2021/12/02
信用格付大手米フィッチ・レーティングス子会社フィッチ・ソリューションズは、フィリピン中央銀行(Bangko Sentral ng Pilipinas (BSP) )が2021年は主要金利を維持するものの、経済の回復に合わせて、2022年は合計75ポイントの利上げを行うと予測しています。
フィッチ・ソリューションズは、経済の問題が残り、国内インフレ率も高止まりしていることから、金融当局が支援を続けると述べています。
「フィッチソリューションズでは、BSPが2022年から利上げのサイクルを開始し、2021年末時点の政策金利2.00%から、2022年末には2.75%にまで上昇すると予測しています。」
2021年11月18日に行われた、金融政策決定会合では、BSPの政策金利は再び据え置きとなりました。翌日物のリバースレポ(RRP)金利は過去最低の2%です。
BSPの主要政策金利は、2020年、パンデミック期間の経済を支えるべく、合計200ポイント引き下げられました。
フィッチソリューションズは、金融政策決定会合の決定は、「フィリピンの2021年の経済問題を考慮すると」広く予想がされていたものだと述べています。
実に、フィリピンの金融政策引き締めサイクルに対して金融市場がますますタカ派の姿勢になってきていますが、022年から引き上げが始まると予測されています。」
レポートでは、金融政策決定会合の実質政策金利は、マイナスの-2.6%に留まったと説明しています。
これは、今年10月末時点の平均インフレ率が政府の目標幅2~4%を超える4.5%となったことを反映しています。
フィリピンの物価指数は、2019年1月以降最高の4.9%を8月に記録したのち、10月には4.6%まで減速しました。
当局は、インフレ率の高まりを、アフリカ豚熱(ASF)による豚肉などの供給や世界的な石油価格の高騰など、供給サイドの要因であると説明しています。
フィッチソリューションズは、インフレ率は政府の目標幅の上半分に留まり、2022年まで平均3.7%程度で推移すると予測しています。
変動の大きい食料品やエネルギー関連を除いて、コアインフレの上昇が加速すれば、「BSPの金融引き締めサイクルがよりアグレッシブになるだろう」とも述べています。
2021年10月単独では、コアインフレは2.5%と、1か月前の3.5%から減速しました。今年これまでのコアインフレの平均は3.6%です。
主要各国で金融引き締めが行われる中での、国内の低金利は、現地通貨に重くのしかかってくると見られています。現在米ドルに対して50ペソ前後で取引がされています。
▶フィリピンペソの対USD為替レート推移(出所:xe)
(出所: Philippines News Agency)
(画像:Photo by Alicia Razuri on Unsplash)
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