2022/01/25
フィリピンの不動産投資信託(REIT)は、2022年も引き続き明るい材料になりそうです。
JLLフィリピンの副会長、ジョーイ・M.ラドバン氏は、今年、デベロッパー各社が将来の拡大計画に備えて資金を調達する代替案として、また市場での信頼性を確立するために、REITを立ち上げてくると予想しています。
リーチュウ・プロパティ・コンサルタンツの社長兼CEO、デイヴィッド・T.リーチュウ氏は、2022年、REIT各社の健全な立ち上がりを期待しています。リーチュウ氏は、現在ポートフォリオの評価の依頼を受けている会社の数を鑑みると、今後12か月間で、毎月2社の割合でREITが立ち上がる可能性があると言います。
不動産サービス各社は、次のREITの波が押し寄せるのは、工業不動産部門だと睨んでいます。
「生産部門の回復に加え、より多くの工業スペース・倉庫スペースの必要性から、工業不動産は人気となるでしょう。」とコリアーズ・フィリピンのアソシエート・ダイレクター、ジョーイ・ロイ・ボンドック氏はコメントしています。
ダブルドラゴン・プロパティーズ社とジョリビー・フーズ社は、ダブルドラゴンの工業リース子会社である「セントラルハブ・インダストリアル・センターズ社」を通じて、2022年に工業REITを立ち上げる計画を発表しています。
工業部門以外に、RCBCセキュリティーズ社のラウル・Pルイス社長は、経済の再開が見込まれる中、リテールスペースなどの商業不動産のREITが増えるだろうと予測しています。
サントス・ナイトフランクのリサーチヘッド、ジャン・ポール・D.クストディオ氏は、レジデンシャル、ホスピタリティ、エネルギー資産などを中心としたポートフォリオのREITの立ち上げも増えてくる可能性があると見ています。
「SMDC(SMデベロップメント社)、ビスタランド(ビスタランド&ライフスケープス社)なども2022年にREITのIPOを行いたい意向を発表しています。」
シティコア・エナジーREITは、新しい太陽光発電所の建設のための資金調達を計画しています。オフィス不動産を保有するREITが多い中で、初のエネルギー特化型REITになります。
フィリピンには現在、アヤラランドのAREIT、ダブルドラゴンのDDMP REIT、フィリンベストのFilinvest REIT、ロビンソンズランドのRLコマーシャルREIT、メガワールドのMREITの5社のREITが証券取引所に上場しています。
フィリピン最初のREITデビューを飾ったのがAREITで2020年8月、残りの4社は2021年に上場しました。
KMCサヴィルズの共同創始者兼マネージングパートナーのマイケル・マッカロウ氏は、「パンデミックにもかかわらず、REIT4社が上場し、市場参入し、工業およびオフィス資産から利益を得ようとする意欲溢れる業界プレイヤーの力強い自信の表れです。」と述べています。
ティムソン・セキュリティーズ社のトレーダー、ダレン・ブライン・T.パンガン氏は、これまでのところ、上場したREITの業績は上々で、参入を検討する企業が今後増えてくるのではないかと見ています。
「リテール投資家は、ポートフォリオを多様化する新しい手段として、REITを拡充していくことに心を躍らせるでしょう。」
中國銀行セキュリティーズのリサーチ・ダイレクター、ラスティン・マッキー・D.メルカド氏は、稼働率および資産評価も今後改善してくると予想しています。
「稼働率は、景気やパンデミックの状況が改善するにつれて上がってくるでしょうし、エスカレーション率は、自然とインフレへのヘッジになります。」
「資産評価も、経済活動が改善してくるにつれて、上がってくるでしょう。」
リーチュウ氏は、どのREITがより上質のポートフォリオを抱えているか、より質の高いテナントを抱えているか、またより質の高い賃料を提供しているか、投資家の目もますます肥えてくるだろうと話しています。
(画像:Photo by Marga Santoso on Unsplash )
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