2023/11/15
フィリピン賃貸市場は、新型コロナウイルス感染症にかかる制限の緩和に伴い、徐々に上向いてきています。外国人駐在員も戻ってきています。
総合不動産サービス会社コリアーズ・フィリピンによると、学校、リテール、レジャー施設などがあることから、フォート・ボニファシオが最も外国人駐在員に人気のエリアのひとつです。他には、マカティCBDやロックウェルも人気があるということです。
また、大規模なビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)会社、製造会社、多国間の貸付機関など、さらに駐在員を増やす計画をしている企業からの問い合わせが増えているとも述べています。
目の肥えた外国人駐在員を含め、借り手を引き付けるには、レジデンシャルユニットの維持管理は最高水準であるべきで、ハイエンドな家電がついていればプラスであるとコリアーズは述べています。
流通市場の空室率は以前として17%を超えた状態が続いています。流通市場にはかなりの在庫があることから、コリアーズはデベロッパー各社に対して、魅力的な賃貸スキームや、即入居可(RFO)物件については早期入居キャンペーンを実施するなど、積極的なアクションを取るように提言しています。
デベロッパーの中には、即金で購入する場合には、ダウンペイメント(頭金)5%かつ20%の割引を打ち出しているところもあるようです。
コリアーズは、ベイエリアなど、2023年から2025年にかけてかなりの数のコンドミニアムが竣工を迎えるビジネス街では特に、魅力的なRFOスキームを実施していくべきだろうとコメントしています。
コリアーズ・フィリピンは、不動産デベロッパー各社は金利環境に誘導されており、今後の金利の修正が、今年中に実施するプロモーションや支払いスキームに影響を与えるはずだと見ています。
市場の利回りが低下していることから、不動産会社は、マスタープラン・コミュニティに位置するものを中心に、コンドミニアムの値上がりの可能性を引き続き強調していくべきだとも述べています。また、住宅ユニットの、インフレヘッジとしての可能性にも注目すべきだと指摘しています。
空室率は、2023年末にかけて低下してくるものの、今後竣工するユニットが追加されることで、再び上昇することが予想されています。したがって、コリアーズの2023年から2025年の賃料および価格は、わずかな上昇にとどまる見通しです。
デベロッパー各社も、新規プロジェクトについては慎重ながらも楽観的な見方を続ける見通しで、魅力的な支払いプランや賃貸スキームが続くと見られています。
コリアーズは、フィリピンの不動産市場がリバウンドを始めているとして、その回復の速度はまちまちだとしても、デベロッパー、投資家、そしてエンドユーザーが、「トンネルの先の光が見え始めた不動産市場の果実をやっと享受し始めようとしている」と述べています。
(出所:Business World Online(1)(2))
(画像:UnsplashのPaolo Estrelladoが撮影した写真)
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