バンコクの投資環境と新規プロジェクト2019年

タイ・バンコクの2019年の投資環境と新規プロジェクトについて見ていきましょう。

バンコクの投資環境と新規プロジェクト2019


タイの不動産市場見通し2019年

2019年はバンコクの不動産市場に重要な変化の一年になる、とCBRE社はそのレポートで述べています。タイ中央銀行は、2018年12月19日、7年ぶりに政策金利を1.50%から1.75%に引き上げました。金利が上がることで、デベロッパーのコスト増となり、国内バイヤーの投資活動を鈍化させることになりそうです。多くのセクターで成長が緩やかになる一方で、新規供給の波も訪れるとしています。レアな土地を求める競争は、上昇する地価とロケーションの良いフリーホールドの土地が少ないことを背景に、依然として過熱状態です。しかし、新しい規制が導入されようとする中、デベロッパーたちは一歩下がって様子見に入っていると言います。

同社が発表しているセクター別の見通しを見ていきましょう。

■レジデンシャル

国内需要の鈍化と地価の上昇、そして今後の新規供給などもあり、デベロッパーは2019年、新規プロジェクトの立ち上げやプロジェクト用地の取得により慎重な姿勢を見せそうです。

ただし、ロケーションの良いフリーホールドの土地、特にマストランジット路線沿いへの需要は依然高い状態が続くでしょう。中央業務地区(CBD)におけるロケーションの良い土地が少ないことから、コスト増にさらに拍車をかけることになりそうです。例えば、ランスアン通りでは、平米あたり775,000バーツ(約273万円)という記録的な値段がついたといいます。

また、ハイエンドなコンドは熾烈な競争となっています。CBREによると、平米あたり300,000バーツ(約105万円)を超える希望価格を提示しているコンドミニアムを次々に打ち出しされており、直近では平米あたり250,000バーツ(約88万円)程度が普通のようです。

バイヤーにとっては選択肢が豊富にあるため、CBREは多くのプロジェクトにおいて販売が鈍化するのではないかとみています。完成済みのプロジェクトで売れ残ったユニットは、在庫一掃のために割引されて売られています。 

新規プロジェクトの競争は価格だけではありません。デベロッパーはバイヤー獲得のために独自のセールスポイントを付け加えています。最近よく見られるセールスポイントとしては、ホームオートメーションや賃貸管理プログラム付、複合用途開発などがあります。

この激化した競争の中で、CBREは、勝者となるのは、ユニットのレイアウトやデザインがいいプロジェクトではなく、適したライフスタイルを適した価格で売ることができる物件だと指摘しています。 

タイ銀行により、住宅ローンの規制が厳しくなり、金利が上昇したことで、2019年はコンドミニアムのデベロッパーにとっては課題の多い一年になりそうです。同時に、2019年3月24日に行われた総選挙も、経済やインフラプロジェクトの進捗に影響を与えることがあるかもしれません。供給が増える中、国内のエンドユーザーによりけん引される需要という不確定感と、外国人の需要がいつまで続くのかという不安感から、コンドミニアム市場の見通しはより不透明なものとなっています。

また、この結果として、CBREは、需要が弱まるにつれ、2019年はレジデンシャル開発においてタイデベロッパーと外国パートナーとの合弁によるプロジェクトは少なくなるとみています。


■オフィス

2018年、バンコクのオフィス需要は概して堅調に推移し、主にサービス業および製造業に従事する国内および多国籍企業にけん引されました。世界的なトレンドにならって、バンコクのオフィス市場も変わってきています。アジャイル(機敏)な職場とコワーキングスペースが、バンコクで大規模なオフィススペースを賃貸するにあたって重要な役割を果たしています。新規オフィスが新たに市場参入すると、古い建物が改築やアップグレードなどをすることで競争力を保たなければいけないという圧力にもなります。

こういった敏捷性のある職場環境ソリューションを採用する企業が増えるにつれて、入居する企業はなるべく少ないスペースに多くの従業員を配置しようとするので、オフィスの総賃貸面積は減るのではないかとCBREは見ています。同社は、今後4年間で200万㎡あまりのオフィススペースが市場投入される予定で、同社は成約賃貸面積は年間200,000㎡程度程度とみています。


