2023/02/20
フィリピン中央銀行(Bangko Sentral ng Pilipinas(BSP))の主要金利のさらなる引き上げの主な要因として、インフレ率の上昇と米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げが予想されています。BSPは、今年の平均インフレ率を4.5%から6.1%に引き上げました。
米連邦準備制度理事会(FRB)の主要金利の動向、国内のインフレ率、ペソの為替動向は、BSPの主要金利の今後の調整要因になると予想されています。
2023年2月16日、中央銀行の政策決定機関である金融委員会(MB)は、2023年1月のインフレ率が8.7%と予想を上回ったことなどに言及し、BSPの主要金利を50ベーシスポイント引き上げ、オーバーナイトリバースレポ(RRP)金利を6%としました。
▼フィリピンの政策金利推移(出所:Trading Economics)
リサール商業銀行(RCBC)のチーフエコノミスト、マイケル・リカフォートは、中央銀行の主要金利における最新の金利調整は8回連続の引き上げであり、今回の利上げ後のRRPレートは過去15年間、つまり2007年7月以来最高となった、と述べました。
「国内の政策金利は、国内のインフレ動向と、パウエルFRB議長がFRB金利のピークアウトの可能性を示唆した今、特に米国の労働・雇用市場が堅調である場合には、FRB金利引き上げに大きく左右されるでしょう。」とも述べました。
リカフォート氏は、BSPの主要金利は、将来のFRBの利上げと一致する可能性が高く、市場は、今年6月まであと2〜3回の利上げを予想しています。
「その結果、特に2023年3月22日と2023年5月2日にそれぞれ約+0.25のFed(連邦準備制度理事会)が追加利上げを行えば、少なくとも、2023年3月23日と2022年5月18日の次の金利設定会議で一致することができ、ペソ為替レートと全体のインフレを安定させるのに役立つより快適な金利差を維持できます。」と述べています。
リカフォート氏はまた、将来の政策金利引き上げのタイミングと規模は、輸入価格と全体的なインフレに影響を与えるペソの為替レートの動向にもよると考えています。ペソの為替レートが比較的安定していれば、フィリピンの政策金利の調整は、今後のFRBの金利の動きとちょうど一致することになると述べています。
リカフォートは、さらに、BSPの金利設定において、インフレも重要な考慮事項だと指摘します。
「しかし、需要増によらない供給サイドのインフレ圧力は、さらなる利上げを効果的なものにせず、物価とインフレ全体を引き下げるために、食料とその他の商品の地元供給を増やす非金融措置によってよりよく対処できるという事実によって相殺されています。」と述べました。
BSPは2023年の平均インフレ率予測を4.5%から6.1%に引き上げました。政府が目標とする2〜4%を大幅に上回っています。
INGのシニアエコノミスト、ニコラス・マパ氏は、フェリペ・メダーリャBSP総裁のタカ派発言と中央銀行の平均インフレ見通しの上昇から、将来の利上げが期待されるとコメントしています。
インフレ圧力は依然高く、非金融措置がインフレに影響を与えるには時間がかかるというメダーリャ氏の発言を引用し、マパ氏は3月の金融政策決定会合でBSPが主要金利を25ベーシスポイント引き上げると予測しています。
「この新しい情報とメダーリャ総裁の明らかなトーンの変化を考慮し、我々は現在、3月の会合でBSPによる25bp(ベーシスポイント)の利上げを予想しており、BSPは最終的には6.25%を落としどころとしてくると予想しています。」と付け加えました。
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