[マレーシア] 第1四半期のGDP成長率発表

2022/05/16



2022年第1四半期のマレーシアのGDPは、前四半期の3.6%からさらに拡大して5.0%成長しました。季節要因調整後は、3.9%成長でした(2021年第4四半期は4.6%)。月別でも、1月から3月は改善し、2022年1月の4.3%成長したのちは2月に5.2%、3月には5.4%と改善を続けました。マレーシア統計局(Department of Statictics Malaysia)は、2022年第1四半期の状況は、2019年第1四半期のレベルを5.2%(179億リンギット)上回ったと報告しています。



▶GDPおよびGDP成長率の推移(出所:マレーシア統計局



マレーシア統計局(Department of Statictics Malaysia)は、サービス業界の成長が堅調であったことを特記しています。消費者の信頼感回復の表れとして、家庭消費が増えたことに支えられました。さらに、労働市場のさらなる回復と輸出関連の拡大もまた、インフレや世界的なサプライチェーンの混乱といった厳しい環境の中でもプラスの成長に貢献したと分析しています。


業種別では、サービス業が主な推進力となり、6.5%成長を記録しました(2021年第4四半期は3.2%)。これをけん引したのは、輸送&倉庫、卸売&小売業、飲食業です。一方で、金融は2.1%減少しました。季節要因を調整後では、サービス業は全体で5.5%成長となりました(2021年第4四半期は5.1%)。


製造業は6.6%成長でした(2021年第4四半期は9.1%)。これを支えたのは、主に電気・電子・光学商品(15.4%、2021年第4四半期は16.4%)、非金属鉱物商品:基金属・加工金属商品が5.3%(2021年第4四半期は5.8%)、木製品・家具・紙製品および印刷が6.6%(2021年第4四半期は5.6%)でした。一方で、石油・化学・ゴム・プラスチック製品は0.5%減(2021年第4四半期は6.5%)でした。全体として、季節要因調整後は、1.8%成長(2021年第4四半期は6.6%)でした。



農業は、わずかに上がって0.2%でした(2021年第4四半期は2.8%)。油やし3.9%(2021年第4四半期は4.8%)・漁業3.5%(2021年第4四半期は-0.5%)・家畜1.5%(2021年第4四半期は0.2%)だったのに対して、ゴムが18.6%(2021年第4四半期は-18.8%)減少しました。季節要因調整後は、全体として3.2%成長(2021年第4四半期は1.7%)でした。



反対に、鉱業・採石業は、2021年第4四半期の0.6%減からさらに減少して-1.1%でした。主に石油・コンデンセートの減少(7.4%、2021年第4四半期は-6.6%)によるものですが、天然ガスは3.3%増(2021年第4四半期は3.4%)となりました。季節要因調整後は、セクター全体で2.9%(2021年第4四半期は-1.6%)に回復しました。



建設業は、2021年第4四半期の大幅マイナス12.2%からは回復しましたが、-6.2%でした。土木工事-16.1%(2021年第4四半期は-18.8%)、居住用建物-15.3%(2021年第4四半期は-24.4%)でした。一方で、非居住用建物、配管や空調など建設工事の一部のみを扱う特殊取引活動は、それぞれ0.9%(2021年第4四半期は-12.1%)、10.4%(2021年第4四半期は9.2%増加しました。季節要因調整後は、全体として8.9%増(2021年第4四半期は-1.9%)でした。



民間最終消費支出もまた増加し5.5%成長を遂げました(2021年第4四半期は3.7%)。季節要因調整後は、4.6%(2021年第4四半期は4.3%)で、主に通信11.8%、レストラン&ホテル10.8%の2桁成長にけん引されました。



固定資産への投資を表す総固定資本形成(GFCF)は、わずかに0.2%増加しました(2021年第4四半期は-3.0%)。機械設備が12.0%増加したのに対して、構築物が7.9%、その他資産が0.9%減少しました。季節要因調整後は、全体として5.0%増(2021年第4四半期は4.4%)でした。



全体として、マレーシア経済の見通しはその勢いを取り戻しつつあり、今後数か月で国の経済を形作る重要な役割を果たすとみられています。マレーシア統計局によると、先行指数(LI)もまた上向きで、マレーシアの今後の景気回復は損なわれなさそうです。これは、就業率や輸出などの主要景気指標の成長率とも合致しています。



マレーシア統計局は、マレーシア経済は勢いを増し、新型コロナウイルス感染症のエンデミック段階に移行することで、2022年を通して徐々に回復すると予測しています。また、行動制限の緩和や外国人観光客の受け入れを2022年4月1日に発表したことで、社会活動の活発化を促し、経済への好影響につながることが期待されています。



▶ASEAN各国のGDP成長率との比較(出所:マレーシア統計局)

(出所:マレーシア統計局)

(画像:Photo by Paweł Szymankiewicz on Unsplash )