■リテール

世界的なリテールシーンがEコマースとオンラインショッピングに移行するにつれ、2019年、バンコクのリテール市場も徐々にそのトレンドに追いつきつつあります。Eコマースが引き続きリテール業最大のトレンドの一つとなるでしょう。Eコマースが世界のリテールシーンを独占するにつれ、実店舗を持つリテーラーは、オンラインのプレゼンスを高めたり、店舗のみでしか手に入らないものを増やしたり、オンラインではできない商品やサービスを提供する、つまり体験重視型のショッピングセンターや「リテールテイメント」の場を導入したりするなどの必要に迫られています。オムニチャネル(オフライン・オンライン両方の融合)の採用が増えることで、リテーラーが必要とするスペースも減ってくるかもしれません。

CBREは、リテール市場は、経済が回復すれば上向きになると期待しています。入居率は高止まりする一方で、今後市場に投入される量も相当なものです。弱小ショッピングセンターは、Eコマースや今後市場投入される供給とのダブルの脅威で、テナントを維持し呼び込むのに苦戦しますが、一方で賃料は大きな変動を見せなさそうだとしています。 


■物流

2019年のRBF(Ready-Built Factory、建売・賃貸用工場)市場については、総供給量が安定的に推移する一方で空室率は減少する見通しです。というのも、既存の工場のリースが継続する、もしくは製造業者に売却されるからです。RBFの需要は、2019年の貿易戦争の影響にもけん引されるでしょう。デベロッパーの多くは、顧客固有の要望に沿って10年~15年という長期のリース期間で運営されるビルド・トゥ・スーツ型の戦略に移行するでしょう。

■資本市場

国内の需要が弱まるため、デベロッパーは、レジデンシャル、コマーシャルの開発用地の購入に際してより選択的になるでしょう。これにより、CBDを除いては地価の上昇が緩やかになることが考えられます。CBDが除外される理由としては、依然として需要が高いこと、そもそも利用できる土地が少ないことがあげられます。

新しいバンコクの都市計画が発表され、新しい土地・不動産税が施行される2020年初旬に、より多くの土地取得の動きがみられるだろうとCBREは予想しています。

(出所:CBREBangkok Post


注目のトピック

では次に、見通しの中で出てきたいくつかの気になるトピックについてご説明していきます。

(1) 2019年3月24日に行われた軍事政権樹立後初の総選挙の行方

2008年以降たびたび起こってきた、タイにおける政治対立を見ていると、今回の選挙がビジネスに与える影響についても考えさせられます。Forbesがそのリスクについてまとめていますので、見ていきましょう。
 
直接的なリスク:
5月4日~6日で行われるの新国王の戴冠式を前に、社会的な不安のリスクの大部分は抑えられるでしょう。各政党、プアタイ党でさえも、路上で抗議活動を行うなどして君主制を冒涜するようなことはしないでしょう。しかし、戴冠式のあとはわかりません。プアタイ党のサポーターかその反対者かにかかわらず、大規模な抗議活動により、ひいては安全保障のリスクを拡大し、抗議活動の現場にあるビジネスや、バンコク市内を通るサプライチェーンに依存するビジネスの運営に支障をきたすこともありえます。リテールおよびホスピタリティ業については、路上での対立やバンコクの繁華街の主要な交差点を抗議活動が選挙したりしている間は、需要が鈍化する可能性があります。王党派の動きと密接にかかわるタイパートナーが共同出資する主要な物件などは、放火や破壊行為の対象となる可能性もあります。
 
 中期的なリスク:
バンコクで政治的に不安定な状態が起きると、軍当局と文民当局どちらも人気を得ようと、住民に人気のないプロジェクトを無期限に遅らせたり中止したり、高い環境コンプライアンス基準を課す新しい規制を導入したりします。発電(特に石炭)および鉱業が、国の干渉に最も影響を受けやすいセクターです。プアタイ党が率いる政権が樹立した場合、過去5年間に軍事政権下で締結された投資案件は、政府による精査や政治問題となるリスクにさらされ、契約の見直しや延期となることが考えられます。
 
長期的なリスク:
人気投票を経ず軍を背景にした政府が成立したり、別のクーデターが起こるなどして、過度な軍の政治介入があると、欧米諸国が制裁措置を取るリスクがあります。最初は、主な政府や軍のリーダーを対象にするでしょうが、貿易や外交上の制裁措置に発展する可能性もあります。タイを批判的に見る欧米諸国は、タイに投資する欧米企業を名指しし、投資の縮小を迫ることもあるかもしれません。これは、投資家にとって、重要な風評・コンプライアンスリスクを意味します。

