[ベトナム] ハノイの住宅価格上昇率、所得を上回る

2023/08/28


不動産コンサルタント会社サヴィルズ・ベトナムによると、ハノイの住宅価格は2019年以降、人々の所得の2倍のペースで上昇しています。



同市は2023年までに一人当たりの所得を1億5,000万ドン(約91万円)に到達させようとしており、これは2019年から年率6%の上昇に相当します。



一方で、同期間のアパート価格の上昇率は13%でした。



また別のコンサルタント会社CBREベトナムによると、2023年第2四半期のセカンダリー市場におけるアパートの平均販売価格は1平方メートルあたり3,300万ドン(約20万円)、タウンハウスは1億5,400万ドン(約94万円)でした。



ベトナム統計総局によると、ハノイのサラリーマンの平均所得は月970万ドン(約6万円)です。



したがって、給与だけを当てにして住宅を購入する場合、50平方メートルのアパートを購入するためには15年近く、75平方メートルのタウンハウスを購入するためには100年近くの所得が必要となる計算です。



ベトナムの不動産取引サイトBatdongsanによると、ハノイの労働者の平均所得は1億3500万ドン(約82万円)であるのに対し、タウンハウスの平均価格は63億ドン(約3,830万円)、アパートは31億ドン(約1,885万円)となっています。



同サイトによると、ハノイは住宅価格と平均所得の差が東南アジアで1位だということです。



2018年から2021年にかけて、その差は着実に拡大し、シンガポールをも追い越しました。



市場調査会社スタティスタ(Statista)のデータによると、2020年のシンガポールのアパートの一次市場での価格は、世帯収入の中央値の15.4年分相当でした。



インドネシア、マレーシア、タイでは、格差は縮小の兆しを見せています。



米国のテクノロジー企業イノーヴァ・インターナショナル(Enova International)のプラットフォーム「NetCredit」の調査によると、ハノイの住宅価格は平均所得の45年分に相当します。このため、ハノイは世界で最も住宅購入が困難な首都のひとつとなっています。



サヴィルズ・ハノイのシニア・ディレクターであるDo Thi Thu Hang氏は、需要と供給のギャップは依然として大きく、価格の高騰につながっていると述べました。



2023年から25年にかけて、ハノイでは15万7000世帯が増加する予測ですが、供給される高級アパートは5万9000戸、低層住宅は9000戸、公営住宅は1万8700戸にとどまります。そのため、7万300戸の住宅が不足することになります。



マンションの販売価格は18四半期連続で上昇し、2019年第1四半期から73%上昇しています。



サヴィルズはこの原因を地価と建設費の上昇だとしています。住宅商品の品質向上や周辺の公共施設・インフラ整備への投資も、新築物件の価格を押し上げています。



不動産コンサルタント会社DKRAベトナムの研究開発部副ダイレクターVo Hong Thang氏によると、ハノイで約50平米、平米当たり単価4,000万ドン(約24万円)以下のアパートを分割払いで購入するには、最低でも月収2500万ドン(約15万円)が必要だと述べています。



また、購入者は銀行から借り入れをする前に、家の購入費用の少なくとも40%を確保するための長期的な貯蓄計画を立てる必要があるとも話しています。



(出所:VNexpress
(画像:UnsplashのTran Phuが撮影した写真)