2021/12/06
アートからファッションまで、NFTが世間を騒がせています。NFTは、いまやデジタルで作られたものだけではありません。実物資産もNFTに変換され、売買がされています。NFTが投資業界に起こす革命の対象には、不動産も含まれています。
NFTの特徴とは?
お店でトークンを購入して、それを使ってアイテムと交換することがあります。同じコンセプトがNFTにも当てはまります。何か資産を持っていて、それをNFTマーケットプレイスで取引しようと思ったら、まずは所有権を表すトークンにするのです。このトークンをNFTと呼びます。
NFT=資産の所有権を保護する究極的な方法
偽造などが蔓延する今、芸術であれ、音楽であれ、脚本であれ、個人の作品を保護するというのは、とても難しいことです。資産をNFTに変換すると、唯一無二のトークンを手にすることになります。このトークンが、ブロックチェーンのネットワークに乗せられると、もはや改ざんができなくなります。したがって、資産をNFTに変換してブロックチェーンに乗せることは、所有権を保護する究極の方法です。
この特徴を利用して、NFTが活用されている業界には以下のようなものがあります。
■芸術
デジタルアートの取引こそがNFTの始まりです。今年に入ってからは、デジタルアーティスト「Beeple」のデジタルアート作品「Everydays - The First 5000 Days」が、美術品オークションハウスのクリスティーズにて6,900万ドルで売却され、デジタルアート作品とNFTに大きな注目を呼びました。
■ゲーミング業界
ゲーミング業界もまた、NFTの恩恵を最も受けた業界の一つです。ユーザーは、ゲームの種類に応じて、様々なアイテムをトレードできるからです。例えば、カードゲームでは、プレイヤーはカードを収集して他のプレイヤーとトレードすることができます。これらのプロセスがゲーミングプラットフォームで行われるので、ゲーミングプラットフォームそのものがマーケットプレイスのような機能を持ち合わせていることになります。
■音楽業界
作品を保護することが難しい、というのは作曲家や作詞家についても当てはまります。しかし、今では、楽曲、歌詞、アルバム、BGMなどをNFTに変換することで、彼らの作品をトークン化することができるようになっています。
上記に限らず、ファッションやビデオなども、デジタル収集品としてのNFTの恩恵を受けています。
不動産業界におけるNFT
NFTがデジタル上で創造された作品に限定されないというのは、実際どういうことなのでしょうか。NFTがどのように不動産業界で活用されうるのかを見ていきましょう。
あなたが不動産を所有していたとしましょう。それをNFTに変換することで、NFTとしてマーケットプレイスに掲載して買い手を探すことができるわけです。つまり、他のデジタル資産と同じように、土地や住宅といった不動産を、その所有権を保証した上でマーケットプレイスに掲載して、売りたい時に売ることができるのです。
NFT不動産と小口化した所有権
以前は、不動産がNFTに変換されても、それを一つのものとして、所有、販売、または購入することしかできませんでした。そこで現れたのが、分割所有(フラクショナル・オーナーシップ)です。不動産の所有権を細かく分けて、複数のバイヤーに販売するというものです。土地や住宅をNFTに変換したあと、オーナーは複数のトークンに分割し、物件の小口化された所有権をバイヤーに与えるのです。不動産を一件まるごと購入するには多額の資金が必要ですが、小口化されたNFTであれば、小口投資も可能になります。
NFTと貸付
NFTが物件の分割された所有権を与えるのであれば、住宅ローンはどうでしょうか?個人がNFT化した不動産を持っていれば、そのNFTを担保にして貸付プラットフォームを通じてローンを受けることができます。暗号通貨の世界にも貸付プラットフォームが存在し、プラットフォームのユーザーは、保有する暗号通貨の価値を担保に融資を受けることができるのです。
NFTに変換して取引するというコンセプトが認知され始める前の2017年、テッククランチ社の創設者、マイケル・アリントン氏は、不動産プラットフォーム「プロピー(Propy)」でNFTベースのアパートメントを購入しました。2021年には、アリントン氏は、この2017年に購入したNFTベースのアパートメントをオークションにかけ、36イーサで売却しています。
最近では、デジタルの3D住宅であるである「マーズハウス」NFTが50万ドルで売却されました。マーズハウスの中のバーチャルツアーをすることもできます。
ますます高まる人気と投資家からの注目を受けて、起業家たちがNFTマーケットプレイスのプラットフォームを次々と立ち上げようとしています。NFTが不動産業界に起こす革命には、これらもますますの注目が集まりそうです。
(出所:Data Driven Investor)
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