[フィリピン] フィッチ、フィリピンの格付け見通しを「安定的」に引き下げ

ニューヨークに本拠を置く格付会社フィッチ・レーティングスは、新型コロナウィルス(Covid-19)流行の影響を受けて景気が後退するとの見方から、フィリピンの格付け見通しを、「ステーブル(安定的)」に引き下げました。

[フィリピン] フィッチ、フィリピンの格付け見通しを「安定的」に引き下げ


ニューヨークに本拠を置く格付会社フィッチ・レーティングスは、新型コロナウィルス(Covid-19)流行の影響を受けて景気が後退するとの見方から、フィリピンの格付け見通しを、「ステーブル(安定的)」に引き下げました。同社が格付け見通しを「ポジティブ」に引き上げてから3か月も経っていません。2020年2月、フィッチレーティングスは、フィリピンのポジティブな経済成長、健全な財政状態と積極的なインフラ整備に触れ、国の信用格付け見通しを「ポジティブ」に引き上げたところでした。


国の信用格付けは投資適格の「BBB」に据え置きとなりました。これは、2017年12月から変わらずとなっています。

今回の見通しの引き下げは、世界的なCovid-19流行の影響と、国内のウィルス感染拡大抑制のためのロックダウンの結果、フィリピンの目先のマクロ経済および財務上の見通しが悪化したことを反映してのものです。


「ステーブル」な見通しは、その国の格付けが今後中長期的(18~24か月間)には引き下げられることも引き上げられることもなく維持される可能性があることを示しています。


見通しが引き下げられたものの、カルロス・ドミンゲス財務長官は、その声明の中で「フィリピンの財務状態は安定しており、世界経済を不況へと導いているこのCovid-19流行が引き起こした前代未聞の課題に対処する準備ができている。」と述べています。


フィリピン中央銀行(BSP)のベンジャミン・ディオクノ総裁も、同じ声明で、「政策金利の合計125ベーシスポイントの引き下げ、準備金比率の200ベーシスポイントの引き下げを含め、BSPが行ってきた迅速かつ断固とした政策支援措置により、余裕ができてきている。」と述べています。


フィリピン中央銀行(BSP)は、2020年4月21日に、コロナ前の経済成長率目標6.5~7.5%から、-1%~0%へと予測を引き下げています。


現在、フィッチレーティングスも、フィリピンの2020年のGDP成長率をマイナス1%と予測しています。昨年の予測6.4%から大幅の下落となりました。


「フィッチは今年経済が収縮すると予測しています。景気救済措置により、2020年の一般財政赤字はGDPの3.5ベーシスポイント以上拡大するでしょう。」


「ベースラインでは、2020年第3四半期から徐々に経済は回復し、2021年には7%成長を達成すると予想しています。」とフィッチは加えています。


2020年第1四半期のフィリピンのGDPは0.2%のマイナス成長となり、84四半期続いたプラス成長が初めてマイナスに転じました。


一方で、フィッチはフィリピンの信用格付けBBBについては、Covid-19流行前の健全な経済を鑑みて、据え置きとしています。政府債務対GDP比が比較的低いこと、対外純債権国であること、中期的な成長見通しは依然堅調であることなど、フィリピンの財政上および対外的なバッファーを反映したものだとフィッチは述べています。


Covid-19の流行は、海外で働くフィリピン人労働者(OFW)からの送金額にも影響を与えそうです。OFWからの送金は、GDPの約8%に貢献しています。フィッチは、原油価格の影響を受けやすい中東諸国からの送金が、2019年の現金送金額の20%を占めていたことを考慮して、今年の送金額は2.5%ほど減少すると考えています。


フィッチはさらに、GDPの2.5%を占める観光収入についても、今年後半に徐々に回復を見せるまでに70%収縮すると予測しています。


観光収入と海外からの送金の減少は、フィリピンの経常収支にもスピルオーバー効果をもたらしそうです。債務残高は2019年には-0.2%でしたが、2020年には-1.6%と拡大しそうだとフィッチは予測しています。


「国外需要の低迷から、輸出も2%ほど収縮するでしょう。原油価格の暴落と輸入需要縮小が、経常収支への影響を緩和している状態です。」

(出所:Business Mirror


■主要格付け機関によるフィリピンの格付け

機関名格付け格付け見通し
フィッチ・レーティングスBBBステーブル
スタンダード&プアーズBBB+ステーブル
ムーディーズBaa2ステーブル

(出所:Trading Economics

(トップ画像:Austin Distel on Unsplash )