2018/08/13
グローバル不動産透明性インデックス:超透明な市場を目指して
▶グローバル不動産透明性インデックス2018の関連記事を読む(Vol.1/ Vol.2)
JLL社より発表されたグローバル不動産透明性インデックス2018。「透明性が高い」国々が今後どこを目指すのかについての記事をご紹介します。
「透明性が高い」トップ11か国は、世界をリードする不動産投資先のほとんどで、インデックスが対象としている100市場への直接不動産投資のほぼ75%を占めます。これらの主要市場は、引き続き透明性の境界を押し上げ、今後の進歩においても、起こりうる崩壊においても、業界における変革の前衛となるでしょう。
世界の最も透明性の高い市場
(出所:JLL, LaSalle Investment Management)
「透明性が高い」市場の中でも注目すべきは、次の二か国です。オランダは、すでに透明性において高いレベルにあったものの、過去2年間で最も改善が進んだ国の一つです。オランダは、プロップテック*の採用とヨーロッパにおける「オルタナティブ資産**」セクターの成長の最前線にいて、不動産業界を新しい時代へと導いてきました。スウェーデンは、「透明性が高い」区分に初めて入りました。しかし「透明性が高い」ステータスは、シンガポール、香港、日本といったアジアのゲートウェーにはまだ与えられないままです。
*プロップテック:不動産テックともいう。不動産×IT分野で活躍するスタートアップ、不動産ポータルサイト運営企業などから生まれた新しい不動産サービスを意味する。
**オルタナティブ資産:株式や債券などの伝統的な投資対象とは異なるリスク・リターン特性を有する資産。具体的には、運用実績のない新興国の株式や債券、未公開株式、不動産投信(REIT)、ヘッジファンド、商品などを対象としたり、信用取引や先物・オプションなどの金融派生商品、ABS、MBSなどの証券化商品などを活用すること。(出所:三菱UFJ信託銀行)
トップ市場が引き続き押し上げるが、今後は課題に直面も
これらの市場は、世界をリードする投資先として、透明性のさらなる高みを常に目指しています。過去2年間で、最下位である「不透明」市場のグループにやや劣ったのは改善幅という点においてのみです。トップ市場は、斬新なプロップテックのツール、公開されたデータに対する圧力、および「オルタナティブ資産*」セクターの成熟の組み合わせにより後押しされてきました。しかし、これらの斬新なツールは、新興するプロップテック**およびフレキシブルオフィスセクターにおけるデータの品質および入手可能性のあたりにはクエスチョンマークがつくものの、機会と同様に課題も見えてくるでしょう。
次はどこへ?
これら変化は、「透明性が高い」国々が今後さらなる高みを求めてどのような方向へ行くのかについてのヒントも与えてくれます。JLL社は、今後2年間で注目すべき4つのキートレンドを挙げています。
・職場の安全および健康:
投資家およびテナントは、従業員及びコミュニティーのウェルビーイングにさらに重きを置くようになっている
・サイバーセキュリティとデータ保護:
不動産プロバイダの収集するデータ量はさらに膨大に。厳重な注意をもって取り扱うことが必要。
・環境、社会およびガバナンス(ESG):
「責任ある投資家」の動きが拡大。社会・ガバナンス関連の目標のための新たな測定基準の策定。
・法的・財務的開示:
不動産ファンドマネジャーに対して複雑な要求を課してくる新しい法制度の設定が続く。
(出所:JLL)
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