[カンボジア]IMF、カンボジアの2022年GDP成長率予測を5%に据え置き

2022/12/22


ワシントンに本拠を置く国際通貨基金(IMF)は12月18日、地政学的紛争やコロナウイルス関連の苦境による新たな下方圧力にもかかわらず、カンボジアの2022年実質GDP(国内総生産)成長率予測を、9月の発表から変更なしの5%としました。



これは、IMFがカンボジアとの「第4条協議*」の終了に伴い発表したプレスリリースで明らかにされたものです。
(*IMF協定第4条の規定に基づき、加盟国と行う協議)



IMFは、「新たな圧力にもかかわらず、回復が続くと予測されます。実質GDP成長率は、年初の輸出の好調を受け、2022年には5%、2023年には、外圧と物価上昇が実質可処分所得に与える影響によって減衰するものの、観光業の継続的回復と現在行われている政策支援を継続することで、5.5%近くになると予測されます」と述べています。



12月19日のIMFデータでは、カンボジアの2021年名目GDPは263億1300万ドルであるのに対し、世界銀行(WB)は269億6100万ドルを挙げています。



「見通しをめぐる不確実性は特に高く、リスクは下降に傾いている。最も差し迫ったリスクは、民間債務の増加、主要な大規模経済圏の状況、インフレである」とリリースは続けています。「インフレ率は今年がピークで、2023年には低下し、その後は輸入品に限定すればさらに低下すると予想されます。」



「IMFの理事たちは、カンボジアの強力な経済的バッファーと強固な危機対応に支えられた、パンデミックからの力強い経済回復を歓迎しました。理事たちは、外需の鈍化や民間債務の増加など国内の脆弱性の増加による下方リスクにもかかわらず、成長見通しはおおむね良好であることに同意しました。」と付け加えています。


一方、世界銀行は12月7日の声明で、9月に発表したカンボジアの2022年の経済成長率見通し4.8%を維持したことを発表し、コロナ後の目覚ましい経済回復を強調しました。しかし、今後数ヶ月の間に予想される世界的な逆風により、その見通しが損なわれる可能性があると警告しています。



世界銀行のカンボジア、ラオス、ミャンマー担当のマリアム・シャーマン国別担当ディレクターは、同国が観光産業や幅広い経済を強化するための行動を取り、財政状態を強化し、潜在的な外需ショックに備えるよう勧告しました。



シャーマン氏は、「景気回復と行政の改善により、税収は増加しています。課税ベースを広げることは、カンボジアの経済を促進し、主要貿易相手国の成長鈍化を乗り切るために必要なリソースを確保することにつながります。特に観光とホスピタリティは成長が期待できる分野です。」と述べています。



この声明では、カンボジアの経済成長率が来年5.2%に改善されると予測されると付け加えています。雇用の増加が国内消費の増加を支え、インフレが後退するためです。



同様に、IMFはプレスリリースで、当局に対して「物価の安定を損なうことなく、影響を受けやすい脆弱な家計を支援するために財政政策を調整し、同時に金融部門のリスクと汚職の脆弱性に対処するための措置をとる」よう勧告し、中央銀行(カンボジア国立銀行)に対して「金融条件をコロナ以前のレベルに徐々に回復させることで貸出残高の伸びをコントロールする」よう助言しています。




(出所:Asia News Network

(画像:UnsplashのRoth Chanvirakが撮影した写真)