2018/12/04
2018年11月グローバル市場見通し
JLL社が発表した2018年11月グローバル市場見通しのうち、世界全体の動きと、アジアパシフィック地域の動きについてご紹介していきます。
注目すべき5つのトレンド
1.不動産市場はこのままの勢いで2019年に突入
グローバルの不動産市場は、2018年最終四半期に入り、期待値を上回る形となりました。投資および法人のオフィス契約は、2017年を超える予想で、年末には2007年以来の最高レベルとなりそうです。2019年に入り、これらの活動がやや鈍化する兆しもある一方で、需要は堅調、取引量も今年の例外的に高いレベルからはやや落ち着くでしょう。
<2019年の見通し>
■資本価値 2~3% 増加中
■賃貸料 2~3% 増加中
■開発 4% 増加中
■空室率 12.4% 上昇中
■リース 42百万㎡ 安定的
■投資 7,000億USドル 低下
※リース、空室率、開発、賃貸料、資本価値はオフィスセクター関連です。2019年通年の予想数値です。資本価値、賃貸料および開発の数値は、パーセンテージの変動です。グローバルの空室率=%、リース規模=百万㎡、投資規模=USドル。(JLL、2018年10月)
2.投資家は不確定要素がありながらも安定的
相当量の資本が不動産セクターに投入されましたが、投資家が不動産へのアクセスのアプローチ方法を広げ、代替となる収益を生む資産選びやそれを見つけることのむずかしさが、投資の成長に歯止めをかけるため、取引量は2019年幾分か和らぐ見通しです。
3.フレキシブルオフィススペースの成長続く
フレキシブルオフィススペースの採用は、労働力がより俊敏になり、技術が進歩し、企業がスペースの使い方を再考するにしたがって、さらに増えるでしょう。オフィス契約におけるこの構造上の変化に世界の市場が合わせつつあり、今後5年間はフレキシブルオフィスを利用する企業が増えるとみられています。これは、企業、デベロッパー、投資家にとって大きな影響をあたえることになるでしょう。
4.物流スペースの持続的な需要により供給も拡大
グローバルで物流市場は成長傾向を持続、記録的な需要の高さで、順次新規供給があるにも関わらず、空き倉庫のレベルを下げています。プレリース活動も好調で、投機的な建設も限定的なことから、空き倉庫率も引き続き安定し、賃料のさらなる成長につながるとみています。
中国および日本で、労働力不足が効率のよい現代的な物流スペースへの需要を押し上げた一方で、香港では3PL(3rd party logistics)が拡大しました。シドニーやメルボルンでは需要は安定的でした。賃料は域内のほとんどの市場で上昇、特に競争の激化している北京ではその上昇が顕著でした。
5.リテールは、消費者の嗜好の変化に合わせる
カスタマーエクスペリエンスに重きを置く世界的な傾向により、移りゆく消費者の嗜好に地主が積極的に応えることで、飲食店やライフスタイルブランド、フィットネスセンターなどのノンリテールテナントがシェアを伸ばしています。
他地域と同じく、アジアパシフィックの小売店(特に顕著なのはオーストラリアと中国)は、新しい技術やコンセプトといった形でカスタマーサービスを重視、飲食店や家具店、オンラインブランドを含むテナントのミックスがシフトしています。域内の賃料上昇は限定的でしたが、例外的に香港はセレクトプレミアムモールや観光客向けのセンターなどにけん引されショッピングモールの賃料上昇がみられました。
(出所:JLL)
▶過去(2018年8月)のグローバル見通しを参照
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