[マレーシア]KL-シンガポールHSRプロジェクトの復活案を公募

2023/08/07


マレーシアは、2年以上前に中止されたクアラルンプールとシンガポールを結ぶ高速鉄道(HSR)プロジェクトの復活に向けて、国内外の企業から提案を求めています。



2023年7月11日(火)の声明の中で、MyHSR社は、3月に行われた初期情報収集活動に対する好意的な反応を受け、「官民パートナーシップモデル」によるHSRプロジェクトの開発・運営に関するコンセプト提案を民間セクターから正式に提出してもらうため、本格的な情報提供要請(RFI)活動に乗り出したと述べました。



MyHSR社は、2015年に設立されたマレーシア運輸省の監督下にある財務大臣所有の会社で、プロジェクトの開発と実施を担当しています。



同社によると、HSRプロジェクトを持続可能なものにするために必要な関心度、能力、資源要件を把握するための初期情報収集活動で、選出された民間企業を数社起用したと述べました。



また、政府が十分な情報に基づいた決定を下すことができるように、RFIでは国内外の企業やコンソーシアムに対し、コンセプト提案を提出するよう求める予定です。



MyHSR社は、RFIの活動を通して、マレーシア政府は、技術仕様、プロジェクトの原価計算、商業・ビジネスモデル、コンソーシアムやガバナンスの枠組みなどを調査することで、プロジェクト開発能力を評価しながら、業界の関心やプロジェクトへの資金提供能力を査定することができるだろうとしています。



MyHSR社のファウジ・アブドゥル・ラーマン会長は、声明の中で、KL-シンガポールHSRプロジェクトに対するマレーシア政府の強力な支援に感謝の意を表しています。KL-シンガポールHSRプロジェクトは、特にクランバレーから半島の南部回廊、ひいてはマレーシアの他の地域へと経済活力を強化・拡大する上で、国民に多大な利益をもたらすだろうと強調しました。



また、「より安全で、より速く、より効率的で、持続可能な新しい移動手段を提供するだけでなく、このプロジェクトは、『マレーシア・マダニ』に貢献し、国民と国家の長期的な成長と持続可能性を生み出すでしょう」とも述べています。



『マレーシア・マダニ』とは、2023年1月に発足した第10代マレーシア首相アンワル・イブラヒムによって提案された、「持続可能性、繁栄、革新、尊敬、信頼、思いやり」を表すマレー語頭文字から付けた現政権の政策理念です。



シンガポールがこのプロジェクトについて最後に公式にコメントしたのは2022年8月です。シンガポール運輸省は当時、シンガポールはマレーシアからの新たな提案について「白紙の状態から誠意をもって」議論する意思があると述べています。



シンガポール-クアラルンプール間の所要時間を約90分に短縮することを目指したHSRプロジェクトは、マレーシアの要請により何度も延期されたのち、2020年12月に協定が失効したため中止となりました。



マレーシアは中止されたプロジェクトに対し、シンガポールに1億200万シンガポールドル(約110億円)を超える賠償金を支払いました。



当時の計画は、HSRは、イスカンダル・プテリに停車し、イスカンダル・マレーシア内のヌサジャヤ地域とシンガポール、マラッカ、セレンバン、クアラルンプールを結ぶものでした。



今年5月、マレーシアのアンソニー・ロケ運輸相は、民間主導の実施モデルでなければならないが、政府はこのプロジェクトの復活に意欲的だと発言しました。



2021年末には、当時のイスマイル・サブリ・ヤアコブ首相がHSRに関する議論の復活を示唆し、昨年8月には、いくつかのルート変更やタイや中国まで延伸する可能性はあるにせよ、HSRの早期復活を望むとまで述べました。



シンガポールのローレンス・ウォン副首相は当時、シンガポールはマレーシアからのHSRに関する新たな提案に対してオープンであると述べています。



2021年1月、当時野党党首だったアンワル・イブラヒム首相は、観光客や企業、海外からの直接投資を呼び込むことができたはずのHSRを中止することは、「現在の経済的見地からも、将来の利益という観点からも」間違いだと指摘していました。





(出所:Channel News Asia

(画像:UnsplashのAfifi Zulkifleが撮影した写真)