[グローバル] 100万USドルでどれだけ不動産が買えるか?

2023/07/18


英不動産サービスのナイト・フランク社が、100万USドルでどのくらい不動産が買えるのかを比較するレポートを発行していますので見ていきましょう。



ナイト・フランク社は、100万USドルで何平方メートルの一等地が買えるかで、世界の主要都市をランク付けしました。100万米ドルで買える広さと、世界で最も高価な住宅市場はどこなのかが見えてきました。



モナコは、前年に引き続き、世界で最も高価な住宅市場の座を維持しています。しかし、2022年には、通貨高により、米ドルベースで購入すると、前年と比較して2平方メートル余分に購入することができました。



▼100万USドルで購入できる一等地の面積(出所:ナイトフランクを元にPropertyAccess作成)



ニューヨーク(33平方メートル)がロンドン(34平方メートル)を抜いて3番目に高い都市となりましたが、これもドル高の影響によるものです。これら2都市とシンガポール(34平方メートル)はほぼ互角でした。



ドバイの年間44%の価格上昇率から、不動産価格の高騰を連想させますが、ナイトフランクは、価格上昇の出だしが低いベースであることを指摘しています。よって、ドバイでは100万米ドルで105平方メートルが購入できることになり、香港の5倍の広さが得られます。



これが、ケープタウンやサンパウロに行くと、同じ予算で200平方メートル以上のスペースを手に入れることができます。




スーパープライム市場とウルトラプライム市場 


また、同レポートでは、金利上昇と経済の不確実性に直面したときの、スーパー・プライム市場とウルトラ・プライム市場の回復力を検証しています。



これによると、住宅市場のトップエンドの活動は、記録的な2021年の後、2022年もパンデミック前の高い水準を保っていることが分かりました。



パンデミックによるプライム、スーパープライム、ウルトラプライム市場の活況は2022年も世界的に続きました。2022年、世界の10市場で行われた1,000万USドル以上の取引は1,392件でした。これは、2021年に記録された2,076件の取引に比べると減少しているものの、それでも2019年の水準を49%上回っており、263億USドルの売上に相当するということです。



ニューヨークでは、1,000万USドル以上の売買が244件あり、最も活発なスーパープライム市場の座を維持しました。これに、ロサンゼルスとロンドンがそれぞれ225件と223件と続き、トップ3を占めています。米国のスーパープライム市場における活動の規模は、ナイトフランク社が発表するPIRI100(Prime international Residential Index)におけるプライム価格の伸びと一致しています。



多くの市場セグメントと同様、2022年後半は、借入コストの上昇と景気後退の影響が感じられ、取引が鈍化しました。とはいえ、取引件数の44%は後半のもので、鈍化はそれほど大きく感じられませんでした。



意外なことに、最も回復力を見せたのはヨーロッパの都市だった、ともレポートでは述べられています。ジュネーブとパリのスーパープライム市場の売上はともに増加し、ロンドンの売上は2021年比でわずか2件減でした。ウルトラプライム市場でニューヨークとトップの座を分け合うロンドンは、2,500万米ドル以上の取引を43件記録しました。この取引件数は、2014年以来の高水準となりました。



ナイトフランク社は、2022年を、「2021年の異常事態の後の過渡期のような年であった」と表現しています。パンデミックのトレンドが継続する一方で、逆風が強まり、資産や投資戦略を見直す動きが見られました。2023年、取引は過去2年よりは減少するものの、パンデミック以前の水準に戻り、依然として活発な取引が行われるため、このような正常化のプロセスが続くと思われる、とレポートでは述べられています。




(出所:Knight Frank

(画像:Image by MARIE SCHNEIDER from Pixabay)