選挙結果の発表は、5月9日とされています。

(出所:Forbes

(2) タイ銀行の新しい住宅ローン規制

PropertyAccess.coの過去のニュースでも紹介した通り、タイ銀行は、住宅ローン規制の引き締めを行うと発表しました。2019年1月から施行予定でしたが、のちに4月に変更されました。この規制に加え、金利上昇や地価の上昇もあり、投機的なバイヤーや賃貸目的の投資家などの需要は下がると言われています。


(3) 進むマス・トランジット(大量輸送機関)網の工事

バンコクのマス・トランジット(大量輸送機関)網が整備されるにつれ、延長路線上にも続々とコンドミニアムが建設されています。今後の工事の進捗にも注目です。

<各路線の工事完成予想年>

①ダークレッド・ライン2020年⑥ブルー・ライン2021年
②ライトレッド・ライン-⑦パープル・ライン2023年
③エアポートリンク-⑧オレンジ・ライン2024年
④グリーン・ライン-⑨ピンク・ライン2022年
⑤ライトグリーン・ライン2021年⑩イエロー・ライン2022年

(出所:BK


(4) 東部経済回廊(EEC)をめぐる動き 

東部経済回廊(Eastern Economic Corridor(EEC))までの高速鉄道路線沿いに公共交通指向型の開発プロジェクトの入札が完了すれば、EECへの焦点がますます明確に絞られてくるでしょう。 CBREは、EECに投資しようとする外国投資家に対するタイの魅力度を上げることにつながりそうだとしています。政府もまた、工業地帯のフリーゾーンにおける財務的なインセンティブや免税などを外国製造業者に提示しています。米国と中国の貿易戦争により、タイが恩恵を受けるか否かを決めるにはまだ尚早です。しかし、CBREは中国を拠点とする製造業者が、タイのEECに製造拠点を移転する検討をしていることから、いくらかの関心が寄せられているようだとしています。




2019年第1四半期の振り返り

バンコクポスト紙によると、2019年第1四半期を終え、新しい住宅ローン規制と弱気の需要により、デベロッパーは自信を失っているといいます。
 
タイの不動産情報調査会社、Real Estate Information Centerによると、上場デベロッパーの心理を示すインデックスが、2018年第4四半期の55.7から、2019年第1四半期には52.2に下落、2014年第1四半期以降の20四半期で過去最低となりました。
 
REICの局長代理ウィチャイ・ウィラットカパン氏の話として、4月1日から施行された新しいLTV(Loan-to-Value)上限に関する懸念が影響しているといいます。住宅購入に必要な資金の融資を受けられない住宅購入者が出てくるのではとデベロッパーが心配しているというのです。また、連帯して融資を受ける者にも同様の規制が適用されることから、購入予定者の中には購買力を失う場合も出てきます。このLTV上限に関する規制は引き続き第2四半期の不動産取引も鈍化させるとみており、実際にその影響が確実に顕在化するのは、今年後半になるとみられています。
 
一方で、非上場デベロッパーの心理を示すインデックスは、42.3から47.7に上がりました。非上場デベロッパーのインデックスは上がってはいますが、中間値は50で、インデックスが50より上の場合は、デベロッパーの自信を示しており、50より下の場合は、デベロッパーの心理は悲観的だということです。
 
REICによると、2019年第1四半期のデベロッパーの期待値インデックスは、2018年第4四半期の65.4から下がって59.9でした。主要な懸念事項としては、収益、売上の減少だと言います。このような懸念は、デベロッパーの投資判断にも影響を与えます。REICは住宅市場について、今後も弱気の状況が続くだろうとしており、デベロッパーは新築プロジェクトの見直しなどをし、投資拡大に慎重になるべきだとしています。

慎重な姿勢が続きそうなバンコクです。戦略的なロケーション、差別化された設備やサービスのある物件を賢く選ぶ必要がありそうです。

(出所:Bangkok Post

2019年の新規プロジェクト

外国人にも人気のエリア、スクンビット通り沿いの物件が気になるところです。ご紹介する以外にも、2018年11月にオープンした大型ショッピングモール、ICON SIAM周辺もこれから注目のエリアかもしれません。

HYDE Heritage Thonglor (ハイド・ヘリテージ・トンロー)

HYDE Sukhumvit 11(ハイド・スクンビット11)

Rhythm Ekkamai(リズム・エカマイ)

The Fine Bangkok Thonglor-Ekkamai(ザ・ファイン)

The Collection(ザ・コレクション)