[マレーシア]不動産市場は回復の見込み

2020/03/04

[マレーシア]不動産市場は回復の見込み

マレーシア不動産市場は、主要な株主よる安定確保の動きにより、2020年の残りも粘り強さを見せるでしょう。

大手デベロッパー、ナザTTDI社(Naza TTDI Sdn Bhd)副取締役会長でグループ・マネージング・ディレクターのSMファリクSMナシムディン氏は、今後不動産開発に関しては注意深く現実的なアプローチが増えていくと予想します。

過去数年間の不動産の過剰供給の経験は、特にハイエンド分野でつい最近まで続いた需給のインバランスに貢献しました。

不動産市場の底上げを目的とした政府の数々の対策にも関わらず、買い手は物件購入を追求する前に「待って様子を見る」姿勢を取るであろうとファリク氏は言います。

NSTプロパティ(New Straits Times誌 不動産部)とのインタビューでは、「こうすることで物件のベストディールを確保しようと試みるのです。反対に、不動産購入のために融資が得られる状態を保ちつつ、住宅購入者の手が届きやすい価格を満たすことが課題となります。これを受け、低所得層向け住宅の割り当てが設定され、現在取り組みが行われているので、この分野の顧客需要と開発者側のポートフォリオのバランスが取れてくると見ています。」と述べました。

英国系不動産サービス企業、ナイトフランク・マレーシアのマネージング・ディレクター、サルクナン・スブラマニアム氏は、市場の不確実性はあるものの、公共交通指向型開発(TOD)は引き続き順調だと述べました。

TODが始まり一年も経たないうちに、9割以上の物件が取引されたとスブラマニアム氏は語ります。
「現在売れ残っている物件の特徴は、間違った立地と高すぎる価格設定です。」
2020年は、開発各社が既存物件を全売却するためにインセンティブ制度を設け、独自の住宅所有キャンペーンを掲げるべきだと彼は言います。
「開発者はもっと市場を勉強し、正しい価格設定がされていることを確認して、売上を上げて行かなくてはなりません。土地に関しては価格が上昇しました。だから住宅価格が上がっているのです。」

プロパティグル社:2020年GDPは想定内

プロパティグル・マレーシア カントリーヘッドのシェルドン・フェルナンデス氏は、2020年に国内総生産(GDP)成長率が 4.3%まで低化したことは、マクロ経済への強い逆風もあり、本年の不動産市場に対する同社の中立的予想と相違ないことを表明。

「経済成長の鈍化は、財産蓄積の減少につながります。これは住宅所有の前提条件です。マレーシア国立銀行(Bank Negara Malaysia)のオーバーナイトポリシーレート(OPR)の改訂によって金利が変動し、ある程度の緩和の可能性はあるにしろ、住宅所有に対するセンチメントへのさらなる影響が予想されます。」

フェルナンデス氏は、不動産市場の成長は都市化、建設、人口動態の推移など様々な要因に影響を受け、典型的には循環パターンに沿っており、GDPの拡大が不動産市場の成長と直接関係しているわけではないという認識を指摘しました。

外国貿易業績の弱化と国内需要成長の軟化により、2020年、マレーシアのGDPは政府の予想4.8%を下回る4.3%へと低化。

分析専門家は、先週木曜に発表された200億リンギット(約5,134億1,291万2,335円)の景気刺激策に支えられ、第二半期には経済が回復するのではないかと見込んでいます。

2020年景気刺激策

今回の刺激策は、COVID-19の流行による影響に取り組み、人々に基づく成長の促進と質の高い投資を目的としています。マレーシア経済が引き続き持続可能な成長路線から逸れないよう、いくつかの計画が用意されています。

COVID-19による最も直接的な経済への影響は、地域全体における観光客の急激な減少で、ホテル、航空、観光企業ほか、観光に頼る小売業界が非常に打撃を受けています。

この影響を抑えるため、政府は、「自信を高め、成長を促し、仕事を守る」というテーマを掲げ、影響を受けた事業のキャッシュフローの緩和、影響を受けた個人の支援、旅行・観光の需要の刺激という3つのアプローチを設定しました。

2003年、東アジアでSARSが流行した際にも同様の状況に直面したマレーシアでは、GDPが2002年第三四半期の7.1%から、翌年の同時期には4.6%にまで低下しました。

「しかし、総合的な経済刺激策の成果で、マレーシア経済は2003年代四半期には6.5%の成長率にまで回復しました。」とマハティール・ビン・モハメド暫定首相は述べました。


(出所:New Straits TimesCNA