[ベトナム]ホーチミン市ラグジュアリー住宅市場 2020年は有望

2020/03/24

[ベトナム]ホーチミン市ラグジュアリー住宅市場 2020年は有望

ベトナム南部の開発ハブ、ホーチミン市の住宅市場では、特にハイエンド分野で供給の減少が強い価格上昇を引き起こし、2019年を終えました。

承認に長時間を要する現在の開発許可制度が一夜にして改善することはなく、この現象が2020年以降も続くと、専門家は見ています。

先日プロパティ・インサイト(Property Insight)とCBREベトナムが共同開催した「2020年住宅市場の展望(Residential Market Outlook for 2020)」と題したセミナーで、投資家、不動産デベロッパー、住宅購入者を対象に、2019年国内市場の総括と2020年の見通しが紹介されました。

2019年価格高騰の波はハイエンドマンションが先導

CBREによると、2019年のホーチミン市コンドミニアム市場は、新規供給の著しい落ち込みを記録。第4四半期末の総供給数は286,000件を超えました。供給は減少傾向にあるものの、契約数は引き続き新築ユニット数を上回り、昨年までの数年間で販売用不動産の在庫は5%にまで下がりました。

「顧客が新築だけでなく、既存物件も購入の視野に入れているということは、前向きな兆候です。」ヴォ・フイン・トゥアン・キエット氏(CBREベトナム 住宅プロジェクト・マーケティング アソシエイト・ディレクター)は述べました。「現在市場に残る販売用不動産はたったの5%となりました。」

また、昨年はラグジュアリー物件が起爆剤となり、全住宅セグメントにおいて新しい価格帯が確立されました。ハイエンド物件の価格は近年急激に上昇し、2019年第4四半期には1平方メートルあたりの平均価格が、前年比10%の延びに等しい6,308 USドル(約69万6,709円)となりました。

「2004年から2009年に着工されたプロジェクトの価格は、2,000〜3,000 USドル(約22万〜33万円)/㎡程度でしたが、2018年から2019年には10,000 USドル(約110万円)/㎡まで上がるプロジェクトを多く目にするようになりました。」ヅオン・トゥイ・ヅン氏(CBREベトナム ヴァリュエーション、リサーチ・アンド・コンサルティング シニアディレクター)は言います。「これはハイエンドマンションの価格の著しい変化を示す重要なマイルストーンです。」


ホーチミン市コンドミニアム販売価格予想 

縦軸:価格(USドル/㎡)

ピンク:ラグジュアリー 黄緑:ハイエンド 緑:ミッドエンド 水色:低所得層向け

(図表:CBRE APAC Real Estate Market Outlook 2020 Vietnamより抜粋) 

今後の課題とオポチュニティ

審査に時間のかかる開発許可制度や、金融引締め政策による不動産信用収縮などの課題は依然として続き、2020年はタフな一年になると、専門家は予想します。しかし、この現状は反対に、既に許可を受けている投資家にとってはチャンスとなるのです。

一人当たりの所得の急成長と海外投資家の関心の高まりを受け、コンドミニアム所有に対する需要は増え続けています。不動産非営利団体アーバンランド・インスティテュート(ULI)とグローバルな専門サービス企業PwCによる最新報告書では、投資展望においてホーチミン市がアジア第3位にランクインし、不動産開発展望においては1位という結果になりました。特にラグジュアリー物件が投資家を惹きつける魅力となるようです。

「ベトナムのスーパー富裕層は急速に増えており、インフレ回避のために土地や不動産への投資を希望しています。マンションは劣化のリスクを伴い、それに合わせて収益も減少します。対象的に、ハイエンド物件は国際的な専門機関による運営管理という保証があります。それがハイエンド物件の需要増加の理由です。」と、経済学者グエン・スアン・タイン氏は述べます。

ソンキム・ランド社(SonKim Land) CEOのアンディ・ハン氏は、ホーチミン市2区トゥーティエム地域に建てた同社のラグジュアリー物件は、市場から多くの人気を集めていると言います。需要は国内の顧客のみならず、シンガポール、香港(中国)、韓国の購入者からも高まっており、高需要は少なくとも今後5年は続くと、ハン氏は予想します。

限りある供給と強い需要は、マンション価格の上昇を押し進めて来ました。特にリング・ロード3号線沿いや、都市鉄道(メトロ)1号線への好アクセス物件、ロンタイン国際空港付近の物件が特に人気を集めています。

ホーチミン市の不動産市場は、複雑な2020年を迎えるものの、今後数年間で可能になる成長と発展に向けた大きなポテンシャルを持つと、専門家は見ています。

「リスクを感じる時にこそ、買うべきです。明日は必ず価格が上がるので、マンションは今日が一番買いなのです。私は一刻も早い購入をお勧めします。」ハン氏は結論づけました。

購入者にとっての魅力と目覚ましく上昇する価格帯を武器に、ハイエンドセグメントは今後も戦勝して行きそうです。

(出所:Vietnam Investment Review