[インドネシア] 不動産市場のリバイバルを目指すも、中央銀行の政策ジレンマが強調される

インドネシア中央銀行は、低迷する不動産市場に活気を取り戻そうと新たな取り組みを始めています。

[インドネシア] 不動産市場のリバイバルを目指すも、中央銀行の政策ジレンマが強調される


インドネシアの中央銀行が、脆弱な通貨を守るべく金利引き上げを行う中、インドネシア銀行総裁のペリー・ワルジヨは、東南アジア最大の経済圏における成長の勢いを維持できるよう、低迷する不動産セクターのリバイバルにかけています。

5年前、物価上昇の中でもインドネシアの高級アパートが高騰、裕福なバイヤーの中には現金一括払いする者もいました。ブームが去り、経済成長が鈍化、不動産投機を抑制するような規則ができ、急ブレーキがかかりました。

現在、当局は購買意欲を刺激しようとしています。8月から、中央銀行は初回のマイホーム購入者に対して、15%の住宅ローン最低頭金を廃止し、融資実行ルールを緩和、低迷する信用拡大を支援しようとしています。

「我々の経済成長をサポートしなくてはなりません。」とワルジヨ氏は最近のインタビューで答え、不動産がほかの複数のセクターに影響を与えうると主張しました。

これは、インドネシアにおける市場の急落を受け、ルピアの保護を目的として、中央銀行が金利IDCBRR=ECIを6週間で100ベーシスポイント上げたことによります。

インドネシア銀行(BI)の上級官であるフィリアニングシ・ヘンダルタ氏は、住宅ローンのルールが緩和されたことで、今年の経済成長に0.04ポイント貢献すると見積もっています。これは微々たる影響に見えますが、インドネシアの高い金利が成長の速度を緩めるため、ルール変更による純粋な貢献分は歓迎されるのです。」

BIの成長予想は、5.1~5.2%、一方で2017年は5.07%でした。

しかし、商品市場の冷え込みと金利の上昇により、不動産を経済の柱としようとするのは、現在の状況における当局の信頼できる政策のなさを際立たせるかもしれません。


ゆっくりとした足並み

スタンダード&プアーズは、BIの新しい方策にも関わらず、不動産販売は横ばいだとみています。

「大幅な回復はないとみています。2019年の後半まで、よくて選挙後までは、すべてがゆっくりとした足並みで動くとみています。」2019年4月に予定されている国会議員選挙および大統領選挙に言及して、アナリストのカ・リン・チャン氏は言いました。

近年、インドネシア最大のオンライン住宅ブローカーであり、オーストラリアのREAグループ (REA.AX)の一員であるルマ123.comは、販売が低迷しています。

ルマ123.comのカントリーマネジャー、イグナティウス・ウントゥン氏によると、「バイヤー数は昨今伸び悩んでいる」そうです。

銀行は、頭金を完全には廃止せず、その代わりに顧客のリスク特性に基づいて住宅ローンの金利を調整すると発表しています。

パニン銀行の副プレジデントダイレクター、ルースニアティ・サリヒン氏は、冷え込んだ需要が不動産の最大の問題だと指摘します。「市場の再活性化が必要です。銀行セクターは、客が飛び込んでくるのをただ待っているのです。」

インドネシア不動産協会会長のスレーマン・スマウィナタ氏は、最も楽観的なシナリオは、来年、販売ユニット数の10%増だと言います。

「しかし、不動産業界は人の心理が影響するので予測が難しい。」ともスマウィナタ氏は言ってます。

賃貸志向

インドネシア国民銀行(バンク・ラヤット・インドネシア)の消費者バンキングダイレクターのハンダヤニ氏は、若い世代はマイホーム購入よりも賃貸を好むと指摘します。

「今どきの子どもは賃貸して、お金に余裕ができたら旅行をすることを好むのです。」とハンダヤニ氏は見ています。

銀行が頭金をまったく求めなくなったとしても、それは、顧客にとってみれば月々の支払いが増えるだけのはなしで、金利も高いし納得ができないのです。」不動産サービス会社コリアーズ・インターナショナル・インドネシアのシニアアソシエートダイレクター、アルディ・ガリバルディ氏は、BIの方策では需要に拍車をかけるには至らないと言います。

BIの緩和策は歓迎だけれども、中央銀行は一人当たりの最大融資本数に関するルールを廃止するなどさらなる努力をして、融資書類に署名したら銀行にさらにお金を支払わせるようにすべきだと、デベロッパーであるスマレコン・アグン(SMRA.JK)のプレジデントダイレクター、アドリアント・アディ氏は言います。

BIの住宅ローンに関する発表により、若い世代のインドネシア人の中には、マイホーム購入の検討を始めた者もいます。

新婚のケルル・エスティアン氏(28歳、銀行勤務)は、物件探しを始めました。貯金が少ないので、頭金の支払いをしなくて済むことを願っています。エスティアン氏は、金利が高くて最終的なコストが高くなったとしても、購入するつもりです。

「リスクはリスクですが、一番大事なのは自分の家が持てることです」とエスティアン氏は言います。


(出所:Reuters