2018/10/29
[マレーシア] 都市間鉄道、高速鉄道計画を延期
MRT3号線:恩恵を受けるのはまだ少し先
2018年5月に当選したマハティール首相は、2025年までに完成させる計画だったMRT3号線の延期を発表しました。
図1:総合MRT路線図(案)
(出所:The Star)
MRT3号線(別称サークルライン)は、クランバレー内の接続性を全体的に改善し、MRT1号線、2号線、およびその他既存のトランジットラインと接続されることになります。クアラルンプール(KL)で住宅を購入しようとする人々にとって、接続性に置かれる優先度が高いことから、郊外に目を向けなければいけない人も増えてくるでしょう。というのも、都心エリアの物件価格はどんどんと上がっているからです。
加えて、ピーク時間帯の渋滞は特に都心で激しいため、車での通勤は便利ではありません。公共交通機関への需要は、図2を見れば明らかです。2017年に最初のMRT路線ができてから、交通公機関の利用者は格段に増えています。
図2:クランバレーにおける鉄道路線の日当たり利用者(2015年~2017年)
(出所: Ministry of Transport Malaysia)
高速鉄道(HSR):新戦略の策定が必要
MRT3号線と同様、マレーシアとシンガポールを結ぶ高速鉄道(ハイスピードレイル、HSR)もまた保留となり、2020年5月に延期となりました。7駅が予定されているマレーシアーシンガポール鉄道は、駅周辺のエリアにさまざまな開発物件を呼び寄せるとみられていました。加えてマレーシアでお金を使い、投資をするシンガポール人も増加すると期待されていました。
これら7駅のうちの一つが、バンダール・マレーシアで、マレーシアがわのHSRの終着駅となります。486エーカー(約2平方km)の複合用途開発は、将来の開発用の最高の立地で、クアラルンプール都心へのアクセス良好です。近々完成予定のMRT2号線に接続されるとはいえ、バンダール・マレーシアは、HSRが完成予定だったときと比べて同レベルの誘致や関心を得ることができるか、課題に直面しています。
HSRの波及効果を狙っていたバンダール・マレーシア駅付近の開発物件も、同様の状態に直面しそうです。さらに、以前のプロモーション/マーケティング資料にHSRを含めていたようなデベロッパーは、計画の一部変更を迫られるかもしれません。
(出所:Bandar Malaysia)
将来への期待値
MRT3号線とHSR路線の延期は、国家の負債と政府の支出を減らすことで経済を改善させようとする新政府の努力の一環です。これらの対策が短期的には課題を突き付けるかもしれませんが、中長期的には国家に恩恵をもたらすと考えられています。
それでも、MRT2号線とLRT3号線の建設は、より効率的に進められ、それぞれ2021年半ばと2020年に完了される見通しです。より効率的な開発という新たな希望をもって、複数の国家インフラに部分的に支えられた経済の見通しと不動産市場の成長に立ち会うのは興味深いものになるでしょう。
(出所:JLL)
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