2022/03/24
国の負債を減らすことが政府の最重要目標であるものの、インフラ投資を減らすことは選択肢にない、とフィリピン財務省が述べています。
2022年3月19日に発表された経済速報で、財務省は、3大格付け会社(フィッチ・レーティングス、ムーディーズ・インベスターズ・サービス、S&Pグローバル・レーティングス)がフィリピンの負債管理に目を光らせていると述べています。
財務省によると、2021年末には、政府債務は、国民総生産(GDP)の60.5%にまで達しました。主に、パンデミック関連の支出によるものです。コロナ前は、GDPの39.6%でした。
「中期的に、フィリピン経済が力強い成長を再開するために、対GDPの債務比率を財政再建(赤字幅の縮小)を通じて下げていく必要があります。」
「現状の中期財政プログラムは、インフラ支出を犠牲にしないで、徐々に赤字を減らしていけるように調整されています。」と財務省は強調しています。
財務省の計画では、財政赤字のGDP比率は、2024年までには、昨年の8.61%から5.1%にまで減る予測です。インフラ投資は、2021年、対GDPで5.6%にまで達したとみられており、今年はさらに5.9%まで上がり、2024年までには5.4%程度に落ち着く見込みです。
▼中期財政プログラム(対GDP比)(出所:Economic Bulletin, Department of Finance)
財務省は、「インフラ投資を継続させることは重要です。インフラ支出を削減することで、一時的に赤字幅を減らすことはできるかもしれませんが、景気回復を考えると、長期的には逆効果になるでしょう。」と述べています。
法人税の改正を定めた税制改革(CREATE)法と自由化が、投資家の関心と熱意を掻き立てる一方で、完成しないインフラプロジェクトは投資家の信頼を得ることはできない、とも加えています。
「簡単に言えば、未完成の橋は、一分も所要時間を減らすことはできないのです。インフラプロジェクトは完成して初めて、国の生産性を上げ、成長の可能性を強化させることができるのです。」
また、インフラは、景気の自己回復を促すハードアセットであり、CREATEと自由化に向けた構造改革を実施することで、その回復を加速させることができる、それが一人当たりのGDP成長率を高め、さらなる財政再建に行きつくのだ、と締めくくっています。
(出所:Manila Times、Department of Finance Philippines)
(画像:Photo by Bermix Studio on Unsplash )
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