2021/08/02
[フィリピン] パンデミックの傷跡残るも人口ボーナスから恩恵受ける
イギリスを本拠とするオックスフォード・エコノミクスは、域内でも最も長く最も厳しいCovid-19ロックダウンの一つを実施するフィリピンが、政府の「貧弱な」財政刺激策により、経済が今後数年にわたる「深い傷跡」を負うと述べています。
2021年7月末に発表されたレポートの中で、オックスフォード・エコノミクスのアジア担当主任エコノミストのショーン・フェナー氏は、アジア太平洋地域でも「最も大きな永久的な損失の一つ」を被り、2025年の国民総生産(GDP)は、パンデミックが起こらなかったら達成したであろうレベルよりも8.4%低くなるだろうと述べています。
オックスフォード・エコノミクスは、フィリピンの今後4年間のGDPの不足分は、これまでのトレンドの1.75年分が失われたのに相当するとして、アジア太平洋地域最大だと述べました。
オックスフォード・エコノミクスは、「フィリピンは、パンデミックが始まって以来感染拡大を封じ込めるのに苦戦しただけでなく、ロックダウンの厳しさを勘案すると財政対応は貧弱たった。これにより、投資・雇用予測を大幅に引き下げるに至った。」と述べています。
「2021年第1四半期の投資は、コロナ前のレベルを25%程度下回っており、第2四半期の失業率は、パンデミック前のほぼ2倍となっている。」と指摘しています。
したがって、オックスフォード・エコノミクスは、フィリピンのこの10年のGDP成長率を平均4.6%と見積もっています。
パンデミック前は、オックスフォード・エコノミクスによる2020年~2029年のフィリピンGDP成長率予測は、これよりも高い平均5.1%でした。
10年間の見通しがやや暗くなったものの、オックスフォード・エコノミクスは、それでもフィリピンは、「域内においても、世界的に見ても、最も急速に成長する経済圏の一つ」であることには変わりないと述べています。
アジア太平洋地域において、オックスフォード・エコノミクスの予測では、フィリピンは潜在成長率において、ベトナム、インド、中国の次で、インドネシア、マレーシア、タイ、シンガポール、韓国といった近隣国のほとんどに勝っています。
「労働市場からの貢献度は長期的に軟化することを予想しているものの、フィリピンはいわゆる「人口ボーナス」からの恩恵を受け続けるでしょう。これが、依存人口よりも労働力供給が急速に成長することで、成長への後押しとなります。」とオックスフォード・エコノミクスは説明しています。
「さらに、パンデミックによってやや見通しは軟化したものの、貯蓄率の高さと、依然として非常に有利な資本利益率もまた、投資、株式資本、生産性にとってはいい兆候です。生産性向上もまた、アメリカの生産性水準へのキャッチアップ(追いつき)からの恩恵を受けるでしょう。」
(出所:Business Inquirer)
(画像:Image by Ronnie Rey Manjares from Pixabay )
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