グローバル不動産透明性インデックス2018:受益所有権と反マネーロンダリングにスポットライト

JLL社が発表したグローバル不動産透明性インデックス2018。注目されている受益所有権と反マネーロンダリングに関する記事をご紹介します。


受益所有権と反マネーロンダリングにスポットライト

グローバル不動産透明性インデックス2016がリリースされたのとちょうど同じころに漏洩した「パナマ文書*」により、不動産を中心とする、不正な資金調達や租税回避の様々なパターンが明らかになりました。JLL社は、これらが明らかになったことに対する不動産業界の反応や対応について掘り下げています。

*パナマ文書:パナマの法律事務所モサック・フォンセカによって作成された租税回避行為に関する機密文書。1870年代から作成された膨大な記録で、世界の企業や個人がタックス・ヘイブンを利用して租税回避やマネーロンダリングをしている実態が記されており、2016年5月に情報漏えいをきっかけに公表された。 (出所:SMBC日興証券


世論が不動産業界の反応をあおる

これらの衝撃的な事実が明らかになり、過去2年間で不動産関連の規制や施行が最も強化されたり普及したりした分野は以下の4つです。


・反マネーロンダリング(AML)法の施行
・「know your client (KYC)**」チェックの実施
・インサイダー取引と租税回避を阻止するための開示事項の増加
・受益所有権***に関する規則の強化


**KYC:顧客の身元確認
***受益所有者:企業の肩書や資産、株式で名前の記載の有無に関わりなく、資産の所有によって利益を受ける個人や組織のこと。受益所有権の構成を隠したり、偽装したり、不正確に伝えることは、贈収賄や脱税、横領、マネーロンダリング(資金洗浄)など不正活動を手掛ける企業の常套手段だ。企業の登記時に受益所有者の公表を義務付け、匿名企業の利用を制限しようとする動きが増えている。


これらは、不動産、特にレジデンシャルセクターにおける投資が、不正なマネーロンダリング先としてよく好まれるというのが、不動産業界において広く認知されるようになってきたところで導入されました。

調査の範囲が広げられたことは明白です。法を施行しようという努力は、歴史的に見てファンドマネジャーに集中してきました。しかし、助言サービス、仲介、および資産管理にもさらに拡大しています。国際的な不動産サービスプロバイダーは、業界を先導し、国境を越えて、単一の行動規範を採用してきました。確認と文書化が、業務の中心となってきています。


受益所有権の対応では英国がリード

反マネーロンダリング規制が比較的確立されたのに対し、受益所有権に関する法規制はあまり進歩していません。受益所有権おいてリードするのは英国で、2019年に海外のオーナーの国内登録を導入しようとしています。デンマークなどの他のヨーロッパ市場でも、この問題への取り組みがされています。EUの第5次反マネーロンダリング指令の施行****により、今後さらなる対策が打たれることになるでしょう。

法の施行が盛んな「透明性が高い」市場においても、法的規制が不足している時があります。オーストラリア、ニュージーランド、スウェーデンといった国々では、このトピックが積極的に議論されており、今後変化を見ることができそうです。

****第五次反マネーロンダリング指令:2018年7月9日施行。マネーロンダリングやテロ資金調達を目的とした「仮想通貨取引所プラットフォームの使用」や「プリペイドカードによる匿名の支払い」を防ぎ、取引の透明性を向上させるための厳しい規則を制定。匿名性のリスクを防ぐために、仮想通貨の送受信の際に利用する「アドレス」と、仮想通貨保有者のIDとを関連付ける情報を規制当局が入手可能となるためのシステム作り、また、自発的に仮想通貨保有者が当局に申告を行うシステム作りの検討がなされるべきとされている。EU加盟国はそれぞれ、18カ月以内にこの指令を各国の法令に導入する必要がある。(出所:msnニュース


(出所:JLL