2022/07/25
マレーシア中央銀行は、米国連邦準備制度の利上げ、物価の上昇、コロナウイルスからの景気回復を受けて、7月6日に25ポイントの利上げを発表、政策金利を2.25%としました。
▼マレーシア政策金利の推移(出所:Trading Economics)
中央銀行は、5月に25ポイント利上げを行い2.00%としたところです。今回の利上げで2会合連続の利上げとなり、中央銀行が連続して利上げを行うのは2010年半ばのことです。
ロイターが実施した22人のエコノミストに実施した調査では、全員のエコノミストが今回の25ベーシスポイントの利上げを予測していました。12人のエコノミストは、さらに中央銀行が9月に25ポイント上げて2.50%とすると予想する一方で、残りの10人は今回の利上げを最後に年末までこの状態が続くと予想しています。
調査の中央値予測では、2023年の第1、第2四半期にそれぞれ25ベーシスポイントの利上げを予測されています。2023年第1四半期については、20人のエコノミストのうち9人が2.75%、6人が3.00%、残りの5人が2.5%と予測しています。
来年の第2四半期にパンデミック前のレベルである3.00%に到達すると見られています。回答があった19人のエコノミストのうち約半数が3.25%を予測しています。
メディア向けのブリーフィングで、マレーシア中央銀行のノル・シャムシア・モハメド・ユヌス総裁は、パンデミック後の景気回復を受けて、翌日物の政策金利(OPR)を中央銀行が再度見直す可能性について示唆しました。
「最後に一気に動き出すよりは、今のうちから、金利を調整し始めることが重要です。経済が堅固なものになってきており、金融政策が堅実な状態であるという現実の状況にあわせて、OPRは調整されなければいけません。」と話しています。
マレーシアでも物価がじわじわと上昇しています。一方で、イスマイル・サブリ・ヤーコブ首相率いる政権は、料理に欠かせないボトル入りの料理用油と鶏肉の補助金を取り下げようとしています。
モルガンスタンレーのアジア担当エコノミスト、デリック・カム氏は、「マレーシア中央銀行は、最近の最低賃金の引き上げ、特定の食品品目の価格上限の引き上げ、経済再開を背景としたデマンド=プルインフレーション(需要超過インフレ)から生じるインフレーションへの上向きの圧力に配慮していくでしょう。」と述べています。
パンデミックの間、中央銀行は、OPRを過去最低レベルの1.75%に据え置きました。ノル・シャムシア総裁は、金利がパンデミック前の3.00%台に年末までに戻るかどうかについては断言していません。
MIDFリサーチ社は、25ポイントの利上げを行ったことで、堅調な国内消費を背景に、上がり続けるコアインフレにも役立つと述べています。
「加えて、流通取引販売の好調、2022年4月のパンデミック中で最も低い失業率、対外貿易の2桁成長など、景気の力強い回復の前向きな兆しを見せています。」
2020年3月以来、マレーシアは4度のコロナ感染の波に見舞われ、必要不可欠でない経済活動にストップがかかったことで、何千という小規模ビジネスが閉鎖に追い込まれました。7月5日の時点では、コロナ感染者数は460万人超、死者は約36,000人となっています。4月、政府はすべてのコロナ関連の規制を緩和し、経済活動が完全に再開しました。
マレーシア中央銀行は、5月の会合で、2022年の経済成長率予測を5.3%~6.3%に、総合インフレ率も2.2%~3.2%に留まると予測しています。
(出所:Asia Nikkei、Reuters)
(画像:Photo by Sadie Teper on Unsplash)
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