[マレーシア] 主要国の低迷可能性あるもマレーシア経済は成長路線

2022/05/18



2022年第1四半期、マレーシア経済は、コンセンサス予想よりも早いペースで成長し、アナリストらはマレーシアの今年のGDPは5.0%を超えてくるだろうと予想しています。


第1四半期の結果は力強いものでしたが、アナリストらは、主要各国の低迷により向かい風を受ける可能性があり、マレーシア経済にとっては厳しい時期があるかもしれないと慎重な面も見せています。



マレーシアの第1四半期のGDP成長率は、前年同期比で5.0%でした。



OCBC銀行のエコノミスト、ウェリアン・ウィラント氏は、今回の実績が市場の予測4.0%、同行の予測3.0%を超えてきたと言います。



輸出が好調だったのもありますが、労働市場の正常化に支えられて、国内消費が回復したことが、予測を超える結果となった主な要因です。



ウェリアン氏は、マレーシアの今年通年のGDP成長率を5.7%と予測しています。以前の予測5.4%からわずかに上げてきました。


「実に、特にパンデミックの厳しい期間のあとで、成長の勢いを取り戻すというのは我々が待ち望んだことですが、成長率が急激に回復する際の固有のリスクについても認識しなければなりません。」



「よく話題にあがるインフレのリスクとは別に、現在の経常収支の落ち込んだことで、他にも注意しておかなければならない分野がありそうです。」



2022年第1四半期のマレーシアの経常収支は、2021年第4四半期のGDPの3.6%と比較して、GDPの0.7%に落ち込みました。



「これは、2016年第2四半期以来で最も経常収支が落ち込んだ状態で、投資家がちょうど様々な数値に大きな関心を寄せている時に起こりました。マレーシアの経常収支は黒字の範囲内で推移するでしょうが、バッファーが少なくなったということは、より変動の激しくなっている資本の流れの影響を受けやすくなるということです。」



一方で、UOBグループは、世界の見通しに予想外のことが起こらない限り、今年通年の経済成長率は5.5%と予測しています。



これは、長期の20年平均4.5%および政府の公式成長予測3.0~4.0%よりも高い数値です。


UOBのシニアエコノミスト、ジュリア・ゴー氏とエコノミストのローク・シウ・ティン氏は、マレーシアの第1四半期のGDP成長率5.0%は、同社の予測4.5%やブルームバーグの市場コンセンサス4.0%よりも高かったとコメントしています。


「今年の全世界の成長率は減速するとみられていますが、経済の再開とエンデミックへの移行に支えられ、国内経済には成長のドライバーが十分に存在すると考えています。」


コロナワクチン接種率の高さと、現金支給、特別EPF(従業員給付基金)引出し、各種補助金など対象を絞った政府の政策支援もまた、今年の残りの期間、国内の成長の勢いを支えるでしょう。」とUOBはそのレポートで述べています。


一方で、ゴー氏とローク氏は、先週中央銀行が25ベーシスポイント利上げして翌日物の政策金利(OPR)を2.0%に引き上げたことを受けて、2022年第3四半期にさらに25ベーシスポイント上げてくると予測しています。


「国内の成長がしっかりしたものであったことで、金融緩和の度合いを下げるという中央銀行の狙いをもとに予測しました。金融上の支援が緩和的であることを確保しつつ、慎重かつ段階的に行われるでしょう。」と述べています。



(出所:New Straits Times

(画像:Photo by CK Yeo on Unsplash )