[ベトナム] ベトナム不動産への外資流入復活

2020/12/18

[ベトナム] ベトナム不動産への外資流入復活


新規ブランドの参入や既存のブランドのポートフォリオ拡大が見られ、投資活動の再開を告げる最初の兆しが、不動産市場に現れ始めています。


日本の百貨店大手、高島屋は、ホーチミンシティにあるリテールセンターへの投資を行い、そのポートフォリオをコマーシャルおよびオフィスプロジェクトに広げました。


高島屋は、今後3年~4年で、200億円の投資を行うとみられており、その大半が不動産です。


この流れに伴い、高島屋はその子会社である東神開発株式会社を通じて、ベトナムのパートナーであるエデュフィット・インターナショナル・エデュケーションとともに、スターレイク・タイ・ホー・タイの学校プロジェクトの建設と運営に1,250万ドル超を投資することになっています。ハノイのウェストレイクに隣接する絶好のレジデンシャルエリアに位置し、高島屋は現地のコミュニティに国際基準の教育を提供することを目標としています。


学校以外にも、高島屋は、2022年から2025年にかけてのプロジェクトで、ハノイでの2件の大規模商業プロジェクトに加えて、商業およびオフィススペースの開発にも、関わっていくことになっています。


ハノイにあるスターレイクのレジデンシャルエリアは、高島屋が土地の取得から複数の複合用途の建物のリノベーションまで、すべてのステージで参加する初めての海外不動産プロジェクトになります。


一方で、韓国のリフテック(Liftec)およびクムカン・カインド(Kumkang Kind)もまた、最近国内のスマート・コンストラクション・グループ(Smart Construction Group)に加わり、ベトナムにハイテク建設を導入しようとしています。スマート・コンストラクション・グループは、設備の供給に関してはリフテックに、技術移転と不動産プロジェクトについてはクムカンに優先権を与えることにしています。


香港の不動産デベロッパーで香港のみならず、中国、シンガポール、米国でも投資を行うスワイア・プロパティーズ(Swire Properties)は、シティーガーデンと提携して、ホーチミンシティの2区に「ザ・リバー(The River)」を開発しています。スワイア・プロパティーズのCEO、ガイ・ブラッドレー氏は、所得レベルの増加、都市化率の上昇、さらに伸び続ける外国投資により、ベトナムには大きなポテンシャルがあり、さらなる投資機会を開拓していきたいと話しています。


ブラッドレー氏は、「堅調な経済成長と有利な人口構成が、ベトナムを世界でも最も急成長中のマーケットの一つにしています。革新的なマスタープラン、急速に改善する接続性と、従来の中心業務地区への近さから、この開発物件は域内でも最も魅力的なものの一つとなっています。」と述べています。


11月には、オーストラリアを拠点とするスパイア・プロパティ・グループもプレゼンスを見せ始め、ベトナム人顧客に対して、オーストラリアの資産を紹介しています。


2020年第3四半期、不動産市場はパンデミックと低迷する販売に影響を受けてきましたが、不動産業界への海外直接投資のデータを見てみると、前向きな反応が見え始めており、2020年第2四半期から急激な400%増を記録しました。


2020年1月~10月までで、約38億USドルが不動産セクターに投入され、9.4億USドルが66件のプロジェクトに対する新規投資です。


ヴィナキャピタル(VinaCapital)の不動産部門ヘッドを務めるヒエウ・ドー氏によると、工業不動産の需要が加速して急成長していると言います。投資家の間ではベトナムが世界の製造業の主要な拠点となると考えられており、国内の工業団地の地価および成約率が吊り上っているということです。


ヒエウ氏は、「インフラ開発への協力な資本注入と政府の投資インセンティブへのサポートが、このセクターの魅力を増しています。既存の在庫をもつデベロッパーがもっともその恩恵を受けています。というのも、グリーンフィールド開発は、土地の障害物撤去と補償にかかるコストの急増により非常に難しいものになっているからです。」とコメントしています。


DEEP C、BWインダストリアル、VSIPなど、ベトナム国内のポートフォリオの拡大を急いでいるデベロッパー各社の他に、オーストラリアのLOGOSおよびSPGインダストリアルも進出してきています。すべて、北部のバクニン省にある物流システムに投資を行っています。


JLLのアジア太平洋地域資本市場リサーチヘッドのレジーナ・リム氏は、第3四半期、投資量は、中国、韓国、日本で顕著な改善を見せたと明かしています。


「この四半期、多くの投資家が戻ってきました。物流およびデータセンターに関連した資産や不動産への投資意欲を再確認しています。第4四半期には、域内全域、特に多世帯住宅のような資産クラスやシンガポールのようなリバウンドをしている市場で、より広い範囲でのオポチュニティーが生まれるでしょう。」


(出所:Vietnam Investment Review

(トップ画像:Image by D Mz from Pixabay