[フィリピン] JLL:セブのオフィス市場安定

2022/09/05


総合不動産サービス会社JLLフィリピンによると、メトロセブのオフィス市場は、情報技術・ビジネスプロセスマネジメント(IT-BPM)企業の需要にけん引され、安定してきました。


「市場は安定的ですが、オフィス部門の業績はまちまちです。安定的なものとパッとしないものが混ざった状態です。」とJLLフィリピンのリサーチ・戦略コンサルティングヘッドのジャンロ・C.・デロスレイェス氏は述べています。


メトロセブのオフィスリースは第2四半期、23,825平米に到達しました。


JLLフィリピンによると、情報技術・ビジネスプロセスマネジメント(IT-BPM)企業がリース活動をリードしており、2022年前半期の67.3%を占めています。IT-BPM企業以外の出版、金融・銀行、海洋技術、エンジニアリング・建築といった業界は、全部で32.7%を占めたということです。


IT-ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)企業は、セブITパークの入居面積のうち4,600平米、セブ・ビジネス・パークの入居面積の4,300平米を占めました。


JLLフィリピンによると、2021年後半期と比較して、2022年前半期のオフィス退去は79.25%減少しました。


「退去は減速して、9,872平米ほどになりました。うち、BPOの退去は2,300平米ほど、一般企業の退去は800平米ほとでした。」


空室率も下がって、21.9%となっています。2021年第4四半期がピークで23.7%でした。


デロスレイェス氏は、セブITパークには空室率の改善が見られた一方で、セブ・ビジネス・パークはやや増加の動きがあった、と説明しています。


しかし、デロスレイェスは、今後オープン予定のオフィス在庫はまだ空きがある状態で、メトロセブのオフィスの「プレコミットメント(プレリース)」は全体として弱いと話しています。


入居企業の決まらない将来在庫がかなりあるので、供給圧力がかかり、オフィス賃料は低迷状態が続く可能性がある、と予測しています。


月々のオフィス賃料は、平米当たり632ペソで変わらずでした。


一方で、物流市場は「指数関数的な成長」を遂げると見られています。グレードAおよびグレードBの物流施設の面積は、2025年までには306万平米、2030年までには480万平米に達すると予想されています。


フィリピン国内の物流市場は、まだ成長の初期段階にあり、成長過程の市場に前向きな心理が広がっています。」とJLLフィリピンの物流・工業部門ディレクターのチャーリー・マクノート氏は述べています。


需要は、消費者支出の「劇的な転換」にけん引されています。パンデミックの間に、多くの人がEコマースプラットフォームへとシフトしたからです。


マクノート氏は、「グレードA物流施設を入居企業の需要に合わせて導入するオポチュニティがあります。多くの企業が、サプライチェーンのモデルを改善し、ESG(環境、社会、ガバナンス)コミットメントにますます意識を向けているからです。」と述べています。



(出所:Business World Online

(画像:UnsplashのZany Jadraqueが撮影した写真)