[マレーシア] 350億リンギットの追加景気刺激策を発表

3月末に大型の景気刺激策を発表したマレーシアでしたが、新型コロナウィルスからの経済立て直しのため、6月5日、350億リンギットの追加景気刺激策を発表しました。

[マレーシア] 350億リンギットの追加景気刺激策を発表


2020年6月5日、マレーシアは、新型コロナウィルス(Covid-19)とその感染拡大抑制のための活動制限令(MCO)の影響を受けた経済の立て直しための、350億リンギット(約8,758億円)の追加景気刺激策を発表しました。


この新しい景気刺激策は、3月末に発表された景気刺激策に続くもので、うち100億リンギット(約2,505億円)は財政支出から直接経済に注入されます。


この発表は、東南アジアだけでなく、世界中の国々が、ロックダウンや活動制限を行いビジネスが停止した状態から立ち直ろうとする動きにならうものです。各国政府は、消費者やビジネスの保護のために経済的なサポートを繰り出し、マレーシア国立銀行を含む中央銀行もまた、政策金利の引き下げや流動性の確保などの対策を打ち出しています。


シンガポールのOCBC銀行のエコノミスト、ウェリアン・ウィラント氏は、「過去に発表された累計2,600億リンギットの景気刺激策と比べると、350億リンギットの追加刺激策はあまり注目されるものでもない」と言います。


しかし、総計でGDPの20%にも上る一連の景気刺激策は、経済成長の落ち込みに歯止めをかけるのに役立つはずだとウィラント氏はコメントしています。ウィラント氏はまた、世界でもマレーシア国内でも、経済の一時的な回復の兆しが見え始めていることから、特に全体的な財政上の制約を鑑みても、さらに大規模な景気刺激策を打ち出す必要はないのではないかと考えています。


■景気後退局面を迎える

マレーシアの2020年第1四半期の経済成長率は0.7%と、Covid-19の感染拡大をおさえるための制限措置により商業にブレーキがかかり、世界金融危機以来の低迷となりました。経済活動は2020年5月4日より再開されていますが、今後4か月から6か月は景気後退に入るとみられています。

▼マレーシア経済成長率(四半期ごと)推移(出所:Department of Statistics Malaysia



■今回の景気刺激策のハイライト

・50億リンギットの賃金補助
・20億リンギットの失業者・若者向けのスキルアッププログラム
・10億リンギットの観光業界の中小企業支援
・初めてのマイホーム購入の印紙税免除
・国内組み立て車両にかかる売上税免除、輸入車両については50%に減税
・7月~12月パーム油の輸出関税免除
・法人の温度スキャナー、保護具、施設のアップグレードにかかる費用の損金算入
・航空業界、旅行業界ための納税期限延期
・国家職業タスクフォースの設置
・ギグエコノミー向けの政策草案


イスラム銀行マレーシア(Bank Islam Malaysia)のチーフエコノミスト、モハメド・アフザニザム・アブドゥル・ラシッド氏は、この経済刺激策について包括的だと表現しています。


ラシッド氏は、この経済刺激策が、労働市場の懸念、デジタル化を含む新常態への移行、そして不動産や自動車といったメインストリームの経済に対処する形になっているとして、経済活動の再開が順調にいけば、2020年後半期はより高い成長が望めるだろうと話しています。


OCBC銀行のウィラント氏は一方で、100億リンギットの直接財政支出は、GDPの0.7%に相当し、政府の財政赤字に影響を及ぼす可能性もあると指摘しています。


現時点では、GDPの5%に相当すると予想されている政府債務の増加を増加を食い止める対策があるのかについては明らかになっていないようです。

(出所:Bloomberg

(トップ画像:Azlan Baharudin on Unsplash)