2020/11/16
[マレーシア] 2020年第3四半期GDP成長率、第2四半期から大幅回復の-2.7%
マレーシア経済は、2020年第2四半期、-17.1%という大幅マイナス成長を記録しましたが、第3四半期はマイナス幅が大幅に縮小し-2.7%と回復力を見せています。
▼マレーシア四半期ごとのGDPと成長率(出所:Department of Statistics Malaysia)
棒グラフ=2015年基準GDP(単位:10億リンギット)、折れ線グラフ=GDP成長率(対前年同期)
マレーシア中央銀行のノル・シャムシアー・モハマド・ユヌス総裁は、今回の実績について、Covid-19封じ込め策からの経済の再開と、外需の状況の改善を反映したものだと説明しています。
ノル・シャムシアー総裁によると、成長率の改善はほとんどの産業で見られましたが、顕著だったのは製造業で、力強い電機・電子(E&E)生産活動に引っ張られプラスに転じたということです。
支出サイドでは、内需の縮小も緩やかなペースとなり、純輸出も立ち直りを見せました。対前期の季節要因調整ベースでは、2020年第2四半期の16.5%縮小から、18.2%の拡大となりました。
ノル・シャムシアー総裁は、第3四半期の総合インフレ率はわずかに1.4%縮小したとして、世界の原油価格の回復に伴う国内の燃料価格の上昇を主な理由として挙げています。コア・インフレ率はやや落ち着いた1%となりました。
中央銀行は、2021年のGDP成長率の予測を6.5~7.5%に据え置いています。ノル・シャムシアー総裁は、直近のCovid-19感染者数の再増と対象を定めた封じ込め策が、2020年第4四半期の回復の勢いに影響を与えることがありそうだと話しています。
しかし、標準作業手順(SOP)に則って、ほとんどの業種が営業の継続を認められていることから、過去の封じ込め策の時と比べると、影響はさほどではないだろうとも述べています。
「2021年に向けて、成長率は回復が期待されています。外需の改善と、政策の支援を受けて、公共・民間の支出の恩恵を受けるでしょう。これには、景気刺激策「Kita Prihatin」などの政府の施策や、最近発表された2021年予算案、特にBantuan Prihatin Rakyat(BPR)(収入に合わせた現金支給)、対象を絞った賃金補助と公的事業などを含んでいます。」
ノル・シャムシアー総裁はさらに、引き続き行われている財政措置と低金利もまた、経済活動への支援につながるのではと話しています。
総裁によると、世界の原油価格の上昇と電気料金の割引終了を反映して、平均の総合インフレ率は2021年に上昇が予測されています。
コア・インフレ率は、経済に余力があるので、落ち着いた状態となることを予想されています。物価上昇の見通しについては、世界の原油価格と商品価格に大きく依存する、と総裁は付け加えています。
(出所:New Straits Times)
(トップ画像:Photo by Alex Block on Unsplash )
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