海外不動産投資の確定申告について必要書類や手順を解説します

海外不動産投資を始めたけれど、どうやって確定申告すればいいのか、どんな書類を集めれば良いのかなど、疑問に思う人もいるのではないでしょうか。この記事では、海外不動産投資でかかる税金や必要書類および、確定申告の手順などについて解説します。


海外不動産投資の確定申告について必要書類や手順を解説します


海外不動産投資で課税される税金

海外不動産投資でも国内不動産投資と同じく所得税と住民税が課税されます。また、物件を売却するときにも譲渡所得税がかかります。


所得税と住民税

物件購入後に賃貸運用することで得た利益に対し、所得税と住民税が課税されます。なお、例えばサラリーマンの場合は、賃貸運用で得た利益と発生した経費について、給与所得と合算が可能です。不動産投資の所得と給与所得とを合算することを、損益通算と言います。

海外不動産投資の収益が赤字になった場合は、給与所得と損益通算することで節税が可能です。ただし、損益通算するためには確定申告が必要になります。


物件売却時に課税される譲渡所得税

海外不動産を売却した場合も、日本国内の不動産を売却した時と同様に譲渡所得税と住民税が課税されます。物件の売却額から売却時の簿価を差し引いた金額が売却益とみなされ、売却益が課税対象です。

売却益を算出するときには、物件の購入額ではなく簿価を用いる点に注意を要します。簿価とは、物件の購入額から減価償却費を差し引いた後の金額です。また、譲渡所得税は物件の保有期間によって税率が異なります。

物件購入の翌年1月1日以降5年未満で売却すると、短期保有とみなされて約40%の譲渡所得税および住民税が課税されます。5年以上経過してから売却すると、長期保有とみなされて税率が約20%に下がります。税金を抑制するためには、譲渡所得税が変わるタイミングを意識して売却することが必要です。


日本と海外双方で確定申告が必要



海外不動産投資をすると、日本と物件が所在する国との両方で確定申告が必要になります。


二重課税を防ぐ外国税額控除

海外現地で課税される税金は、投資先の国によって異なりますが、大半の国で所得税が課税されます。日本と海外との双方で税金が課税されるのでは、海外不動産投資は税負担が重いのではと思う人もいるでしょう。

しかし、日本と租税条約を締結している国で不動産投資をする場合は、日本と海外とで同じ税金が二重に課税されることはありません。二重課税を防ぐ仕組みのことを外国税額控除と呼びます。

規定の条件を満たしていれば、日本で課税される税金から、海外で支払った税金を控除可能です。なお、控除できる税金には制限があります。控除の限度額を計算する方法は以下の通りです。


所得税額×(国外所得税額÷所得総額)


所得税に控除を適用しても控除額が余った場合は、住民税から控除できます。それでも控除額が余った場合は、一定額を上限として3年間繰越可能です。なお、外国税額控除は、海外の税金が決定しないと利用できない点に要注意です。投資先の国で税金額が決定するタイミングによって、控除を適用できるのが翌年になることもあります。


海外不動産投資の収支について



海外不動産投資に関する確定申告で計上すべき収入や経費などについて解説します。


計上すべき収入

海外不動産投資の確定申告で計上すべき収入は以下の通りです。


  • 家賃収入
  • 礼金
  • 共益費

礼金については、日本国内の不動産賃貸において慣習的に徴収されるお金なので、海外不動産投資で必ずしも発生するわけではありません。共益費についても、家賃とは別途徴収するかどうか、賃貸管理会社との話し合いが必要です。

なお、これ以外に敷金と保証金を徴収した場合は、収入へ計上する必要に迫られる場合があります。敷金と保証金については、入居者が退去したときに入居者へ返還するお金です。しかし、例えば家賃滞納などで入居者を強制退去させた場合は、オーナーの収入となるため計上が必要になります。


