2021/06/28
[フィリピン] インフラプロジェクトで今年160万の雇用が生まれる
フィリピン政府が現在推し進めている大規模インフラプロジェクトで、今年さらに160万の雇用を生み出すことができる、とドゥテルテ政権のインフラ担当高官らが述べています。
公共工事担当長官マーク・ビジャール氏は、アジア・インフラストラクチャー・フォーラム2021で、政府の「ビルド・ビルド・ビルド」プログラムは、公共インフラ支出が、前政権までは、平均してGDPの2%程度だったものを5%まで引き上げることによって、これまでに650万の雇用を生み出した、と述べています。
別のフォーラムでは、社会経済企画担当のカール・ケンドリック・チュア長官が、政府は引き続きインフラへの支出を進め、今後数年で1兆ペソ超を投資していく計画であることを明かしています。
ビジャール氏は、「ビルド・ビルド・ビルド」の中でも、特に112の旗艦プロジェクトの実施は、パンデミックに端を発した景気後退から経済が立ち直るためには「きわめて重要だ」と言います。
国家経済開発庁(NEDA)の長官も努めるチュア氏は、持続的なインフラ開発が、2兆ペソ(4.6兆円)の回復プログラムの一部を構成していると説明しています。
Covid-19ウィルスの脅威が残る中、ビジャール氏は、現在進行中のプロジェクトは、個人保護具の着用、ソーシャルディスタンスの確保、検査・医療支援に加えて、日々の建設作業員のモニタリングといった健康・安全の手順にしっかり則って行われていると話しています。
Covid-19対応に政府の限られた財源を優先的に回さざるを得ない中、ビジャール氏は、インフラプロジェクトの中には、財政的な余裕を残すべく、優先順位が高くないとみなされたものについては後回しにするなどの対応を取ったものもあると説明しています。
対外債権に加えて、十分な資金を有する国の大手財閥が、ドゥテルテ大統領の大がかりなインフラプログラムのもと、112の旗艦プロジェクト、総額4.7兆ペソ(約10.7兆円)の大半の資金供給を行います。
NEDAが2021年6月下旬に発表した「ビルド・ビルド・ビルド」の旗艦プロジェクトの見直しリストによると、総額2.6兆ペソ(約5.9兆円)の大規模プロジェクト54件が政府開発援助(ODA)の資金援助を受けることになっています。これには、アジア開発銀行、アジアインフラ投資銀行、世界銀行などの多国間貸付機関や、中国、日本、韓国などとの二国間開発協力から出される融資や助成金が含まれています。
20件は、民間発意の官民パートナーシップ(PPP)プロジェクト、総額1.5兆ペソ(約3.4兆円)です。これらのプロジェクトは、スイス・チャレンジ・システムを通じて、入札者が提案事業者よりも良い提案をしない限りは、提案事業者がプロジェクトを実施することになります。
NEDAの委員会が2021年5月12日に承認した、最新リストの中で最も規模の大きいプロジェクトは、民間発意のPPプロジェクトである、7,357億ペソ(約1.7兆円)の新マニラ国際空港で、コングロマリットであるサン・ミゲル社がブラカン州に建設しようとしているものです。このプロジェクトは、次の政権中に完成が予定されています。
その他のプロジェクト3件、総額958億ペソ(約2,184億円)は、行政発意の官民パートナーシップ(PPP)プロジェクトです。7件は、PPPとその他の資金調達法の混合となります。5件のPPPは、追加料金徴収契約(STOA)(1,484億ペソ/約3,384億円)付き、1件はODA資金調達(649億ペソ/約1,480億円)、1件は国家予算から拠出されます(266億ペソ/約606億円)。
政府の旗艦リストに含まれている2件のプロジェクト、総額201億ペソ(約458億円)は、民間が100%資金提供し、実施するものです。
1件のプロジェクト、283億ペソ(約645億円)は、ODAと国家予算の混合で資金供給されます。
残りのプロジェクト25件、総額1,862億ペソ(約4,245億円)は、政府の年間予算でまかなわれることになっています。
セクター別では、交通・モビリティが旗艦プロジェクト76件(4.3兆ペソ/約9.8兆円)、都市開発プロジェクト12件(1,564億ペソ/約3,566億円)、水資源関連が10件(1,060億ペソ/約2,417億円)、情報通信技術(ICT)8件(849億ペソ/1,936億円)、医療4件(464億ペソ/1,058億円)、電力・エネルギー2件(201億ペソ/458億円)となっています。
(出所:Business Inquirer)
(画像:Photo by Shane McLendon on Unsplash )
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