マニラの投資環境と新規プロジェクト2019 (1/2)

フィリピン・マニラの2019年の投資環境と新規プロジェクトについてご紹介していきましょう。まずは2019年の投資環境からです。

マニラの投資環境と新規プロジェクト2019年 (1/2)


フィリピンの不動産市場見通し2019年

2018年、フィリピン統計局(Philippine Statistics Authority)によると、フィリピン経済は約6.2%拡大しました。2012年から2017年までの年間成長率平均6.6%と比較するとやや低いものの、新興するアジアの経済の中では最も急速に成長する国の一つとなっています。2019年、マクロ経済状況とインフレの鈍化により、経済成長率は6.7%と見込まれており、2018年より速いペースで成長する見込みだと、ADBプレジデントの中尾武彦氏は語っています。

コリアーズは、2019年のフィリピン不動産市場にとって、柔軟性が重要なキーとなるとみています。強い需要に加え、テナントの好みが変化するにつれ、フレキシブルワークスペースが増加するでしょう。レジデンシャルデベロッパーは、中国系オフショア・ゲーミング会社の従業員や地元の社会人向けに、プロジェクトを微調整しています。モール運営者は、外国の飲食店や家具装飾品を販売するテナントにより開かれた状態となり、2019年のリテールスペースの賃貸を再定義することになりそうです。


■レジデンシャル

フィリピンの住宅市場は堅調な状態が続いており、マカティCBDのコンドミニアム(3ベッドルーム)の平均価格は、2018年で9.91%上昇しました。2017年7.34%、2016年7.54%、2015年12.58%、2014年5.1%、2013年10.22%、2012年39.18%となっています。住宅価格は、2019年第1四半期も5.55%と堅調な伸びを見せています。

マカティCBD不動産価格は、急速な経済成長を背景に、2010年から2018年まででほぼ132%上昇しています。価格はそれほど高くないものの、利回りはよく、フィリピン経済は7年連続で堅調な成長率を示しています。

コリアーズは、2019年で少なくとも15,100の新規ユニットの供給があるとみています。ほぼ半数がベイエリアで予定されています。セカンダリー市場の空室率が11%に下落する一方で、賃貸料は横ばいが続くとみられています。アッパーミドルから高級セグメントの堅調な需要により、2019年も力強さを見せるでしょう。これらのセグメントはプレセールで80%~100%が販売されています。マカティおよびBGCでのレジデンシャルの賃貸市場もまた、BPOおよびオンラインゲーミング企業の健全なオフィススペース需要からの漏出効果の恩恵を受けそうです。

■オフィス

見通しは良好です。コリアーズは、2019年に100万㎡の追加供給があり、また賃貸準面積は900,000㎡とみています。BPO、オンラインゲーミング、フレキシブルワークスペース企業が、市場投入を控えているオフィスビルのプレリースをしており、需要面も楽観的です。賃料もまた、健全な賃貸需要と投資家の関心が、オフィス物件の資本価値を支えるとみられており、上昇基調の見通しです。

■リテール

コリアーズは、2019年、200,000㎡あまりの新規リテールスペースが完成すると予想しています。新規供給にもかかわらず、空室率は8.5%程度にとどまるとみており、賃貸料の伸び率は前年比で1.5%となる予想です。フィリピンの安定したマクロ経済環境が2019年のリテール市場を支えるとみられており、小売業者は、フィリピン人の可処分所得の増加をうまく利用しているようです。フィリピン小売自由化法(Trade Liberalization Act)の緩和もまた、最低払込資本金要件の引き下げにより、フィリピンに参入する外国投資が増えることになりそうです。政府の議論中のREIT法の具体化もまた、不動産市場へ投資を呼び込むことになりそうです。

■インフラストラクチャー

政府は、2019年に、国のGDPの6.5%に相当する金額をインフラに支出する目標です。公共プロジェクトが不動産セクターを下支えし、デベロッパーの企業戦略を決定づけることになりそうです。

■ホスピタリティ

ホスピタリティセクターは、2019年も堅調なパフォーマンスを継続するでしょう。外国ホテルオペレータがフィリピン市場に参入し、国内デベロッパーとパートナーシップを締結する見通しです。観光地へのアクセスを改善するためのインフラの整備に見られるように、政府の継続的な観光業へのサポートが、2019年の観光に良い影響を与えるとみられており、ホスピタリティセクターのさらなる成長を促すでしょう。

■コワーキング/フレキシブルオフィス

2019年は、フィリピンの不動産業界に新たなトレンドと機会を生む一年となるでしょう。ミレニアル世代率いるコミュニティ型のライフスタイルへの文化的な移行が、コワーキングやコリビングの人気をけん引するとみられています。コワーキングスペースの需要の増加が、2019年に外国資本のフレキシブルスペースオペレータのプレゼンスの増加も促進するとみられています。

■物流

物流もまた、2019年に活発になる資産タイプと見られています。Eコマース企業の新興が、商品の出荷や配送が必要になるにつれ、物流セクターを支えるでしょう。たとえば、ラザダ(Lazada)やザロラ(Zalora)はフィリピンにおける事業を大いに拡大しており、これもまた物流セクターに恩恵を与えることになりそうです。

国内外の政府の方針もまた、間違いなく、2019年の不動産業界に影響を与えるでしょう。例えば、米中の貿易戦争もまたフィリピンの不動産市場に多大なるオポチュニティをもたらしました。というのも、米国に課される関税が原因で、中国は他の国々にスペース/土地を探しているからです。フィリピン政府のBuild, Build Build(BBB)政策もまた投資活動に拍車をかけてきました。特に顕著なのは、クラークシティやパンパンガ州で、PPPプロジェクトによりクラーク国際空港の拡張やスービック貨物鉄道などが控えています。政府のインフラ整備により、周辺の州にも漏出効果を与えています。TRAIN2法およびREIT法も、実際に施行されたら、2019年の不動産業界に影響を与えることになるでしょう。

JLL社は、2019年のフィリピン不動産業界の見通しは引き続き明るいと述べています。BPOセクターからの不動産スペースの需要だけでなく、テクノロジー企業やフレキシブルスペースオペレータなどの新興する不動産ステークホールダーからの増加する需要もまた、2019年のフィリピン不動産市場に大きく食い込んできそうです。

2019年の不動産業界の成長と拡大の予想が、ダバオ、セブ、クラーク、カガヤン・デ・オロ、イロイロ、バコロドといった次の波の都市にもうまくいけば投資を促すことになりそうです。このようなことから、2019年は、フィリピンの不動産業界にとって、さらなる確かな一年となる見込みです。来る2019年の選挙、TRAIN2への懸念、PEZAの建物認証の遅れなどといった障害を除けば、2020年もすでに有望です。

(出所:Global Property GuideColliersBusiness Inquirer

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