[ベトナム] データセンター開発用の土地需要増

2021/07/12

[ベトナム] データセンター開発用の土地需要増


コロナ禍でオンラインでの仕事が盛んになり、インターネット上のエンターテイメントが増えることで、ベトナムにおいてデータセンターを設立するためにふさわしい土地を探すことが、投資家たちの間で急務となっています。


総合不動産サービス会社JLLベトナムは、ベトナムにデータセンターを設立するための、土地だけでなく、すでに建設済みの建物の取得やリースの問い合わせを多く受けているようです。


「都市の中心部の土地はますます不足してきていますが、郊外にはいい賃料の土地が十分にあり、自然災害からの被害も少ないので、このような需要には理想的なロケーションとなっています。4Gや5Gのネットワークに接続できるかどうかも、投資家がデータセンター用のロケーションを選択する際の決定に大きく影響してきます。」とJLLベトナムのダイレクター、チャン・ブイ氏は話しています。

「アメリカ、インド、日本などのIT投資家は、10,000~30,000平米程度を要求してくることが多いです。」とチャン氏は述べています。


世界経済が圧迫される中で、「不動産投資家は、不況を乗り切るための防御戦略を探しています。よって、データセンターは現在、投資家の関心事項の第1位となっているのです。」と言います。


これ以外にも投資家の注目を浴びているのは、長期的な賃貸契約です。賃貸需要が、従来の不動産市場のアップダウンに影響を受けることが少ないために、より安定的かつ持続的な恩恵を得ることができるからです。


データセンターの利益は、従来の不動産セクターと比べると高めとなっています。例えば、今年、不動産投資市場全体では12%下がっているところ、データセンターへの投資単独で見ると平均して25%成長しています。


ブイ氏は、「過去最低の利回りとなり、成長可能性のあるセグメントに新しいオポチュニティを見出そうとする投資家にとって、データセンターは代替の不動産セグメントとなるのです。」と説明しています。


金融、医療、リテール、コンサルティング各社のオンラインアクセス人気に加えて自己管理型サーバーへの関心低下もまた、クラウドソリューションの需要を高めています。これらすべての要素が、データセンターの需要を伸ばしている原因となっているのだ、とブイ氏は指摘しています。


データセンターへの投資は、ライブストリームや、在宅勤務、そしてオンライン会議がいまだかつてないデータを生み続けるにつれて、ゼタバイト時代に対応するものになります。


アメリカの多国籍テクノロジー企業シスコの2016年のレポートによると、ゼタバイト時代は、世界のインターネットトラフィックが1.2ゼタバイトの閾値を超え、現実のものとなりました。2020年初にパンデミックが始まり、世界中で都市の封鎖が起こり、ソーシャルディスタンスや在宅勤務が実施されたことで、日常生活の様々なものが変化しました。


今年、シスコは、世界のインターネットトラフィックが、2016年と比較して3倍になり、3.3ゼタバイトに到達すると予想しています。うち、オンラインビデオトラフィック(ネットフリックやYouTubeを含む)が82%を占めます。


シスコはさらに、2021年インターネットに接続されるデバイス数は、世界人口の3倍以上だと予想しています。その271億台のデバイスのうち、43%がモバイル接続です。


JLLのレポートでは、世界のデータセンター収益は、年間15.7%成長していると述べられています。クラウドコンピューティングとストレージサービスは、2021年1,630億ドル相当に到達すると見られています。これは、2017年から30%近く増加していることになります。


「データ量の成長率は、今後も急激に伸びていき、データセンター市場の明るい未来を約束するでしょう。」と同レポートでは述べられています。


しかし、データセンターの建設費用は、従来の倉庫やオフィスビルの建設費用と比較すると数倍かかることから、投資家の中には多くの課題に直面する者もあるでしょう。


都市ごとに定められた規定も課題です。よって、市場のファンダメンタルズ、財務の健全性、現地のルールを理解することが必要です。


データセンターは、データを保存・分析するサーバーのためのインフラを賃貸するビジネスの不可欠な部分です。世界のデータセンターは、災害耐性や稼働信頼性など、ニーズによって4つの段階(ティア)に分けられます。


ベトナムには現在、もっとも高いティア4のデータセンターは存在しません。今は、ティア3基準を満たすデータセンターが5つあり、そのほとんどがVNPT、CMCテレコム、FPTテレコム、VDCグループ、ヴィエッテル・グループといった国内の通信会社によって運営されています。



(出所:Vietnam Investment Review

(画像:Photo by Jordan Harrison on Unsplash )