アムインベストメント銀行（AmInvestment Bank）のアナリスト、クー・ジン・シェン氏は、「不動産デベロッパーは、今年の不動産セクターの見通しが明るいため、積極的な発売や販売目標を行っている」と述べました。

アムインベストメント銀行は、市場心理の改善と需要の強化により不動産取引量は徐々に回復すると予想しています。この予想を支えるのは、同行エコノミストが予測する2023年のGDP成長率4.5％と雇用市場の回復です。

「これは、デベロッパーが今年、より積極的な販売計画や販売ターゲットを設定することによって、さらに後押しされるでしょう。都市中心部や成熟した町などの一等地に戦略的な土地を取得している、高い評価を得ている厳選されたデベロッパーは、2023年も良好な販売モメンタムを維持できると考えています。」と述べています。

不動産・住宅開発業者協会（Rehda）が昨年10月に実施した調査によると、調査対象となった開発業者の48％が2022年後半期に発売を予定していませんでした。

クー氏によると、その主な理由は、市況の悪化と当局からの認可の遅れです。しかし、2022年後半期の新規物件発売数は71％増加し、総開発額（GDV）は2022年前半期の39億リンギット（約1,170億円）から増加して68億リンギット（約2,040億円）になりました。

クー氏はまた、アムインベストメント銀行が調査対象としているすべてのデベロッパーについて、建築資材のコストが安定し、労働力不足が緩和されることから、2023年に発売を加速させる予定だと述べています。

「サプライチェーンの混乱が緩和されたことを受け、ほとんどの建材コストは2022年第2四半期にピークを迎えたと考えられます。セントラル・ペニンシュラの鉄鋼価格は、2022年4月/5月の4,344リンギット（約130,320円）/トンのピークから2023年1月に3,099リンギット（約92,970円）に29％下落し、一方セメント価格は2021年1月の水準から8％高い19.23リンギット（約367円）/50kg/袋に上昇しました。」

「鉄鋼価格はパンデミック前より高止まりする可能性がありますが、新規プロジェクトの建築資材コストの増加は、デベロッパーによる工業化建築システムの採用、一括購入、バリュー・リエンジニアリングの取り組みによって緩和されると考えています。」と述べています。

クー氏は、サンウェイ、UEMサンライズ、SPセティアなど、2022年の発売が予想を下回ったデベロッパーは、市場見通しの改善を踏まえ、2023年に前年比100％以上増加する、より積極的な販売目標を設定していると明かしています。発売数が多いのは、2022年に発売予定していたプロジェクトが2023年に延期されたものも含まれているということです。

デベロッパー各社の販売目標は

クー氏によると、サンウェイ、ラジェンダ・プロパティーズ、UEMサンライズを除き、ほとんどのデベロッパーの2022年通期売上は、売上目標を上回りました。

サンウェイの売上高は、シンガポールと中国での発売が2023年に延期されたため、2022年の目標である22億リンギット（約660億円）にわずかに届きませんでした。

UEMサンライズは、主要プロジェクトであるThe MinhとThe Connaught One（両プロジェクト合計のGDVは17億リンギット（約510億円））の立ち上げのための当局認可取得に遅れが生じました。

ラジェンダは、ライセンスに関する規制プロセスの遅れにより、2022年後半期発売としていたプロジェクトを2022年第4四半期に延期しました。

パラマウント・プロパティは前年比20％増の12億リンギット（約360億円）、マーシングループは前年比増20％増の22億リンギット（約660億円）と、積極的な2023年売り上げ目標を設定しています。クー氏によると、これらの会社は2022年の受注が好調であったことがモチベーションになっていると言います。

サンウェイとSPセティアも、新発売プロジェクトに支えられ、2023年の売上目標をそれぞれ23億リンギット（約690億円）と42億リンギット（約1,260億円）と小幅に上方修正しています。

2022年の販売目標を達成できなかったUEMサンライズとラジェンダは、2023年では慎重に、それぞれ15億リンギット（約450億円）と9億リンギット（約270億円）の販売目標を維持しています。

サイム・ダービー・プロパティは、事業環境の悪化を反映し、2022年の26億リンギット（約780億円）から2023年の売上目標は23億リンギット（約690億円）と控えめに設定しています。

（出所：New Straits Times）

（画像：UnsplashのU Othmanが撮影した写真）