バンコクの投資環境と新規プロジェクト2018年

2018/05/15

バンコクの投資環境と新規プロジェクト


バンコク

バンコクもしくはクルンテープマハナコーン(略語クルンテープ)は、タイ王国の首都である。人口8,249,117人(2010年)、面積1568.737km²。都市圏人口は2016年時点で1500万人を超えており、世界有数の大都市圏を形成している。東南アジア屈指の世界都市でもある。


2018年バンコクの不動産市場見通し

1.バンコクのコンドミニアム市場

バンコクのコンドミニアム市場は、激化する競争と、マスマーケットの国内投資家の流動性の先細りから、課題に直面するでしょう。
デベロッパー各社は、新しい開発用地を確保する際に、その新プロジェクトのロケーション、プロダクトおよび位置付けが、特定のターゲット層に合っているか、よく注意が必要です。BTSに近いなどの何か一つ特徴があればローンチから数日内で売り切れるとか、デベロッパーのブランドの評判が売り上げを押し上げるなどといった日々は遠い過去です。
JLL社は、レジデンシャルデベロッパー各社は、リスク分散のために他のアセットクラスへの投資を続けるとともに、新規プロジェクトの売り上げを押し上げるために海外での販売・マーケティングに力を入れるとしています。

2.バンコクのオフィス市場

オフィス市場は非常に健全なレベルを保つでしょう。現在、空室率は常時低く、平均賃貸料は常時高い状態が続いているからです。
2018年、240,000㎡の新規リース用スペースの投入が予定されている一方で、そのスペースの三分の一以上はすでにプレリースされており、多くのプロジェクトが好ロケーションかつ高品質なことから、リースは好調だと予想されています。新規供給があるたびに空室率は多少上下しますが、そのレベルは歴史的に低いレベルを行くとみられています。

さらに、JLL社は、賃貸料も緩やかなペースで上昇するだろうとしています。2018 年に投入予定の新規オフィスプロジェクトの発表がいくつかありましたが、大規模な計画が進むことはないとみています。
 
3.タイのホスピタリティ市場

2017年、タイは3,500万人以上の海外からの観光客を迎え、公式数値で2018年には、3,700~3,800万人にまで増加する予想です。これらの観光客の半分がバンコクを通過するため、記録的な旅行者がホテルセグメントを通して常に高稼働率と平均室料を支えています。2012年以来最高となる4,000室近くの新規供給が2018年に完成予定ですが、どのセグメントにおいても好調な業績を収めることが期待されます。

4.タイにおけるリテール市場

リテール市場は、回復の兆しを見せていますが、依然として課題が残ります。特にやっかいな家計の負債レベルです。
先が明るいのは、CPNのショッピングセンターのポートフォリオに見られる健全な賃料の成長、さらに広い範囲では、ビッグCとセブンイレブンの堅調な同一店舗売上高の成長、特に後者2店は国内の個人消費の主要な先導者となっています。2018年、CPNやサイアム・フューチャーといったリーディングプレイヤーから、急成長する郊外エリアおよび十分に整備されていない都市エリアを活用して、バンコク都市圏においていくつかのグリーンフィールドの新規ショッピングセンターの計画が発表されていますが、投資の大部分が、資産強化の取り組みに引き続きターゲットを置いているものとみられます。

2018年の新規供給という意味では、今年オープン予定の唯一の大規模リテールセンターアイコンサイアムに注目が集まります。アイコンサイアムは、タイ初のアップルストアが入り、それだけで集客が見込めるだけでなく、タイ人、外国人観光客ともに集客が見込める文化的な店舗を多数そろえる予定で、この先の動向が注目されます。

(出所:Thailand Business News


コンドミニアム市場

バンコクポスト紙から、2018年のコンドミニアム市場に関連する記事をいくつかご紹介しましょう。

■2017年、供給伸び、コンドミニアム45,000ユニットが未消化

タイ経済は、2017年概してポジティブな傾向を見せたにもかかわらず、コンドミニアムの需要はほとんど伸びませんでした。売れ残ったユニットは、45,000ユニットを超え、デベロッパー各社の大きな懸念となっています。

不動産コンサルタント、コリアーズ・インターナショナル・タイランドのジェネラルマネージャー、ラチャプン・ジョンパクディー氏によると、デベロッパー各社は毎四半期利益を計上しなければならず、売れ残りのユニットを先に売り切るためにプロジェクト開始を延期することができなくなっています。
デベロッパー各社は、昨年、集客のために、素晴らしいルーフトップや大規模プロジェクトといったプロジェクトデザインやユニットコンセプトで差別化を図ってきました、とラチャプン氏は言います。

