[ベトナム] ホーチミンシティのアパートメント在庫は5年で最低レベルに

2020/04/27

[ベトナム] ホーチミンシティのアパートメント在庫は
過去5年で最低レベルに



新規供給が限定的なことから、、2020年第1四半期のホーチミンシティのアパートメントの在庫は、昨年同期と比較して42%減となり、過去5年で最低レベルとなりました。

総合不動産サービス会社サヴィルズ・ベトナムによると、ベトナムの旧正月テト(1月25日)前に予約受付したプロジェクトはたった3件で、新型コロナウィルス(Covid-19)のロックダウン前に発売開始したものでした。これらのプロジェクトは、2区のデルッソ(D'lusso)、とシティグランド(Citigrand)、ビンチャイン県のウェスト・ゲートで、ロックダウン前に平均79%の成約率を達成しました。

サヴィルズ・ホーチミンシティ事務所のレジデンシャル販売ダイレクター、グエン・カン・ドゥイ氏は、しっかりとした資本基盤があるため、Covid-19流行にもかかわらず、アパートの支払スケジュールが遅れたり、債務不履行になったりするケースはほとんどなさそうだと話しています。

ホーチミンシティ全体で販売されたユニット数は、4,700ユニット強と前年同期比で32%減少しました。

▼ホーチミンシティ・アパートメント販売(出所:Savills)



2020年販売の大半は、Covid-19流行前の1月、2月に発生したもので、成約率は50%超とポジティブでした。

しかし、ソーシャルディスタンシング措置と観光の制限により、ホーチミンシティの賃貸需要も減速気味となりました。

2020年第1四半期末までに、高価格帯、中価格帯、アフォーダブル、すべてのグレードにおいて、賃貸利回りが減少しました。2019年以前は6~8%だった賃貸利回りは、グレードAで4%、グレードBで5.2%程度にまで減少しています。


今後数四半期は、国境の封鎖や、不確定なタイムラインに加えて、買い手も注意深くなることから、賃貸需要および投資目的でのバイヤーは影響を受けるでしょう。利回りも圧力を受けることが予想されます。

しかし、2021年以降は、Covid-19が落ち着いてきて、グレードA、グレードBともに賃貸目的で購入された在庫の水準が低いことから、賃貸需要は回復するとみられています。

短期的には、未済の借入金の増加により、セカンダリー市場にも圧力がかかるでしょう。サヴィルズがグレードA、グレードBプロジェクト40件を対象に行った調査では、売買契約の未払い残高は今後増加し、2021年第1四半期にピークを迎えるとみられています。

Covid-19の個人所得への影響が、分割払い金を支払えない短期投資家数の増加に表れており、セカンダリー市場の価格に圧力をかけています。しかし、特定のハイエンド開発を見ていくと、支払スケジュールは保たれており、債務不履行や支払延長の申請などは今のところないようです。キャッシュに余裕のある投資家にとっては、価格の低下と非流動性が長期的なオポチュニティを与えてくれているようです。

ソーシャルディスタンシング措置は、デベロッパーの販売戦略にも影響を与えていますが、一番影響を受けているのはバイヤーの行動です。

医療や生活に不可欠なサービス、教育機関が近くにあることがますます重要になってきており、ハイエンドなバイヤーは小規模・低密度かつプライバシーがあり、アメニティのそろった物件を好むようになるでしょう。

大手デベロッパーの多くは、プロジェクトの発売を延期したり、オンラインでの販売を強化したりしています。2022年までで在庫は147,800ユニットに上るとみられており、うち60%がグレードCとなる予定です。

緊急金利切り下げを含む、政府主導の刺激策と、住宅ローンの貸し手の貸出意欲が、Covid-19の影響を緩和する助けになるでしょう。

デベロッパー各社は、支払期間の延長をしたり、競争力のあるマーケティングを維持するために負債を抱えることが増えてくるかもしれません。世帯のサイズを減らし、ホーチミンシティの人口増を安定的な年間2%程度に保つことが、長期的な回復の後押しになりそうです。

(出所:Vietnam Investment ReviewSavills

(トップ画像:Peggy und Marco Lachmann-Anke from Pixabay )