2020/11/09
[マレーシア] イスカンダル・マレーシアの住宅中間価格は2020年3Q8.9%下落
パンデミックは、すでに減速していた市場に打撃を与え、イスカンダル・マレーシアの8つのエリアのうち5つで価格下落が見られました。
イスカンダル不動産調査(Iskandar Property Census)のデータから、ジョホールバルのイスカンダル・マレーシア地区の高層レジデンシャル物件の中間価格は、2020年第3四半期、前年同期の629,903リンギットから8.9%減の573,931リンギットとなりました。平米あたりでは6,210リンギットでした。本記事執筆時点で、1マレーシアリンギット=25.1円です。
調査を行ったデータマイン・マレーシアのリサーチ・ヘッド、ジェレン・ライ氏は、「パンデミックがすでに減速していた市場に打撃を与え、前年同期比では8つのエリアのうち5つで価格下落があったと明かしています。2020年第1四半期との比較では、ジョホールバルの通関・入国・検疫コンプレックス(CIQ)エリアとテブラウ・コーストエリアの価格が上昇しています。
▼エリア別・イスカンダル・マレーシア中間価格(2020年Q1 vs Q3)(出所:DataMine)
「シンガポールとマレーシアのジョホールを結ぶ高速鉄道輸送システム(RTS)が第3四半期に確定したことで、ジョホールバルのCIQエリアの提示価格が戻ってきています。」
▼ジョホールバルCIQエリアの中間価格(出所:DataMine)
プテリハーバーエリアの中間価格価格が最高で979,125リンギット(平米あたり9,558リンギット)となりました。続いて、JB CIQエリアで836,125リンギット(平米あたり9,914リンギット)でした。
一方で、JB中心部の中間価格は694,749リンギット(平米あたり6,405リンギット)、JB郊外部は394,266リンギット(平米あたり4,553リンギット)、ダンガ・ベイは648,500リンギット(平米あたり5,748リンギット)、イスカンダル・プテリが434,714リンギット(平米あたり5,285リンギット)、メディニが645,598リンギット(平米あたり8,321リンギット)、テブラウ・コーストが494,520リンギット(平米あたり5,285リンギット)でした。
このデータマイン・マレーシア社レポートは、イスカンダルの高層レジデンシャル物件についての情報を、サンプリングではなく、総数調査データを用いて、2012年から追いかけています。
ライ氏は、JB CIQの中間価格は、RTSが完成したら、シンガポールのウッドランズエリアの住宅価格と比べると30%ほど安いレベル(平米あたり18,299リンギット)になるだろう予想しています。
シンガポールの都市再開発当局(URA)によると、ウッドランズの中間価格は平米あたり8,600シンガポールドル(25,833リンギット)となっています。
ライ氏は、この予測について、新しいRTSの入国手続きの効率にもよると述べています。
「ジョホールバルCIQからウッドランズ・ノースまでの4キロ区間の入国手続きが約25分ですめば、ジョホールバルからシンガポールの繁華街オーチャードまで約1時間になるので、シンガポールからイスカンダル不動産への需要は圧倒的に高まるでしょう。」
ライ氏は、収容能力の高いマス・ラピッド・トランジット(MRT)の代わりに、ライト・レイル・トランジット(LRT)が選ばれたことには失望しています。
「この手のインフラは需要を押し上げて、住宅の過剰供給を解決するだけでなく、シンガポールマネーがイスカンダルに流入し、経済に莫大な乗数効果をもたらします」とライ氏は話しています。
ライ氏は、RTSの延期を含む、政策の不確定性により、イスカンダル・マレーシアの真のポテンシャルが発揮できずにいたと話しています。RTSの開発によりジョホールバルの需要が高まるとデベロッパーは見込んだわけですが、誰もこんなにRTSプロジェクトが延期されるとは予想してなかったからです。
「これ以上延期することはできません。建設工事さえ始まれば、人々はイスカンダル・マレーシアの住宅を買い始めるでしょう。」
ライ氏は、シンガポールとクアラルンプールを結ぶ高速鉄道、およびプテリ・ハーバーからシンガポールのハーバーフロントを結ぶフェリー路線の遅延もまた、ジョホールのオーバーハングの数値が悪化する要因となっていると指摘しています。
(出所:The Malaysian Reserve)
(トップ画像:Photo by Eldines Hoo on Unsplash )
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