デベロッパー各社は、タイ人バイヤーよりも先に外国人バイヤーや投資家への販売を行うなどもしました。過去数か月にローンチしたコンドミニアムプロジェクトの多くは、好ロケーションにより平均以上の価格で売れています。
 
バンコクのコンドミニアム市場は2017年成長を続け、公共交通機関の路線が多数建設中なのを鑑みると、今後もその傾向が続くでしょう。タイ人の需要は限られる一方で、外国人バイヤーは投資目的で見ていますので、デベロッパー各社は外国人バイヤーに販売するときには注意が必要だとラチャプン氏は言います。
 
2018年のコンドミニアム供給は、市内・市外において55,000~60,000ユニットほど増える見通しです。今年の新規供給量は、5%程度のずれはあるとしても、2017年の供給量と同じくらいになるとみられています。
 
2018年、タイデベロッパーと海外デベロッパーとのジョイントベンチャーは2017年と比べて増えるとみられています。主要海外パートナーとは、中国、日本、香港、シンガポールの企業などです。というのも、タイの不動産市場は、外国人投資家からまだまだ需要があるからです。
 
コリアーズのリサーチによると、バンコクのコンドミニアムの平均成約率は、昨年75%で、吸収されるべきユニットが36,000超あります。売れ残ったユニットのうち54%程度が、平米あたり50,001~100,000バーツで売りに出されたもので、過去数年にローンチした多くのプロジェクトの価格帯です。
 
多くのデベロッパーがポートフォリオの中でもハイエンド・ラグジュアリープロジェクトを増やそうと努めたものの、バンコクの最大消費者グループを構成するミドル・ローレベルの市場をあきらめたわけではありません。平米あたり200,000バーツ超のコンドミニアムの平均成約率は、61%だった一方で、平米あたり200,000バーツ以下のコンドミニアムは、69%と高止まりしました。
 
外国人バイヤーは、タイの上場有名デベロッパーにとって、特にスクンビット通り沿い、ラチャダーピセー通り沿い、CBDのプロジェクトの新しいターゲットとなっています。しかし、現在工事中の公共交通機関の新しい路線沿いのプロジェクトを外国人バイヤーに販売したデベロッパーもありました。

上場デベロッパーのコンドミニアムプロジェクトの中には、2017年第4四半期にローンチが予定されていたにもかかわらず、プレセールスの初日に売り切ったものもありました。コリアーズによると、新築コンドミニアムの平均販売価格は毎年15~20%ほど増加しており、ロケーションによってはさらに高いところもあったとのことです。

(出所:Bangkok Post



■バイヤーに依然として人気のスクンビットエリア



大量のコンドミニアム供給にもかかわらず、スクンビットエリアは引き続きバイヤーにとって魅力的なエリアで、2018年第1四半期時点で、約70%の販売率を記録したとCBREタイは伝えています。

CBREマネージングディレクターのアリワッサー・パタナダブット氏は、スクンビットはバンコクのダウンタウンの中で最大のコンドミニアム供給を誇り、第1四半期時点で14,000ユニットのローンチがあったといいます。

「スクンビットエリアで販売されたコンドミニアム供給の総数は、10,000ユニットと高く、供給量が多かったにもかかわらず69.8%を占めています。」といいます。

バンコクのダウンタウンのその他のロケーションは、新規コンドミニアム供給において6,000ユニット以下となりました。

スクンビットに続いてコンドミニアム供給が多いロケーションは、シーロム・サトーンで、5,700ユニット程度でした。

しかし、スクンビット郊外のロケーションもまた、コンドミニアムの最高販売率を記録、総供給3,600ユニットのうち88.2%となりました。これに続くのは、セントラル・ルンピニの84.1%、シーロム・サトーンの82.7%およびパトゥムワンの80.6%となりました。

他にも2エリア、リバーサイドとラーマIII世通りで、それぞれ78.6%と43%でした。

昨年第4四半期時点で、高級コンドミニアムの平均販売価格は、平米あたり270,499バーツで、前年から15%上昇しました。

リバーサイドが、平均販売価格としては最高で平米あたり330,000バーツ、続いてセントラル・ルンピニの288,000バーツ、スクンビットが262,000バーツ、シーロム・サトーンが240,200バーツでした。

(出所:Bangkok Post