[フィリピン] 景気刺激策のコスト回収のために2021年に新税導入検討か

2020/06/15

[フィリピン] 景気刺激策のコスト回収のために2021年に新税導入検討

新型コロナウィルス(Covid-19)の経済的な影響に対応するための景気刺激策にかかったコストを部分的に相殺するため、ドゥテルテ政権は2021年に新しい税制を検討中です。


提案されているものには、デジタル経済への付加価値税(VAT)、高糖度飲料税、ジャンクフード、特に、高トランス脂肪・高塩分食への新規課税などがあります。



■検討中の新税案

新税の提案は、2020年5月14日の、「フィリピン公平かつ団結した回復に向けてのプログラム(仮訳) (Philippine Program for Recovery with Equity and Solidarity)」のプレゼンテーション草案にも含まれており、現在政府による検討が進められています。


財務省マリア・テレサ・アビタン次官補は、新しい税金案について、「コロナ前の成長に戻ることはさておき、成長路線に戻るには、持続可能で、国の全体的な信用力を損なわないような債務が伴っていなくてはならない」と話しています。


新税案は、政府のポスト・パンデミックの回復プランの一部を構成しています。プレゼンテーションの中で、経済活動が少なく今年の財政収入が落ち込むことが見込まれるため、政府は「この危機を構造的な改革の機会として」使いたいと述べています。


興味深いことに、中にはすでに各方面から提案済みのものも含まれています。


例えば、ネットフリックスやアマゾンへの課税をする、デジタルエコノミーへのVAT課税は、アルバイ州選出で下院歳入委員会議長のジョーイ・サルセダ下院議員により、最初に提案がされていたもので、これにより、初年度には150億ペソ、2年目には166億ペソ、3年目には184億ペソが回収できる見通しです。


その他の課税として、トランス脂肪や塩分を多く含む食品への物品税もまた、シンクタンク「国立税務研究センター(National Tax Research Center)」が以前に支持していたものです。当初はもっと高い税率で提案されていましたが、草案では8%で置かれており、2023年までの3年間で8億ペソから10億ペソが回収できるとみられています。


現在の加糖飲料にかかる砂糖税を6%に増税することも検討されています。調整による税収増加分は来年一年で29億ペソ、その後は、2022年には64億ペソ、2023年には107億ペソが回収できる見込みです。


自動車利用者課金の増額への支持も集まっています。政府は、サルセダ下院議員が提案したバージョンの下院法案6236号を特に通過させたいようです。これにより、2021年には108億ペソ、2022年には258億ペソ、2023年には382億ペソが見込まれています。


最後に、オンラインカジノを運営するオフショア・ゲーミング・オペレータに対して「よりよい租税管理」を行う、つまり課税の「足並みをそろえる」ことで、2021年には58億ペソ、2022年には62億ペソ、2023年には66億ペソが徴収できるとみられています。


これらを合わせると、ドゥテルテ政権は、2021年には353億ペソ、2022年には559億ペソ、2023年には749億ペソの税収増加を見込んでいます。


■CREATE法案のためのコストは2022年には1,030億ペソに

この新しい税金案は、法人税・税制優遇適正化法案(通称「CITIRA法案」)を見直した、企業復興税優遇法案(通称「CREATE法案」)による損失を部分的に埋め合わせするとみられています。CREATE法案は、今年7月に可決されれば、30%の現行の法人税率を即時25%に引き下げることになります。CREATE法案もまた、民間投資を促進し、パンデミックからの経済立ち直りを支援するための、景気刺激策の一環です。


CREATE法案により、政府の収益は、2020年には419.6億ペソ、2021年は950.3億ペソ、2022年には1,030億ペソ減少すると見積もられています。

これらの新税提案は、まだ検討段階で、国会での審議されるためには、法案として提出されなければいけません。


(出所:Philstar

(トップ画像:Michal Jarmoluk from Pixabay )