[マレーシア」2019年後半期の不動産市場は改善

2019/09/12

[マレーシア」2019年後半期の不動産市場は改善


不動産コンサルティングのナイトフランク・マレーシアは、マレーシアの不動産市場について、レジデンシャル部門が慎重なコマーシャル部門をしのいで、2019年後半期もさらに加速するとしています。

最新のレポートとなる不動産ハイライト2019年前半期で、ナイトフランク・マレーシアのマネージング・ダイレクター、サルクナン・スブラマニアム氏は、「マレーシアの不動産市場は、市場はいくつか起爆剤を抱え、2019年後半期にむけてさらなる勢いで突入するでしょう。」と述べています。

同レポートでは、マレーシアの主要マーケットの不動産トレンドと見通しに焦点を当て、レジデンシャル部門では、「国家住宅保有キャンペーン(National Home Ownership Campaign)」が延長され、デベロッパーが既存の在庫を一掃する機会を与えるだけでなく、住宅購入希望者の関心を寄せるとしています。

また、レポートでは、2019年前半期にクアラルンプールにおいて、ハイエンドコンドミニアム/サービスアパートプロジェクトの立ち上がりも数件見られたとしています。

政府がサバ州東岸を主要観光地としてプロモーションしていることに加え、ハイアット・セントリック、AVANIホテルズ&リゾーツなどの新しいホテルチェーンが誕生していることから、サバ* は2019年前半期に飛躍的な成長を見せました。


※サバ州:サバ州は、ボルネオ島北部にあるマレーシアの州で、山頂から鋭く突き出た花崗岩が特徴的な国内最高峰のキナバル山(標高 4,095 m)があることで知られています。また、ビーチや熱帯雨林、珊瑚礁、豊富な野生生物でも知られ、そのほとんどが自然公園や保護区内で保護されています。沖合のシパダン島とマブール島は、有名なダイビング スポットです。(出所:Wikipedia


1.レジデンシャル市場

同レポートでは、2019年第2四半期におけるもっとも影響力のあるイベントは、2019年国家住宅所有キャンペーン(National Home Ownership Campaign、HOC2019)が発足し、マレーシア人の住宅所有を促進し、不動産の完成済み売れ残り(オーバーハング)に対応したことであったとしています。

「住宅市場についに光が差してくるかもしれません。HOC2019が12月31日まで延長され、ハイエンドコンドミニアム/サービスアパート部門も含め、住宅市場をさらにけん引することが期待されています。」

▼マレーシアのオーバーハング(完成済み物件の売れ残り状況)(出所:NAPIC

「多くのデベロッパーがHOCに参加しており、既存の在庫を一掃するよい機会となっています。これはレジデンシャル市場にとってポジティブなことです。」


2.コマーシャル市場

クランバレーのオフィス市場では供給・消化ともにやや鈍化がみられましたが、KL郊外、セランゴールでは賃貸・稼働レベルともに堅調でした。競争力のある賃貸料で良いグレードのオフィスが借りられること、また公共鉄道網の発達により、中心部から離れたオフィスロケーションの人気が高まってきていることによります。

ナイトフランク・マレーシアのエグゼクティブダイレクター、キース・オオイ氏は、「テナント主導のオフィス市場において、家主は賃貸料の期待値について現実的になる必要があります。ただし、コワーキング・シェアード・サービス部門が伸びてきているので、絶好の機会となるでしょう。」

オオイ氏はまた、生活費が上がる一方、収入が伸び悩む中、消費者が支出に慎重な姿勢を見せているにもかかわらず、リテールの売上は伸びていると言います。

オオイ氏はこれについて、モール運営側が賃貸可能面積のうち、体験型のリテールに充てる割合を増やし、小売店側も、リテールのトレンドと消費者行動の急速な変化に合わせて、デジタルと実店舗をうまく組み合わせていると言います。
 
「リテール市場の競争が激化しているにも関わらす、プライムモールの稼働率は高く、賃貸料改定(Rental Reversion)においては一桁の成長率を見せています。」とオオイ氏は語っています。


(出所:The Star