[東南アジア] コロナ前の働き方に戻りたくない従業員

2021/10/11


アーンスト・アンド・ヤング(EY)が行った、EY2021 Work Reimagined Employee Surveyでは、東南アジアで調査を受けた従業員のうち、パンデミックの制限が国内で緩和されたら、オフィスでフルタイム働くことを希望したのはたった15%でした。好きなところで働きたいと答えたのは32%、完全リモートが29%、出勤とリモートを組み合わせたハイブリッド型を希望したのは23%でした。



この調査は、世界16か国16,000人以上を対象に行われたもので、パンデミックから「ニューノーマル」に向けて、従業員の働き方に対する姿勢や体験を探ったものです。東南アジア(シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピン)からは1,037人が回答しました。



求められる柔軟性

調査から、東南アジアの回答者のうち、10人に1人は、働く場所や時間についての柔軟性を求めています。それがなければ、半数以上(60%)がパンデミック後に辞職を考えるとも答えています。2つの仕事から1つを選べるとしたときの回答者の志向はほぼ半数で分かれました。49%は働く時間の柔軟性を選択、48%は働く場所の柔軟性を選択しました。



概して、パンデミック後は週のうち2~3日はリモートで働きたい人が多く、35%は全体として労働時間を短縮したいと答えています。大半の人(69%)が、ロケーションに関わらず、生産性は正確に測ることができると考えている一方で、この働き方が就業機会へのアクセスに影響を与えうるという認識も根強く(86%)ありました。



より柔軟な働き方を求めて仕事を移ることを厭わないものの、多くの回答者(78%)は、現状の仕事に満足しており、ほぼ全員(91%)が今後12か月は現職を維持したいとも答えています。



EYのASEAN人材アドバイザリーサービスのリーダー、タン・レイ・ケン氏は、Covid-19により、働く場所、働く時間、働き方に大きなシフトをもたらした、と言います。



タン氏は、「ハイブリッド型の働き方や、従業員の働く場所や時間に柔軟性を持たせている雇用者は、時代を先取りしています。このような雇用者の元では、従業員の確保、留保、そして満足において、長期的に良い結果が得られ、事業にプラスの影響を与えそうです。」



また、調査対象となった従業員は、雇用者が、この新しいハイブリッド型の環境の中で、従業員が生産性高く働けるように、また従業員の負荷の管理を改善するように対策を取っていると感じているようです。連携技術への投資、在宅オフィスの設置をサポートするような福利厚生の提供、強いチーム文化の構築などによって、これらの雇用者はニューノーマルで成功していく可能性が高い、とタン氏は述べています。



ハイブリッド型の働き方が生産性・創造性を高める


調査では、既存の仕事のしかたに対する姿勢についても探っています。従業員の多くは、リモートでの働き方についてポジティブな見方をしています。ほぼ半数(53%)は、Covid-19パンデミックを通じて、企業カルチャーが変化・改善した、と答えた一方で、悪化したと答えたのは31%でした。企業カルチャーへの影響以外にも、オフィスとリモートのミックスが会社の生産性を高めると答えた人が73%、創造性を高めると答えた人が75%でした。



雇用者がハイブリッド型の働き方を提供するようになるにつれて、仕事のしかたを変えて、パンデミック中の生産性管理をより高める必要が出てきました。回答者は、「打合せ/Emailフリー」な時間をチーム内・会社内で設けた(49%)、個人の仕事、集中してやる仕事のための時間を別枠で設けた(45%)、ワーク・ライフバランスのために就業時間を明確化した(44%)、生産性ツールを利用した(42%)、合間に休憩が取れるように、打合せ時間を25分~45分に減らした(31%)などの変化が見られたと回答しています。



フレキシブルな働き方には欠かせない技術投資

フレキシブルな働き方がますます広まることが予想される中、職場でも在宅でも、テクノロジーへの需要が高まっています。回答者の73%は、オフィスにより良いテクノロジー(高速インターネット&ビデオ会議)がほしいと答え、52%は高速インターネット/電話料金の払い戻しを受けたいと答えています。



しかし、新しい働き方にシフトし、バーチャル会議の技術が急速に採用される中、パンデミック後には、適度~頻繁に出張に行きたいと答えた人も67%いました。



上記のことから、タン氏は、パンデミックからの回復すべく、成長に向けた仕切り直しをしていく上で、人材が最も重要な資産となる。雇用者は、従業員エンゲージメント戦略、企業文化・生産性における従業員の意識が与える影響、そして対面/ハイブリッド型/デジタル型の仕事のしかたが最適化された状態にあるために必要な技術面の投資を、常に見直す必要がある、と結論付けています。



(出所:Earnst and Young

(画像:Image by Lynette Coulston from Pixabay)