計上可能な経費

海外不動産投資で計上できる経費は以下の通りです。


  • 賃貸管理会社に支払う管理依託費
  • 固定資産税などの税金
  • 火災保険などの保険料
  • 物件の修繕費
  • ローンを利用した場合の支払金利
  • 減価償却費

いつどの経費が発生するのかわからないと思う人もいるかもしれません。しかし、賃貸管理を管理会社へ委託している場合は、管理会社が収支のレポートを作成しています。収支レポートを確認すれば、経費が発生したタイミングと金額について確認可能です。


海外不動産投資で節税する仕組み

アメリカ不動産は特に、節税目的で不動産投資をしたい人向けに販売されてきました。海外不動産投資では、減価償却費を計上することで節税できます。

しかし、税制改正によって、2022年の確定申告からは海外不動産投資で発生した減価償却費を経費計上できなくなります。今後、海外不動産投資は家賃収入や物件の売却益を狙った投資が中心となるので、節税を考えている人は要注意です。

税制改正についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
▶︎2020年(令和2年)度の税制改正大綱で、海外不動産投資の節税はどう変わるのか。


確定申告の手順



海外不動産投資に関する日本の確定申告について、手順を具体的に解説します。


必要書類を用意する

最初に、確定申告書に添付が必要な各種書類を収集します。添付が必要な書類は以下の通りです。


  • 源泉徴収票(サラリーマンで給与所得を得ている場合)
  • 購入した物件の売買契約書
  • 物件購入に関する精算書(クロージングステートメントとも呼ばれます)
  • 入居者と取り交わした賃貸借契約書
  • 賃貸管理会社から取得する管理レポート(家賃収入額等を確認するため)
  • 海外現地で発生した税金の納付書
  • ローンの返済予定表(ローンを利用している場合に限ります)

なお、運用期中に臨時の修繕などが発生した場合は、修繕費の支払いに関する領収証もあるとベストです。また、2021年に確定申告する場合は、売買契約書に土地と建物の金額を按分して記載されているか確認が必要です。ただし、外国人が土地を所有できない国もあります。土地を所有できない国で投資している場合は確認不要です。


収支内訳書を作成する

必要書類を収集したら、確定申告で提出する収支内訳書を作成します。収支内訳書には複数の種類がありますが、海外不動産投資の確定申告で利用するのは不動産所得用の様式です。収支内訳書には投資で発生した収益と経費を記入します。

また、物件を売却した場合には、収支内訳書とは別に「申告書第三表」という書類が必要です。なお、物件を売却しても低い価格でしか売れなかった場合は、損失を被ることもあります。しかし、物件売却に伴って発生した損失は、家賃収入や発生経費とは違って損益通算できません。譲渡所得は給与所得と分離課税されるので要注意です。


外国税額控除明細書を作成する

海外と日本とで同じ税金を二重に課税されないためには、外国税額控除明細書を作成します。現地で支払った税金の名称や金額などを記入し、繰越控除額がある場合は併せて記入します。


確定申告書を作成する

収支内訳書および外国税額控除明細書の作成ができたら、確定申告書の記入に移ります。確定申告書では、海外不動産投資で得た収入以外にも、給与所得や医療費控除なども併せて記入が必要です。


外貨の為替換算について

海外不動産投資では投資した国の通貨で収入を受け取ります。しかし、日本で確定申告をするときには、外貨を日本円へ換算することが必要です。日本円への換算には収入および経費発生日の仲直を用います。

しかし、物件を複数年にわたって継続的に保有する場合は、収入は買い相場・経費は売り相場の金額で計上することも可能です。為替の選択によって課税対象額を減らせることもあります。確定申告をするときには為替にも着目すると良いでしょう。


まとめ:不明点は税理士にも相談を

海外不動産投資の確定申告も、計上する収入や経費については日本国内の不動産投資と大きな違いはありません。しかし、二重課税を回避するための外国税額控除など、海外不動産投資特有のわかりにくいポイントもあります。わからないことがあれば、税理士に相談するのも有効です。

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