2020/07/17
[マレーシア] 観光業界の回復にむけた動き
新型コロナウィルス(Covid-19)の流行と、3月18日から実施されている活動制限令(MCO)によりマレーシアの旅行業界の活動はストップしていました。
観光関連ビジネスは大打撃を受け、多くのホテルや事業者は閉鎖または事業縮小に追い込まれ、多数の失業者を出しています。
しかし、2020年6月に発表された経済回復計画(Economic Recovery Plan)は観光業界のリバイバルを促しそうです。
政府は、観光業界の中小企業が、ニューノーマルのなかで生き残り、競争力を維持できるように、変革のための資金を提供するための10億リンギット(約250億円)の融資枠(Penjana Tourism Financing)を確保しました。資金の詳細は今月発表されます。
このほかに、観光業の支援策として、観光税(tourism tax)の免税が2020年7月1日~2021年6月30日まで、ホテルのサービス税(service tax)免税が2021年6月30日まで延長されることになっています。
旅行代理店、ホテル、航空会社など、観光業の事業者については、税金の分割納入期限も12月31日まで延長されることになります。この3か月の延長は、2020年10月1日から12月31日について有効となっています。
国内観光を促進すべく、2021年12月31日まで、国内観光費用1,000リンギット(約25,000円)の個人所得税の税額控除も受けられます。
2018年、9,250万リンギットが国内観光に支出され、2017年は8,310万リンギットでした。
パンデミック前、政府はマレーシア観光を促進する「Visit Malaysia Year 2000」キャンペーンを掲げ、観光客数3,000万人、観光収入1,000億リンギットを目指していました。
2020年3月には、マレーシアホテル協会(Malaysia Association of Hotels)のヤップ・リップセンCEOは、3月16日までに、170.085件のホテル予約、総額6,800万リンギット(約17億円)がキャンセルされたとコメントしています。
ヤップCEOは、今回の融資制度で観光業界にも希望が見えてきたと言います。
MCOが実施されてから2か月半経ち、ホテル業界のビジネスはほぼゼロに近い状態となった一方で、人件費や間接費を払い続けなければいけません。そんな中、従業員に無給休暇を与えたり、給与カットをしたり、さらには解雇したりと、ホテル側も厳しい決断を迫られています。
ホテル協会の調べでは、業界で働く人のうち26%が無給休暇を言い渡され、20%は給与かった、6%が解雇されたと言います。ヤップCEOは調査から現在までで、さらに多くのホテルが閉鎖を発表しているため、その数は増えているのではないかと考えています。
ヤップCEOはまた、賃金補助プログラムの延長についても大いに歓迎し、失業者の雇用にインセンティブを与えることで、業界が回復に向けて再び人の雇用を始めることを後押しするだろうと述べています。
■回復期のRMCOで州をまたいだ移動が可能に
2020年6月10日~8月31日、条件付き活動制限令(CMCO)に代わって、回復期の「回復活動制限令(RMCO)」が発令されています。これにより、州をまたいだ移動も可能になり、厳しい健康管理のもと、会議やワークショップもできるようになりました。しかし、国境は閉鎖のままです。
ヤップCEOは、この動きは観光業界にとって大きな意味のあるものだとコメントしています。旅行業界の回復への道を作る、国内旅行が再開されるからです。
観光業界関係者は、この日のために準備をしてきました。特にホテル業界は、観光客や利用者に清潔で安全な滞在を楽しんでもらうためのガイドラインを作成してきたようです。
RMCOが始まり、ヤップCEOは、観光業界が、レジャー旅行だけでなく、出張の増加も期待しています。ホテルは、安全を確保するための標準手順(SOP)を順守すべく投資や支出を行う一方で、室料を下げたり、魅力的なパッケージプランや、宿泊施設の公式ホームページ上での直接予約にプロモーションを打ち出したりしています。
(出所:New Straits Times、TTA Asia)
(トップ画像:Siti Rahmanah Mat Daud on Unsplash )
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