2021/11/02
マーサーCFA協会グローバル年金指数(Mercer CFA Institute Global Pension Index)で、マレーシアの退職システムがアジアで3位、世界で23位であることが分かりました。2020年の指数60.1から2021年は59.6とやや下がりました。
世界の43の退職所得システムを調査するこのインデックスは、対象の国と地域の退職システムを3つの加重サブ指数「十分性 (Adequacy)」、「持続性 (Sustainability)」、「健全性 (Integrity)」を通して測るものです。今回は、アイスランド、台湾、アラブ首長国連邦、ウルグアイの4つの国と地域が新たに加わりました。
2021年のグローバル年金指数の3つのサブ指数のうち、マレーシアは、「十分性」が今年改善して50.6になりました。「健全性」が最も高く76.8、そして「持続可能性」が57.5でした。
マレーシアは、「持続可能性」のサブ指数で15位となりました。これは、システムが、将来にわたってベネフィットを提供する能力がありそうかを測るものです。「健全性」は20位でした。これは、市民の退職システムに対する信頼感に影響を与える要因を考慮したものです。「十分性」は34位で、国の退職システムが十分な退職給付を提供できるように設計されているかを考慮するものです。
マレーシアは、3つのサブ指数においてアジア平均を大幅に上回るスコアを獲得しました。平均寿命が延びるとともに、政府は、最低所得層の退職者のための支援の最低レベルや労働力率を引き上げる方法を検討していくことができます。
しかし、現在のCovid-19パンデミックにより、マレーシア人が平和にリタイアすることがさらに厳しくなっています。「Less for More(より多くの人に少ない金額)」というのが世界的なトレンドで、低金利と高まる平均寿命により、世界中の公的・民間年金システムに前代未聞の圧力がかかっています。
マレーシアにおける課題は、マレーシア人の金融リテラシーが不足していることです。
マレーシアは、C+の格付けから、今年はCになりました。これは、年金システムは良い特徴を備えているけれども、対応しなければいけない大きなリスクまたは欠点があることを示唆しています。マレーシアのシステムは、中国、インドネシア、台湾など、他のアジア諸国・地域と同じ格付けでした。
2021年グローバル年金指数では、アジアの退職システムが世界の足を引っ張っていることも分かってきました。アジア全体の平均値は52.2なのに対して、世界平均は61でした。
世界的には、アイスランドの退職所得システムが、指数に加わった初年度にして世界一の84.2でした。続いて、オランダ(83.5)、デンマーク(82)となっています。
サブ指数ごとに見ていくと、「十分性」と「持続可能性」で最高スコアを獲得したのはアイスランドでそれぞれ82.7と84.6でした。「健全性」はフィンランドの93.1でした。サブ指数の最低スコアは、「十分性」はインドの33.5、「持続可能性」はイタリアの21.3、「健全性」はフィリピンの35でした。
グローバル年金指数は、投資の専門家で構成される世界的な協会であるCFA協会が主催し、モナシュ大学のモナシュビジネススクールの一部であるモナシュ金融研究センター(Monash Centre for Financial Studies)と、組織・人事、福利厚生、年金、資産運用分野におけるサービスを提供するグローバル・コンサルティング・ファームであるマーサー(Mercer)との共同研究プロジェクトです。
(出所:Knight Frank、PR Times)
(画像:Image by coombesy from Pixabay )
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