[ベトナム] 不動産市場の流動性低下

2022/11/15


ホーチミンシティ不動産協会(HoREA)のレ・ホアン・チャウ会長は、ベトナムの不動産市場は、流動性が急低下しており、来年不況に陥る可能性があると指摘しています。


会長は、オンラインニュース「VnExpress」に対して、不動産市場の課題を認識し、その対応を検討する、政府および不動産業界代表者間会議の際に、「多くの不動産会社が、流動性低下のリスクに直面しており、生き残りをかけてつらい決断を迫られる可能性があります。」とコメントしています。


会長はまた、工事の中断、または投資や建設の遅れなどに見られるように、多くの不動産デベロッパーが事業のスケールダウンを計りに来ているとも加えています。


また、デベロッパー各社は新規プロジェクトの立ち上げをやめたり、新株発行やIPOを行ったりしています。また、
労働力削減に動いているデベロッパーもあり、一部は半数カットに踏み切ったところもあるようです。



債券市場に対する銀行の融資割り当てが引き締められる中、不動産デベロッパーは資金に「飢えて」おり、高い金利で非公式な金融業者から資金を借りなければいけなくなっており、今後のプロジェクトがリスクにさらされているとチャウ会長は警鐘を鳴らしています。


さらに、多くのプロジェクトを売却することでオポチュニティが生まれ、市場をリードしてきた国内企業がこれまで享受してきた恩恵を、外国投資家に取られてしまうのではないかとも話しています。


来年も、世界的な景気後退とサプライチェーンの混乱が予想される中、ベトナムの不動産市場は大きな打撃を受ける可能性がある、とチャウ会長は指摘します。


約790兆ドン(約4.5兆円)相当の債権が2023年、2024年に満期を迎えることになっており、不動産デベロッパーに対する返済圧力が高まっています。政府は、この市場を整流化するための方針を出す必要がありそうです。


一方で、プラスの兆候もあります。多くのデベロッパーが自社社債の買い入れを行っており、その取引額は1月から9月で142兆ドン(約8,000億円)に上ります。チャウ会長は、各社が自社の社債を買い入れることで、投資家のリスク削減につながるだろうとコメントしています。


それでも、主要不動産デベロッパー45社の、1月から9月の売れ残り在庫は273兆ドン(約1.5兆円)相当で、総資産額の半分以上を占めています。


多くの売れ残り物件が未完成のプロジェクトのもので、チャウ会長は、解決策として、いくつかの案を挙げています。


まずは、これらのプロジェクトの法的な障害を取り除くような政策を出すこと。そのためには、土地法の改正手続きを完了し、住宅購入者が融資を受けやすくなるような有利な環境を作っていくなどの解決策が求められます。


また、ベトナム国立銀行が、今年の残りの期間の融資割り当てを1~2%上げることで、業界を刺激することもできそうだとコメントしています。


さらに、アマチュア投資家に上限付きで社債を購入させることもまた、不動産デベロッパーが直面している資本のボトルネックを解消するのに役立つのではないかとも加えています。




(出所:VnExpress