとムルデカ118です。これらの開発物件は、この地方で一番高いビルとなる予定で、このサブマーケットに再びスポットライトがあたるようになるでしょう。高級ホテルについても、ビジネスで利用する人たちへの訴求力という点では、分散型サブマーケットのホテルと比べても並ぶものはいません。交通渋滞のひどさでは悪名高いクアラルンプールですが、分散型サブマーケットの状況も、高密度でかつ小さな道路が多いため、さほど変わりはありません。


分散型サブマーケットが、シェアードサービスとBPOの拡大により高い稼働率を享受する一方、テナントの多くは価格に敏感で、賃貸主に高い賃貸料を還元してくれるとは言えません。また、サブマーケットには、十分な土地があり、参入障壁も低く、トランジット駅や高速道路も近いので、テナントは、これらの敷地が将来開発されれば、選択肢が有り余る状態になり、賃貸料も低いままとなるでしょう。


結論として、分散型サブマーケットは今後の可能性が見込まれるものの、高級住宅地や高級ホテル、ワールドクラスの開発物件をもつクアラルンプールにはかなわないのが現状です。

(出所:JLL

*GBI=グリーン・ビルディング・インデックス。GBI とは、地球環境に優しい建造物に対して発行される認証制度で、エネルギー・水効率性、建物内の環境対応度、リサイクル可能で環境に優しい資材・資源の利用度などの点で評価される。建物の所有者、不動産購入者が優遇措置の対象となっている。 また、新築、改築でも優遇措置を受けられる。

1. 建物の所有者への優遇 

1) GBI 認証の取得にかかった追加資本的支出額の 100%相当額の課税を免除。
2) 法定所得の 100%まで経費相殺を認める。
3) ただし、1 つの建物について、GBI 認証は 1 回のみ。
4) 09 年 10 月 24 日から 14 年 12 月 31 日の間に GBI 認証を付与された建物に対して有効。

 2.不動産の購入者への印紙税免除 

1) GBI 認証の取得にかかった追加費用に対する印紙税を免除。
2) 対象物件は GBI 認証が付与された建物と住居用不動産。
3) 対象者は最初の購入者のみとする。
4) 09 年 10 月 24 日から 14 年 12 月の間に履行された売買契約書に対して有効とする。  

(出所:JETRO


**MSC=マルチメディア・スーパー・コリドー。アジアにおけるIT開発の拠点として、マルチメディア製品やサービスを創出して流通させ、あるいは利用する場をマレーシア政府が同国内で提供するもの。
マルチメディア・デジタル経済公社(Multimedia Digital Economy Corporation:MDeC)により、Cyberjaya、Kuala Lumpur City Centre、Technology Park Malaysia、ペナンのBayan Lepas、ケダ州のKulim Hi-Tech Park等が、サイバー・シティとして認められている。 MSCステータスは、MDeCを通じてマレーシア政府によって認定され、同ステータスを取得した企業は、一連の優遇措置を受けられる。

1)パイオニア・ステータスが付与され、10年間にわたり、法定所得の100%に対する免税措置が受けられる。あるいは、5年以内に発生した適格資本支出に対して100%のITA(投資控除)が認められ、対象企業はこの控除額をもって各賦課年度の法定所得の100%と相殺することができる。
2)100%の外資保有が可能。
3)必要に応じ、外国人知的労働者を雇用できる(就労枠および就労ビザが承認)。
4)マルチメディア関連機器の輸入関税が免除される。
5)研究開発助成金が受けられる(マレーシア資本がマジョリティを占めるMSC企業が対象)。

(出所:JETRO