2020/08/17
[マレーシア] KLCC REITの第2四半期純利益は22%減、サンウェイREITは通期で46%減
象徴的なペトロナス・ツインタワー、メナラ・エクソンモービル、メナラ3ペトロナスなどをポートフォリオに抱えるKLCC不動産投資信託(KLCC REIT)の2020年6月30日に終了した第2四半期の純利益は22.13%減の1億4,046万リンギット(約36億円)となりました。前年同期は1億8,038万リンギット(約46億円)でした。
KLCC REITは、8月5日の証券取引所への届出の中で、政府がCovid-19の感染拡大封じ込めのために行った活動制限令(MCO)への対応として、テナントに賃料支援を行ったことで、不動産投資部門からの貢献分が少なかったことが主な要因であると述べています。
2020年第2四半期の収益は、ホテル運営および広告収入が減ったことから、23.9%減の2億6,725万リンギット(約68億円)となりました。前年同期は3億5,110万リンギット(約89億円)でした。
2020年前半期では、KLCC REITの純利益は、前年同期の3億6,433万リンギット(約93億円)から12.9%減の3億1,734万リンギット(約81億円)に、収益は7億454万リンギット(約180億円)から11.7%減の6億2,184万リンギット(約159億円)となりました。
KLCC REITは、失業率の上昇から消費者の購買力が下がるため、今年の残りの期間も慎重な姿勢を見せています。モール周辺のオフィスのほとんどが、フレキシブルな勤務形態をとっており、完全に再開していないといいます。
「今年の残りの期間についても、リテール部門は課題の多い状況が続くでしょう。ホスピタリティと観光業は、国境閉鎖と大規模な集会の禁止の影響で厳しい状態が続くでしょう。」
KLCC REITは、ホテル部門は今後も厳しい状況が続く一方で、オフィス部門は長期テナント契約の影響で安定的だと予想しています。
一方で、サンウェイ・ピラミッド・ショッピングモールやサンウェイ・リゾートホテル&スパなどをポートフォリオに抱えるサンウェイ不動産投資信託(サンウェイREIT)の2020年6月30日で終了する事業年度の純利益は、前年同期の3億8,637万リンギット(約99億円)から46.11%減の2億821万リンギット(約53億円)となりました。
証券取引所への届け出の中で、サンウェイREITは、活動制限令(MCO)とロックダウン期間の事業損失の影響を受けて、テナント向けに行った賃料支援に加えて、駐車場収入が減少したことが主な要因だと述べています。
2020年度の収益は、2019年度の5億8,030万リンギット(約148億円)から4.03%減の5億5,688万リンギット(約142億円)となりました。ホテルおよびリテール部門からの収益減が要因です。
これは、厳しい事業環境が、Covid-19パンデミックと業務制限によりさらに悪化したことによります。
サンウェイREITの第4四半期では、純利益は前年同期の1億7,801万リンギット(約45億円)の黒字から1,348万リンギット(約3億円)の赤字に転落、収益は前年同期の1億4,556万リンギット(約37億円)から27.91%減の1億493万リンギット(約27億円)となりました。
サンウェイREITマネジメント社のジェフリー・ングCEOは、同社の流動性管理において柔軟性を保つための先回り策として、慎重なコスト管理と手元資金の確保を行ってきたと説明しています。
ングCEOは、「手元資金確保の取り組みの一環として、現在、ユニットホルダーに対して、将来の分配金を、現金、ユニット、または両方を組み合わせて受け取れるような、さらなる柔軟性を与えるべく、分配金再投資スキーム(Distribution Reinvestment Scheme(DRS))を設立している最中です。」と別の声明で述べています。
ング氏は、世界経済の回復について不確実性が続くことから、2021年6月30日で終了する2021年度についても、慎重な見通しを継続しているということです。
「パンデミックの悪影響を受けたセグメントの再建に注力し、バランスシートの強化と、利回りを高めるような資産の取得や慎重な資本管理戦略を通して、利益拡大に勤めたい」と加えています。
サンウェイREITの2020年6月30日で終了した6か月のユニット当たりの分配金を2.38セン(1リンギット=100セン)としており、2020年度のユニット当たり分配金は7.33センとなりました。
(出所:New Straits Times (1) (2) )
(トップ画像:Sua Truong on Unsplash )
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