[マレーシア] 新首相にイスマイル・サブリ・ヤーコブ氏

2021/08/24

[マレーシア] 新首相にイスマイル・サブリ・ヤーコブ氏


イスマイル・サブリ・ヤーコブ氏が、マレーシアの新首相に任命されました。


イスマイル・サブリ氏は、ムヒディン・ヤシン前首相が率いる連立政権下で副首相を努めていました。ムヒディン氏は、何か月にも及ぶ政治混乱により議会での過半数を失い、2021年8月16日に辞任を表明しました。


マレーシアの立憲君主であるアル・スルタン・アブドゥラ国王は、国のコロナウイルスの状況を勘案して選挙を行うことを選択肢から外し、代わりに、国王が自ら、議員たちの過半数の支持を得られそうだと考える候補者を任命しました。


イスマイル・サブリ氏の任命により、マレーシアで長く政権の座を独占してきた「統一マレー国民組織」(UMNO)が政権中枢に返り咲くことになります。UMNOは、与党連合の国民戦線(Barisan Nasional: BN)の中心政党です。UMNOは、世界最大の金融詐欺事件とも言われる、ナジブ元首相の肝煎りで2009年に設立された政府系投資会社「1MDB(1 Malaysia Development Berhad)」をめぐる汚職事件に巻き込まれて、2018年選挙で連合野党に敗北しました。


イスマイル・サブリ氏は、前政権を構成した与党連合の支持で議会の過半数を確保しました。

 

イスマイル・サブリ氏は、パンデミック始まって以来最悪となった最近のコロナウイルス感染の波により、多くの人々を経済的苦境に陥れたとして国民の怒りが高まる中、政権に就くことになりました。


マレーシアを拠点とし、シンガポールのシンクタンク「ISEASユソフ・イシャク研究所(ISEAS-Yusof Ishak Institute)」のマレーシアプログラムの客員研究員である、セリナ・アブドゥル・ラフマン博士は、イスマイル・サブリ氏が任命されたことで、パンデミック対応が改善するという希望が生まれることにはならないだろうと話しています。


ラフマン博士は、イスマイル・サブリ氏は、ムヒディン政権下でもコロナ対策の中心におり、防衛担当から副首相、そして今回は首相に昇格しただけのことであり、対応している面々は同じである、状況は日に日に悪くなるばかりだ、と指摘しています。


副首相としてパンデミックの封じ込めに失敗したとして、イスマイル・サブリ氏の首相任命に反対するオンライン署名は、35万人以上集まったということです。

 

2021年8月23日時点のマレーシアの一日の感染者数は17,672人、累計の感染者数は1,572,765人、死者は14,342人となっています。



(出所:The GardianMinistry of Health Official Twitter

(画像:Photo by Ishan @seefromthesky on Unsplash