2021/10/18
フィリピン・オフショア・ゲーミング事業者(通称:POGO)からの税収が、2021年1月~7月で20.5億ペソ(約46.1億円)にまで落ち込みました。フィリピン側のPOGOを対象とした増税に加えて、中国政府が国内のオンラインギャンブルの撲滅活動を強化したことで、多くの事業者がフィリピンから退去したことが背景となっているようです。
財務省のカルロス・ドミンゲス大臣は、レポーターに対して、2020年にPOGO業界から徴収した法人所得税および個人所得税は、71.8億ペソ(約161.6億円)と今年より多かったと話しています。2019年は64.2億ペソ(約144.5億円)、2018年は23.8億ペソ(約53.6億円)でした。
2020年、内国歳入庁(BIR)は、POGO各社およびサービスプロバイダに対して、Covid-19封じ込めのためのロックダウンを政府が解除した際に、まずは納税しなければ営業を再開できないとしました。
しかし、フィリピン国外を拠点としていたゲーミング事業者がBIRのルールに反対、フィリピンを去ったPOGOもいました。反対していた事業者は、特に、5パーセントのフランチャイズ税は、国内で営業活動を行っているPOGOにのみ適用されるべきだと主張していたのです。
政府系のフィリピン娯楽・ゲーミング公社(PAGCOR)の最新のデータでは、41社のゲーミング事業者ライセンス取得企業のうち、2021年8月時点で事業活動を続けているのはたった36社です。Covid-19のパンデミック前、2020年初旬には、少なくとも60社のPOGOがフィリピンで事業活動を行っていました。
PAGCORのデータでは、8月時点での認可サービスプロバイダは133社となっており、こちらも以前は218社、約13~15万人を雇用していたことを考えると、大幅な減少となりました。これらの企業の従業員の多くは外国人、ほとんどが中国人でした。
ライセンス取得企業はサービスプロバイダを使って、サービスプロバイダの従業員が直接クライアントである海外のオンラインギャンブラーに応対します。海外と言っても、主に中国ですが、中国ではギャンブルが違法なのです。
パンデミック前、ドミンゲス大臣は毎年200億ペソ(約450億円)が税金としてPOGOから徴収できるだろうと述べていました。
しかし、最近になって、ドミンゲス大臣は、中国が2018年からオンラインギャンブルの撲滅に乗り出し、その一環として、毎年1,400億ドル(約158兆円)に上るとも言われている海外向けの送金について、中国の支払いシステムに報告義務を課したことで、中国本土のクライアントが消極的になったと話しています。
ドミンゲス大臣によると、POGOの閉鎖が相次いでおり、その主な理由はギャンブル資金の源泉である中国が枯渇してきているからです。
2021年9月にドゥテルテ大統領が署名した法律、共和国法(RA)No.11590は、POGOに課す追加的な税金について2022年までに完全実施することを定めています。ドミンゲス大臣によると、POGO業界から、2022年と2023年で762億ペソ(約1,717億円)が徴収できる見込みです。
うち、351億ペソ(約790億円)は総ゲーミング収入にかかる5パーセントの税金から、412億ペソ(約927億円)はPOGOで働く外国人従業員の総所得にかかる25%の源泉所得税となっています。
(出所:Business Inquirer)
(画像:Photo by Michał Parzuchowski on Unsplash )
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